第28章

◆第28章 ケンタウロス高原討伐5・終結◆

◆28-1 天才の覚醒

 7時の方角・前衛。

【アライド】「大地よ、怒り暴れろ! ───ガイア・インパクト!」
 空と地がドォォンと轟き、ケンタウロス族の何人かが地面にバウンドする。
【ケンタウロス族】「ぎゃあっ!」
【ケンタウロス族】「うわっ!」
【ケンタウロス族】「二人気絶! 運んでくれ!」
【討伐隊】「おお、揺れた!」
【討伐隊】「地震を伴うアライドの広範囲攻撃だ! どうよ!」
【討伐隊】「なんでお前がえばってんだよ」

【アライド】「はぁっ! はぁっ! はぁっ! はぁっ! 次だ! 来い!」
【ケンタウロス族】「敵は息を切らしているぞ! 一気に畳み───グハッ!」
【ケンタウロス族】「隙だらけだ───ギャァッ!」
【ケンタウロス族】「な、なんだよ、こいつ。ボロボロなのに強くなってる!? ぎゃっ!」
【ケンタウロス族】「囲め! 必殺技で決める!」
【ケンタウロス族】「バフを頼む!!」
【ケンタウロス族】「遠距離も、必殺技だ!」
【ケンタウロス族】「無理だ! お前たちを巻き込んでしまう」
【ケンタウロス族】「構うな! どうせ、決死の覚悟だ!」
【ケンタウロス族】「あ、ああ! わかった!」
 ピキッピキッピキッピキッ!
 あっちこっちで魔法石が割れる音がする。
【アライド】「! ハァァァッ!」
 ケンタウロス族の狙いに気付き、アライドが前に飛び出る。
【ケンタウロス族】「大地の息吹よ───ぎゃあっ!」
【ケンタウロス族】「夜の闇───ぐはっ!」
 必殺技の発動を邪魔され、数人が倒される。
【ケンタウロス族】「くそっ! まかせたぞ! グハッ!」
 一人がアライドに決死の体当たり。アライドに一瞬、隙ができる。
【ケンタウロス族】「行くぜ! 疾風斬ッ!」
【ケンタウロス族】「吹き飛べ! 丸太切り!」
【ケンタウロス族】「脳天直撃! 爆裂ハンマー!」
【ケンタウロス族】「風の刃よ、切り刻め! 昇竜斬!」
【ケンタウロス族】「後衛、少し遅らせて合わせるぞ! ファイヤーアロー!」
【ケンタウロス族】「風爆!」
【ケンタウロス族】「風爆!」
 左右前後上下、更には遠距離技、更にはバフによりパワーアップした必殺技が一斉にアライドに襲いかかる。
【アライド】「!!!」
 アライドの眼光が軌跡を描く。
 一人の剣を撃ち、必殺技を同士討ちに向ける。
 一人の肘を跳ね上げ必殺技を空に反らし、ガラ空きになった脇腹に肘打ちを当てる。
 一人の横腹を蹴り、三角跳びの要領で別の一人の背中に飛び乗り踏み台にし包囲を脱する。そのついでのごとく、二人に一打ずつ浴びせる。
【アライド】「大地よ、怒り暴れろ!」
 一連の動作の間に必殺技の詠唱を終えていた。
【ケンタウロス族】「羽!?」
 アライドの背中に光り輝く羽が見えた。
【ケンタウロス族】「必殺技を撃たせ───」
【アライド】「───ガイア・インパクト!」
 身を挺して止めようとするケンタウロス族がまず吹っ飛ぶ。

【ユキナ】「繋がった!」
 アライドが必殺技を放つ瞬間、ユキナはそう叫んだ。

 ドォォォォォォォォォォォォォォォォォン! 
【ケンタウロス族】「ギャッ!」
【ケンタウロス族】「グハッ!」
【ケンタウロス族】「ぐっ!」
【ケンタウロス族】「ギリギリ、シールドが残った!! くそぉ、体、動け!」
【ケンタウロス族】「な、なんださっきとは違うぞ! 地がまだ唸って!?」

【ユキナ】「大地がねじれた!。ねじれたものには反動が来るぞ!」

 ドォォォォォォォォォォォォォォォォォン!

