Direct Voice 第5章

第5章 手也の家


 帰宅してパソコンを確認すると、てな様からメールが来ていた。
 件名はなく、本文に“家に来てください”とだけ書いてある。
 私は、光也の家に向かうことにした。
 光也は、玄関の前で、制服を着たまま亡霊のように立っていた。私に気づくと、見覚えのある封筒を突き出す。
「こ、こんなにいただけません……」
 中を確認すると、昨日、光也のかばんに私が入れておいたものだとわかった。15万円入っているはず。
「足りなかった?」
「ち、ちが……。結局収録もしてないし、その……」
「ま、立ち話もなんだから、中に入ろ」
 勝手にお邪魔させてもらう。中に人の気配はなく、しんとしていた。
「ご両親は?」
「共働きだから……」
「そっか。脱いで」
「……え?」
「脱いでよ、ここで」
「……い、いや……」
「脱いでよ、ここで」
「……へ、部屋に……」
「脱いでよ、ここで」
「………………」
「脱いでよ、ここで」
 懇願したら、折れてくれた。
 うちの男子制服は、学ランだ。それのボタンを一つずつ外して、玄関で脱いでいく。
 学ランは、丁寧にたたんでゆかに置いた。続いて、中のシャツ。
「すっぱだかね」
 一瞬、瞳が絶望に染まる。が、すぐに脱衣を再開する。
 シャツがなくなる。また、おちんちんの根元が見えている。腰で穿いたところで、短足は変わらないというのに。
「あっ……」
 あまりにも“脱がせてください”と訴えるようなスタイルに、私は、ズボンをパンツと共に下ろしてあげる。おちんちんが揺れる。
 そのまま、靴下も全て脱がす。生まれたままの、一糸纏わぬ姿となる。
 違った。メガネがあった。まあ、メガネはいいや。
 彼の白い体には、赤の斑模様がたくさんある。夏服など着れたものじゃないいやらしい裸体。

「ね……、お願い、部屋で……」
「いいよ」
 脱いだ衣服を集めて、光也の部屋に行く。
 入って、扉を閉めた途端、私は、光也に口付けた。
「ん……、やっ」
 嫌がられた。悲しい。
「こんなに……お金……」
「とっといてよ。てな様のために稼いだお金なんだもん」
「ん、ふ……」
 股の間に手を差し入れ、玉や門渡りを撫でる。むくむく、おちんちんが持ち上がっていく。
「もう勃起しちゃったんだ。光也はえっちだね」
「だって……、まくるさんがぁ……」
「知ってるよ。光也がえっちだって。お尻であんあん鳴いて、乳首だけでぴゅっぴゅしたもんね」
「あ……、いやぁ……」
 下と横から、光也の穴を拡げてやる。光也は、私に壁ドンするかのように、引き戸に手を置いた。
 少しかがんで、乳首を舐める。穴は、目一杯拡げる。
「普段は、どうやってこのおまんこいじってんのかなぁ?」
「はず……、恥ずかし……」
「BLの受けやる時、役作りでおもちゃ買ったんだよね。今日は、それ見せてほしいなぁ……」
 媚薬の力は、すごいと思う。てな様の恥ずかしい秘密を、光也はぺらぺらしゃべっていた。
 “童貞だから本当は女性の体知らない”とか、“BLの役作りから乳首とお尻いじり始めた”とか。エロを収録する際は、主にオナニーした後らしい。直後ではないと思うけど。
 今日は、さすがにもう媚薬はない。薬のせいにできない状況下で、彼は、どうするだろう?
「…………その……」
「ん?」
「……私たちの関係って、何ですか?」
「恋人だよ」
「じゃ……、ど……して、今日話しかけてくれなかったの……?」
 教室で話しかけなかったことを怒っているようだ。

