取材レポート:雷神の系譜――2つの「がごぜ」

いつも『あにめたまえ!天声の巫女』の応援、ありがとうございます!

Rebisです!

本日の更新は、全体公開の取材レポート。

animetamae.comの金曜更新も兼ねております。

 

実は、所用と取材を兼ねて、金曜まで西日本に出張しておりました!
妖怪に縁のある場所や、素敵な寺社があれば、できるだけ寄りたいな…と思いつつの旅。
幸い立ち寄れた所で、今回語りたいのは「元興寺」。
そう、「がごぜ」「ぐわごぜ」の元興寺ですね!

 

 

 

「がごぜ」って何?


元興寺(がごぜ)、あるいは元興寺の鬼とも言われる妖怪は、飛鳥時代に奈良の元興寺に現れた妖怪。
元興寺の鐘楼の童子たちを次々と殺す凶悪な鬼でしたが――
雷神の申し子である怪力の童子によって、退治されました。
この怪力の童子は、とある農夫が雷神を助けたあと、その恩返しとして生まれてきた子。
凄まじい力の持ち主で、鬼の髪をつかんで引きずり回し、ついには頭皮ごとむしりとってしまいました。
逃げ去った鬼の血痕を追うと、素行の悪い寺の下男を葬った辻に続いていました。
そこで鬼の正体は、この寺男の霊鬼であったと知れたとのこと。
怪力の童子はのちに「道場法師」と言う僧になりました。

余談ですが道場法師の怪力は子孫にも受け継がれ、『日本霊異記』には、彼の子孫である怪力の女性たちが何度か登場してきます!
(出典は『日本霊異記』など*1)

 

 

というわけで――
雷神の申し子による妖怪退治譚。

こじつければ『雷神委員長はらら』の源流とも言える伝承ですね!
妖怪マンガがお好きな方でしたら、鬼太郎でこの鬼が「ぐわごぜ」として出て来るのも印象深いかもしれません。

かの鳥山石燕も「元興寺」として描いている霊鬼、がごぜ。
お寺の名前が妖怪名となってしまった、なんとも風変わりな鬼です。
さて、伝承の舞台となった元興寺では、どんな風に伝えられてるのでしょうか?
勇んで取材に向かったRebisが見たものは――

 


「元興神」と書いて「がごぜ」の文字!
鬼の面が描かれた「元興神」の絵馬!


そしてついには委員長の如く…ではないけれど、雷神モチーフのかわいいキャラ!

(今年の絵馬だとちょっとわかりづらいのですが、別デザインでは雷太鼓を背負ったりしている、ツノが一本の雷神風童子キャラです)

 

あれ…あれれ…?

そう、妖怪メディアばかり見ているRebisにはすっかり「妖怪がごぜ」のイメージしかなかったのですが。
なんと元興寺さんでは、霊鬼を退治した道場法師の鬼神としての面が「元興神(がごぜ)」として信仰されていたんです!

 

ここで思わずRebisは思ってしまいました。
大変恐れながら、これは「近年になって絵馬用に作られたキャラでは…?」って。
ところがそうではないようなんです。
ちゃんとガイドブック『わかる!元興寺』を購入させていただき、元興寺の常設展示も拝見してまいりました。それによると…

道場法師が鬼を退治したときの形相を「元興神」または「八面雷神」として信仰することは少なくとも江戸時代後期にはあり、大田南畝『南畝 莠言 』には、その鬼面をあしらった護符が掲載されています。

(『わかる!元興寺』ナカニシヤ出版 p76-77より)

 

またこちらは残念ながら撮影禁止でしたが、展示資料の『極楽坊記』(江戸時代)にも、たしかに「元興神」の記述がありました。
ということは、江戸時代の頃からすでに、寺男の霊鬼と、雷神の子道場法師の両方が「がごぜ」の名で呼ばれていたわけですね…!

伝承の中で退治するモノされるモノが習合したり影響しあったりすることは、ままあることかと思いますが…
がごぜにもそれが発生していたとは、寡聞にして知りませんでした!


思えば…道場法師も雷神の子、考えようによっては鬼の眷属と言えるかもしれません。
(当時の雷神にさほど鬼イメージがなかったとしても、額に蛇が巻きついているという姿は異形感たっぷり、しかも蛇と鬼もさほど遠い存在ではありません)
道場法師と霊鬼の戦いは、もともと鬼vs鬼…鬼神が邪悪な霊鬼を退治する話でもあったんですね。

ああ、それにしても、妖怪神仏の世界には、元祖雷神の子「元興神」と邪悪な「元興寺の鬼」2つの「がごぜ」がいたとは!
『あにめたまえ!天声の巫女』の雷神ハーフである鳴神はららにとっても、「元興神」は縁のある存在かもしれないですね。
偉大な先輩? もしかしたら親戚? 道場法師は…まあ男性だったのでしょうが…近年の流行にのって、女性として描いたりするのも楽しいかもしれません。
ちょっとラクガキしてみましょう!

 


「あにめたまえ!」世界の元興神は、女性の鬼神。
道場法師ご本人はすでに解脱していて、その子孫である怪力の女性たちの誰かが、現在の元興神をつとめているのではないか?
というのが、天声の巫女や天眼宗たちの推論です。
実際に人間を何人も食い殺しているような、凶悪な鬼や妖怪を退治するのが、彼女の使命。
なので『あにめたまえ』本編のような可愛いエピソードには、あまり出番がなさそうですが…?
妖怪たちの間でも恐れられていそうですね。鬼巫女・呉葉なんて、出会ったら漏らしちゃうかも!
最近あんまり筋肉娘を描いてないな~という想いもあったので、怪力ボディを素直に絵にしました!

 

「元興神」、機を見てもっと勉強していきたいと思います!
今回のラクガキどおりの設定になるかはわかりませんが、いつか『あにめたまえ』本編にも登場するかも?
その時はぜひぜひ読んで下さいね!

 

 

*1 平凡社ライブラリー『日本霊異記』では、この伝承の舞台は本元興寺であり、場所は現在の飛鳥寺にあたるという注がついています。それでも、現在の元興寺で妖怪文化が生きていることを重視して、元興寺の記事としてご紹介しています。



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