Violent Witches: the Vindicatorの各キャラクターの作成背景をお話ししていく第5回目はついに物語の中心ヒロインにしてラスボス、シュトです。
旧VW、Intでは黒基調だったのから一転して大分カラフルに、そしてそれでもちゃんとシュトだとわかるようにデザイナーさんは上手にまとめていただいたと思っています。
ラフ時に比べて大分頭身が上がって大人っぽくなりましたが、ラフぐらいで作っても面白かったかもしれません。
Strategic Valkyrieも入れると4回も同じキャラクター(でも実は本名はそれぞれ違う)を描いていますが、毎回どういう形にするか悩むキャラクターです。
設定上、満州人(中国東北部出身)であるということぐらいは一応共通していたのですが、今まで特に名前にまで考えて反映していなかったのを今回は満州語で作ることにしました。
多少の変化はあれど、基本作品の中で魔女そのものを体現する役割を持つ存在なのですが、いわゆる"魔女"ってじゃあなんだろうって考えると「秩序や規則といったもので平穏を保つ社会とは真逆の世界の存在」なんだろうと思っています。
これは色んな民俗学とかで語られる魔女に共通するところでもあり、なぜ魔女が社会から排除されようとするかと言えば、それは現代に通じる社会が秩序や規則、何らかの決め事によって平穏を保とうとするところを無視してしまう、もっといえば「魔女たちはそんな社会をなんとも思っていないが、なんだかんだで暮らしているし、最後は酷いことになるかもしれないけれど、それはそれでいいと思っている」という価値観を表すといってもいいかもしれません。
ただ、シュトはその価値観を理解しつつも社会との関りを無視するどころか、フランクという自分の救い主の存在との間で社会を求めています。
だけど、フランクはもはやそうはなれない存在なので、彼女に社会に戻るように伝え、彼女もそれを受け入れ決意する、というのがつまらない考えではありますが、このVWのエンディングになるのでしょう。
Vindicator版になるにあたって注意したかったのが、特にラスボスとなると毎度かなり特殊な能力を持たせ過ぎてしまうのでできるだけ抑えること、それから(特に旧VWでは好評だったので迷ったのですが)妖艶な台詞回しは避け、なるべく普通に感じる、良くも悪くもわかりやすい話し方をするようにしました。
そして、エンディングでもシュトもしっかりこの後も歩くと決意しているのですが……、困ったことにそうすると逆に旧VW版よりもイマイチ幸せになれそうな気がしなくなってきたんですよね。
だから、見た人はわかると思うのですが、隠しエンディングは本当に迷った結果、なんとも歯切れ悪い感じになってしまいました。
ただ、恐らく精神面では歴代最強のシュトだとは思いますから、何があってもきっと最後は満足してこの世界を去っていくだろうという信頼もあり、作っていくうちに色んな面を見せてくれた不思議なキャラクターに仕上がったと思っています。大丈夫幸せになんかならなくって、と言い切りそうで。
新作でまたシュトを描くかどうかはわからないのですが、機会があればまた描いてみたいとは思っています。
*今回のボーナス映像はエンディングの未使用verで、エンディング曲ができあがるまで、代替としてMoon Windから観月らんさんの曲を使わせてもらったものです。これはこれでよいと思っているのですが、どうでしょうかね。感想等ありましたらコメントどうぞ。
http://moonwind.pw/material.html
ついでに各作品のシュト本名一覧
・Violent Witches (旧VW):サイツォンバヌグ・シュトンウォール
・Strategic Valkyrie:シュト・サーバルーク
・Violent Witch International (Int版):シュト・ルー(本名は不詳)
・Violent Witches: the vindicator:シグルカン・エネビシュ