Direct Voice 第4章

第4章  日常への変化


「おはよー」
「おはよ~、くろちー」
「はよーっす」
 教室に入ると、いつも一緒にいる、あーことさゆに挨拶する。
「ねー、くろちは宿題やった? わかんなくてさー。どけちなあーこは、見せてくんないしー」
「当たり前じゃん! だって、自分で考えるやつだよ? 他人と相談しないようにって、先生も言ってたじゃん!」
「やったよ~……。こんな風にやればいいんじゃない?」
「おおお、助かる、恩にきりやす……! さすが黒部様や」
「くろちー、さゆを甘やかしちゃだめだよ~」
 変わらない。何ら、いつもと変わらない週の始まり。
 光也は、自分の席に座っていた。窓から二番目の列、前から二番目の席。私は、今は、一番後ろのあーこの席にかばんを下ろし、立っている。さゆは、あーこの前の沢村くんの席を占拠している。彼は、いつも遅刻ぎりぎりにしか来ないから、いいのだが。
 光也は、私が来たことに気がついているだろうか。自信なさげに、背中を丸めて、座っている。彼のそばには、誰もいない。
 隣の席の野尻くんの周りには、三人いて、何かしらしゃべっている。笑っている。楽しそうだ。
 光也は、動かない。そこにいる。そこにある。机と一体化しているようだ。机そのもの。もの。物。
「そういえばさー、もうすぐ彼の誕生日でさ。アイス好きだから、アイスケーキ買ってあげようと思うんだけど」
「いいんじゃない?」
「どのタイプがいいかなぁ~」
「聞けばいいじゃん」
「サプライズがいいんだよ~。年下純粋少年の、ほんとに嬉しそうな顔見たいの」
「私は、やっぱり年上がいいなー。聞いてよ~、先輩がね……」
「………………」
 恋の話って、私にとっては、異次元だ。

 さゆは、年下の男の子と付き合っている。小学六年生の頃、小学一年生に告白されて、そのまま今まで続いているらしい。典型的なリア充爆発しろタイプだと思う。
 あーこは、一見真面目っぽいが、惚れっぽく飽きやすい。年上男性とよく遊んでいる。しかも、月単位くらいで相手の男が変わる。尻軽娘だと思う。
 しかし、二人とも共通点がある。それは、常に“らぶらぶ”だということ。
 さゆはほとんどのろけだし、あーこはいつでも恋する乙女。二人から、恋に関する暗い話は、全く聞かない。
 ……私は、どうだろう。
 今、この空間に、ついこの前できたばかりの私の彼氏がいる。だけど、それは、私と彼しか知らない。
 あんな風に、背中丸めて縮こまっている彼の正体を暴き……、………………。
 周りは、どうなんだろう。
 さゆは、彼氏とセックスしているだろうか。しているはずだ。二人とも、思春期を迎えたかその前に、すでに恋人がいたのだから。興味津々な年頃。絶対やっている。
 あーこは、何人としただろう。年上の、光也みたいな男と寝たことはあるだろうか。
 インターネットで媚薬を手に入れ、まんまとそれを相手に飲ませ、身体を貪った。こんな経験、したことある……?
「ちょっとトイレ」
 私は、恋の話で盛り上がる二人に告げ、トイレに向かった。
 個室に入り、携帯電話を取り出す。データフォルダーを開く。
 光也の痴態をおさめた写真が出てくる。最後の方は、自分からねだるようになった。残っていた媚薬を全部飲ませたせいだろうか。
 下腹部が湿る。オナニーをおっ始めたくなる。
 結局、昨日は、てな様メールくれなかったし……。
 やっぱり、光也に浮気したせいで怒っているのかもしれない。謝らなきゃ。帰ったら、メールしよう。

 

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