【ケンタウロス族】「えええっ!? ギャッ!」
【ケンタウロス族】「ガッ!」
【ケンタウロス族】「ぐはっ!」
 回転しながら吹き飛ばされる。範囲にいた8人ほどが、全員気絶に至った。そして地面が裂ける。

【ケンタウロス族】「おい! 東側、地面が崩れちまった!」
【ケンタウロス族】「走り抜けるのは無理だ! くそ、せめて後ろを取られないように妨害しろ」
【ケンタウロス族】「西に移動しつつ、なるべく敵を倒せ!」

【討伐隊】「やった! これで東は守られた!」
【討伐隊】「すげぇ! アライド、新必殺技か!?」
【討伐隊】「なんか羽が生えていたぞ?」
【討伐隊】「近接アタッカーの広範囲攻撃ってだけでもすごいのに二回攻撃って!」
【アライド】「わからない。繋がったと思った瞬間、ああなった」
【ユキナ】「自力が底上げされた分、必殺技も底上げされたのじゃよ。ようやく繋がったが、今の段階では絶体絶命のピンチの時に限ると言ったところかのぉ。さっきのような修羅場を10回も経験すればモノにできるじゃろう」
【アライド】「はい、ユキナさん! がんばります!」
【討伐隊】「あの修羅場を10回って……」
【討伐隊】「俺も剣聖を目指そうかな?とか思っていた時もあったけど、もう完璧に諦めたわ」
【ユキナ】「さあ、ケンタウロス族を逃がすな! こんな強敵、なかなか会えんぞ! もう2、3回、絶体絶命のピンチに遭って来い!」
【アライド】「はい、ユキナさん!」
【討伐隊】「ひぃ~、鬼コーチ」
【討伐隊】「俺たちは少し休憩してからにしておこう。疲れた~」
【討伐隊】「その前に気絶しているケンタウロス族を縛ってくれ。目を覚ますぞ」
【討伐隊】「どうせ殺される運命なのに。気絶している内に絶命させてやりたいな」
【討伐隊】「首でも切るか?」
【討伐隊】「む、無理!」
【討伐隊】「教会の人はまだか」
【ユキナ】「縛りを解いてやれ。罪もなく死にゆく者に失礼じゃ。安楽死の技なら儂がいくつか持っている。それくらいは働いてやるかのぉ」
 ユキナが木から飛び降り、気流を操り、ふわっと着地する。
【討伐隊】「い、いいのですか? お願いできるのなら」
【ユキナ】「滅びゆく運命の種族、ケンタウロス族よ。そなたたちの死は無駄ではない。あやつ、アライドは人類最強の戦士なんてものを語る時に名の挙がる戦士に成長するだろう。その誕生の礎になれたことを誇りに、安らかに眠るがいい。命に永久の凍結を───むんっ!」
 気絶しているケンタウロス族の戦士たちはピクッと小さく震える。そして全員が絶命した。
【ユキナ】「丁重に葬ってやれ。皆、誇り高き戦士だった」
 ユキナは寂しそうに、それでいて優しげに微笑む。
【討伐隊】「…………あっ、はい!」
【ユキナ】「さて、儂は責任を持ってあやつを人類の守護神に育てないとな。でわな」
 ユキナは気流を操り、飛ぶように森の中へ消えていく。

【討伐隊】「……なんかいいな、ユキナさん」
【討伐隊】「最後の笑顔にドキッとしてしまった」
【討伐隊】「恐くて冷たい人と思ったら、そんな事ないな」

 と、熟女ファンを増やしたのはどうでもいい話。



◆28-2 5時の方角の攻防

 4時の方角に現れた偽シュン、ギュンを含むケンタウロス族のオトリ隊は、5時の方角中衛の位置に移動し討伐隊と激しく衝突する。

【ギュン】「山の風よ───荒ぶれ! 山嵐!」
 ギュンの必殺技、烈風を伴う上段の強打。
【討伐隊】「ぎゃぁ!」
【討伐隊】「くっ!」
【討伐隊】「うわっ!」
 一人は直撃でノックアウト。二人は烈風に巻き込まれて転がった。
【討伐隊】「強ぇぞ、赤兜のギュン!」
【討伐隊】「いや、強くなりやがった!」
【ギュン】「絶好調! やっぱ、これとこれがないと!」
 ギュンは本来の武器である“斧”を掲げつつ、トレードマークの赤兜をパシパシと叩いた。
【ケンタウロス族】「ギュンに続け! 喰らえ俺の必殺技!」
【討伐隊】「数が少ないからって油断するな! 強いぞ!」
【ギュン】「行くぞ! 必殺……と見せかけて逃げる!」
【ケンタウロス族】「はははははっ! じゃあな!」
【ケンタウロス族】「すまないが倒れている仲間たちは、丁重に葬ってやってくれ」
【討伐隊】「うわ、足速い! くそう、逃げられた!」
【討伐隊】「楽しそうに戦いやがって」
【討伐隊】「でもみんな殺されちゃうんだよな」
【討伐隊】「ああ……何か悪いことをしたわけじゃないのに」