 玉をぎゅっと握る。壁にかかる意識が逸れた瞬間に、押し倒す。
 ちょうど布団を敷く場所なのだろうか。そこには何もなく、また畳であるがゆえ、衝撃は少ないはずだ。しかし、光也は、完全には倒れず、尻もちをついた。
「みんながいる前で、光也をはだかにしていいの?」
「え……」
「おちんちんもはだかにしちゃうよ?」
「ぁ……」
 ぺろ、と、皮を剥いてしまう。小さな穴に人さし指で触れると、濡れていた。
「いつおしっこした?」
「え? ……そ、そんなの……」
「いつしたの?」
「…………か、帰って……きてから……」
「おしっこ残ってない? ちゃんとぷるぷるちんちん振ったかな?」
「………………」
 顔を真っ赤にして、すがるように、前を開けている私のジャケットをつかむ。首の下の方までピンクに染まっている。
 ぺとぺと。人さし指で、穴にふたをしたり、しなかったり。そのうち、本格的に液体が溢れ、指が糸を引くようになる。
「この姿、クラスメートたちに見られたい?」
「や……、やだ」
「じゃあ、二人きりの時だけね。おねだりできる?」
 ふるふる、首を左右に振られる。ださいメガネの向こうは涙目になっていて、戸惑いが隠しきれていない。
「遠慮しなくていいよ。私たちは、恋人なんだからさ。ねぇ、てな様」
「め……、面と向かって、手也の名前で呼ばないで……ください……」
「光也」
「……、………………」
 何も言えないらしい。目線を逸らし、力なくジャケットをつかむ手が、愛おしい。ぶすのくせに。
 だから、私がしてあげる。畳の上に寝転ばせ、唇を重ねた。
 舌を侵入させると、まだまだたどたどしい動きだが、私に応えてくる。
 そのため、私は、一旦キスを中断する。
「手は、私の首や頭にやりなよ。ちゃんと私を求めろ、ぶす」
 優しく頭を撫でて、諭す。光也は、涙目ながら、小さく頷いた。

「ただいまあ」
 玄関から聞こえてきた声に、光也が弾かれたように反応する。
「お、お母さん……! どいて、服着なきゃ……!」
「光也のお母さん、血が繋がってるの?」
「な、なんで……?」
「繋がってるなら、別にいいじゃん。はだかなんて、いっぱい見られてるだろうし」
「そんな問題じゃ……!」
「光也、お友達がいるの?」
「いやだ、お願い、服着させて……!」
「はい」
 光也のおちんちんの皮を被せてあげる。
「いやぁ、違うぅ……!」
 足音が、どんどん部屋に近づいてくる。
 私は、立ち上がって、部屋の引き戸を開けた。光也のお母さんが、目の前にいた。お母さんは、驚いて一歩後ずさる。
「お邪魔しています。黒部です」
「あ、ああ……。こんにちは」
「また、光也くんにお話聞いてもらっていて……」
「そ、そうなのね。ゆっくりしていってね」
 お母さんは、少し慌てた様子で、去っていった。息子の安否は、確認しなかった。私は、引き戸を閉める。
 振り向くと、光也は、脱いだ学ランなどを抱きしめて、縮こまっていた。せっかくたたんであったのに、くちゃくちゃになっている。
「出てって……」
 光也は、震えた手で封筒を突き出す。
「お金返しますので……、出てってください……」
「それはあげるよ。記念すべき十作品目の報酬。むしろ、足りなければ、もっと払ってもいいよ」
「で……、出て……って……」
「ごめんね。まだ足りなかったのね」
「違う……。も……出てってっ……!」
 目に涙を浮かべて、怒っているみたいだ。教室で話しかけなかったのを根に持っているらしい。
 今日は、もう退散しよう。明日は、話しかけてあげなくちゃ。
「じゃあね、また明日」

 

 

 

*   *   *

 

 

 

『おまんこ、とろとろ……。俺のちんぽ、挿れちゃうね?』
『ぺニス咥えんの好きなんだろ! ヴァギナに突っ込まれて、あんあんよがってんじゃねえか!』
『ああっ、入ってくるぅ……! 僕のけつまんこに、おっきいの……あっ!』
 てな様の音声を再生する。乙女向け、男性向け、BL……。てな様は、キャラクターごとに声の印象ががらっと変わる。
 しかし、どのキャラクターも、光也と結びつけるものは、見出せない。
 先日、ちょっとだけ、てな様の声は、光也から発せられているとわかったけれど……。それは、ちょっとだけ。
 メールボックスに、てな様からの新着メールはない。私は、新規メール作成を始めた。
“てな様、今日はごめんなさい。”
 ……あとは、何を書こう。
 悩んでも悩んでも答えが出なかったので、その一文だけ書いたメールを送った。
 てな様の声を聞いてオナっていると、返信が届いた。
“お金、ありがとうございました。恐縮なくらいの金額です。
まくるさんのばかへんたい”
 よかった。許してくれたようだ。
 私は安心して、眠りについた。

 

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