第25章

◆第25章 ケンタウロス高原討伐2◆

◆25-1 全身サイボーグ・バーン

 ゼゼ町。戦地となるケンタウロス高原の南側の拠点として、作戦に参加するパーティーが集まり始めていた。

 ガシャーン、ガシャーン、ガシャーン。

【バーン】「バーンだ。自己紹介は必要かな? よろしく頼む」

『全身サイボーグ・バーン』五ツ星闘剣士。前・西2位剣聖。
 スペック27歳男。機族の族長。

【ネロ】「ネロ・パーティにようこそ! 俺様が代表のネロ様だ!」
【ヒカリ】「いい度胸してるな、ネロ……私は軍師のヒカリです」
【マフ】「マフ、ヒーラー。ど、どうもです」
【ツクネ】「ツクネ、魔法使い。よろしくです」
【ミーシャン】「ミーシャン、サポーターよ」
【ヒカリ】「詳しくは、戦士カードを。どうぞ」
【バーン】「ほう、代表だけが四ツ星? 変わったパーティー構成だな」
【ネロ】「それは剣で証明してやるぜ。ちょっとやり合わないか?」
【ヒカリ】「あ、あんた、本当にいい度胸してるわね!」
【バーン】「ふっ、剣士同士。それが良かろう」
【ヒカリ】「乗っちゃうんだ! あーもう剣士って!」

 そんな訳でバーンvsネロ。

【バーン】「なるほど。新剣聖のケンタウロスのシュンが、練習相手に選んだだけのことはある」
【ネロ】「か、硬ぇ! これ効いてんのか? 効いてないだろ!? 反則じゃねーのか、これ!」
【バーン】「本気で行くぞ! 魔法回路に火を! 遊星歯車機構……開放! はっはっはっ!」
 ピキッ! ドッ! ドッ! ドッ! ドッ! ドッ! ドッ! ドッ!
 魔法石が1つ割れた後に、バーンが単気筒の大型バイクのエンジンに似た音を発する。そして目に見えてノリノリになる。
【ネロ】「チッ! 必殺技か!?」
【バーン】「これは自己バフのようなもの。真の必殺技はこれだ! 火の猛りよ、鉄の猛りよ、敵を穿(うが)て! 岩砕き(ロックブレイク)!!! はっはっはっはっはっはっはっはっ!」
 ド!ド!ド!ド!ド!ド!ド!ド!ド! 剣を持った腕が機械的に削岩機のように動く。正に岩盤をも貫く必殺の突きがネロに迫る。
【ネロ】「こ、こんなの反則だろぉぉぉぉ、くそがぁぁぁぁ! 爆砕じゃ足りねぇ! 喰らいやがれ、超新星の爆発をぉぉぉぉ!!」

 ドゴ───ンと派手に衝突。

【ネロ】「………………く、くそがぁ~(バタン。気絶)」
【バーン】「はっはっはっ、勝利! 必殺技の練度がまだまだだな。しかし、その分伸びしろがある。これは面白いパーティーに配属になった。はっはっはっはっ!」
【ヒカリ】「よ、容赦ない!」
【ツクネ】「イメージ違う!」
【マフ】「豪快おやじだ!」
【ミーシャン】「でも意外と付き合いやすそうな性格じゃない」



◆25-2 ナーナとミミル

【ナーナ】「西部に来るのは久しぶりじゃな」
【ミミル】「なのです」

『東部中将・大局を操る者ナーナ』五ツ星軍師。
 スペック14歳女、猫族。この時代を代表する天才軍師。

『准将・山に愛されし軍師ミミル』五ツ星軍師。
 スペック12歳女、猫族。ナーナの一番弟子で親友。

「と───う!」

【ナーナ】「…………今、キオの声が聞こえなかったか?」
【ミミル】「ミミルもそう思ったのです」
【ナーナ】「どこのパーティーじゃろうか。まあ、騒がしいからすぐに見つかるじゃろ」
【ミミル】「どこかの作戦で、キオの声は伝令で大活躍だったそうなのです。近くの配置だといいのです」
【ナーナ】「いや、今回は大声での伝令は都合が悪いじゃろ」
【ミミル】「あっ、そうだったのです。“相手にも知られてしまう”のです。でも、それを逆手に取って撹乱するのはどうです?」
【ナーナ】「おっ、そういう手もあるのぉ」



◆25-3 作戦当日

 『ケンタウロス高原討伐』作戦当日・日の出前。
 ケンタウロス高原の麓にパーティーが集結する。ケンタウロス族は村一番の広場がある集落に集結。野営をし作戦の開始を待つ。ほとんどの者は寝ていた。

 日の出。人工衛星マザー・エンビアより、軍師の戦士カードに作戦の最新の連絡が届く。

「…………マジか!? お、おい、起きろ!」
「大変だ! 作戦名が変更になってるぞ!」
 パーティーの野営地にもケンタウロス族たちの野営地にもざわめきが広がる。

『ケンタウロス高原・ケンタウロス族討伐』

 変更された作戦名は、これから行われる無慈悲な戦いを宣告していた。

 ▼

【ヒカリ】「シュンたちが……敵!?」
【ネロ】「ど、どういう事だこれは!」
【バーン】「なるほど……我が一族と同じ道を辿ってしまったのか」

 ▼

 イスタン王国・王都の修道院・教室。
 数日前の授業の風景。

【教師】「特殊な歴史を持つ種族に、機族───自分たちの体を機械に改造する種族がいます。機族がどの様な経緯でその様になったのかを……それではキララさん、説明して下さい」

『慈愛の光・キララ』四ツ星魔法使い。
 スペック12歳女。超人アキラの妹。

【キララ】「はいです。機族は元々は猿族の一種族です。2千年ほど前に致死性の高い熱病が大流行、種族絶滅の危機になったです。
 でも、それは回避できたです。その理由が、先祖返りをし体内に魔法石を宿すようになった事です。進化途中の生物のように、生命維持をアリエルに頼って種族絶滅の危機を乗り越えたです。
 ですが、体内に魔法石を宿すと言うことはつまり“魔獣”です。神に滅ぼされる対象になってしまうです。なのでこの種族は、魔法石を宿してしまう心臓を幼少のうちに機械に変えることで魔獣扱いされる事を回避したです。
 そのうちに、体の機械化率が高いほど素晴らしいという価値観になり、機械化が特徴の種族に。機族と呼ばれるようになり今に至っているです」

【教師】「エクセレント! 素晴らしいです、キララさん」
【ミルフィ】「キララすげー!」
「さすがは私がライバルと見込んだキララさんですわ」
 金髪縦ロールのシスターはおほほほと高笑いした。
「やりますわね」
 クラス委員長タイプのシスターは眼鏡の奥でキランと眼光を光らせた。
「すごーい!」
「キララちゃん、頭いい!」
 双子の少女が、キララに抱きついてくる。

【キララ】「…………このノリにも慣れてきたです」

 順調に修道院生活に馴染んでいるキララの姿があった。
 それはさておき───

 ▼

【バーン】「我が種族は魔法石の宿る場所が心臓だったから替えが効いた。だが、替えの効かない器官……おそらくは脳であろうか」
【ヒカリ】「シュンたちが……魔獣……」
【ネロ】「ど、どうすればいいんだ!? いや……そうするしかねぇのか。くそがぁぁぁっ!」
【バーン】「残念だが…………魔獣は滅ぼす。それが戦士の使命だ」
【ヒカリ】「あぁぁぁぁぁ!」
 ヒカリは号泣した。



◆25-4 ケンタウロス族の決定

 ケンタウロス村・集落。

【パタコ】「残念ですが、ケンタウロス族に残された道は2つです。1つは戦い逃げ切る。もう1つは全面降伏をして安楽死を受け入れるか。です」

『逃げ師・パタコ』四ツ星忍者。
 スペック16歳女。少数民族“翼の民”出身の忍者。

【族長】「安楽死なんて、そんな! この人数に戦いを挑んで逃げられるはずがない! 何か他に方法は!?」
【パタコ】「おっと、にんっ!」
 族長はパタコの残像に掴みかかる。パタコの姿は族長の背後に移動していた。
【パタコ】「私を捕まえようとしても無駄ですよ? 戦闘力は大したことはないですけど、絶対に捕まらないのが売りです。ですので人質にされない交渉人として重宝されてます」
【族長】「あっ、申し訳ない。捕まえようとした訳では」
【パタコ】「今回の私は一方的に伝言を告げるだけの任務です。私に交渉しても交渉したい相手には届きません。
 伝言の続きをさせていただきます。もし、安楽死を望む場合は正午に赤青緑、3色の狼煙を上げて応えて下さい。それがない場合、予定通り討伐作戦を開始します。以上です。…………では、正しい選択を。にんっ」
 パタコの姿が煙とともに消える。サッと村に影を落とし飛び去った。

 ▼

 ケンタウロス族の有力者、強戦士、軍師が集められる。

【族長】「それでは挙手にて決を取る。戦いを選ぶ者」
「…………」
 集められた全員が迷いなく手を挙げた。

「ふぅ…………」
「誰が、安楽死など受け入れるか!」
「子供たちだけでも逃がすぞ!」
「おおっ!」
 多数決の緊張感から解き放たれヒートアップする。

【族長】「落ち着きなさい。どのような作戦にするか、軍師たちは会議を」

「地図を」
「やはり大陸からの脱出、港で船を奪い未開の小島を目指すべきでしょう」
「港は北西のトッペリ港、西のコーネル港だな」
「川を使ったルートも考えられる」
「1ルートに絞り戦力を集中するか、複数ルートで強パーティーに出くわす確率を分散するべきか」
「人数が多すぎても動きが取りづらいぞ」
「その前に翼の民による空からの監視を防がないと、こっちの作戦が筒抜けに……」

【シュン】「あっ、しまった! 魔法石忘れた!」
【ギュン】「おいおい、兄貴ぃ~」
【シュン】「あははは、いつもヒカリ……うちの軍師任せだったから。余裕のある人は分けてくれ~」
【ギュン】「はははは、剣聖になっても兄貴は相変わらずだなぁ」
【女の子】「はい、シュン」
【族長】「道具や食糧はどうだろうか?」
【軍師】「どっちにしても探しに戻る時間はない。通り道にある家を探すだけにしよう」
【軍師】「作戦は決まった。さっそく準備を始める!」




0
≪ 第24章 帖子 第26章 ≫
Share On Twitter



"大塔ひろ" is creating "小説(一般向け)"
ファンタジー小説をUPしてます。
大塔ひろ is creating 小説(一般向け)

ファンタジー小説をUPしてます。
당신이 지금 지원하는 경우, 즉시 36 후원자 전용 게시물만큼에 대한 액세스를 얻을 수 있습니다!
>> <<