【ケンタウロス族】「どんくらい残ってる?」
【ギュン】「20人くらいかな」
【ケンタウロス族】「もう敵を引きつける役には立ってないだろ」
【ケンタウロス族】「ヒーラーが全滅だ。最後に華々しく散りますか」
【ギュン】「あっ、だったら。おーい、東の戦士たち! 俺は『森を駆ける赤兜・ギュン』五ツ星斧使いだ。どうせだったら最後は強いやつと戦いたい! 誰か名乗りを挙げないか!」

【討伐隊】「おっ、一騎打ちか!」
【討伐隊】「面白ぇ! 誰か行かないか?」
【討伐隊】「よし、俺が出る!」
【討伐隊】「誰だ? 誰だ?」
【ナーン】「『舞い踊る巨大ハンマー・ナーン』五ツ星ハンマー使いだ!」

『舞い踊る巨大ハンマー・ナーン』五ツ星ハンマー使い。
 スペック29歳男。熊族。巨躯のパワーファイター。

【討伐隊】「たしか東の剣聖選抜で見かけたことがある!」
【ガンスロット】「東部剣聖選抜の、前回、前々回に出場した強戦士でがんす。両大会とも本戦出場、しかし残念ながら両大会とも初戦敗退でがんす。剣聖選抜だけに武器は剣限定。ナーン氏は剣は苦手との話でがんす。
 しかし愛用の巨大ハンマーを持っているナーン氏は五ツ星戦士でも頭一つ飛び抜けているでがんすよ」
【討伐隊】「あっ、魔法テレビで解説している人!」
【討伐隊】「『人間データベース・ガンスロット』さんだ」

『人間データベース・ガンスロット』五ツ星軍師。
 スペック24歳男、イタチ族。西部で有名な解説者とは赤の他人。

【ギュン】「剣聖選抜の本戦出場者か! そりゃ文句ない! じゃあ、始めようか!」
【ナーン】「いや、ちょっと待て! ボロボロじゃねーか。ヒーラー誰か、回復してやれ。魔法石は6個残ってるか? どうせだったら西部の選抜ルールで行こうぜ」
【ギュン】「おっ、いいねぇ。おっちゃん、太っ腹!」
【ナーン】「俺も寿命の近い身よ。お互いに人生締めくくる一戦と洒落込もうぜ! 行くぞ!」
【ギュン】「おうっ!」

【ガンスロット】「さあ、人生を賭けた一世一代の勝負が始まったでがんす!」



◆28-3 シュン vs ハイネス

 8時の方角。

【討伐隊】「中衛、抜かれた!」
【討伐隊】「慌てるな、後ろには青の騎士隊がいる!」
【討伐隊】「これ以上の突破を許すな! 左右から挟撃だ!」

【ケンタウロス族】「対応が早い! 何人が突破できた?」
【ケンタウロス族】「40人くらいだ」
【赤兜のシュン】「うわぁ、この人数で青の騎士隊とやりあうのか」
【ケンタウロス族】「青の騎士隊って2000人くらいだっけ?」
【ケンタウロス族】「この作戦には兵士は不参加、戦士のみ。それでも800人ほどだ」
【ケンタウロス族】「ま、いよいよ最期ってことだな」
【ケンタウロス族】「せいぜい時間を稼ぐぞ!」

【ハイネス】「来たぞ! 第3師団を中心に包囲陣を!」

【赤兜のシュン】「きゃー、ハイネスよー!」
【ケンタウロス族】「なんだそのしゃべり方!」
【赤兜のシュン】「いや、正体がバレないように」
【ケンタウロス族】「よりによって2位剣聖かよ。こりゃ命運尽きたな」
【ケンタウロス族】「シュ……じゃなくて、ギュンは後ろに隠れていろ! 顔はなるべく隠しておけ!」
【ケンタウロス族】「なるべく時間を稼ぐぞ!」

【青の騎士隊】「右へ流せ! 盾隊前に!」
【青の騎士隊】「槍隊、盾隊の後ろから攻めろ」
【青の騎士隊】「剣隊、周り込め!」

【ケンタウロス族】「ちょっ! こいつら強いうえに連携が!」
【ケンタウロス族】「騎士結束ってやつだ!」
【ケンタウロス族】「こっちも何か連携攻撃だ!」
【赤兜のシュン】「にわか仕込みが通用する相手じゃないわ! こっちはこっちの得意で勝負よ! 駆け回って!」
【ケンタウロス族】「そのしゃべり方はやめろ~。気が抜けるわ」
【ケンタウロス族】「こりゃ、どれだけ時間を稼げるのだか。とにかく走れ!」

【青の騎士隊】「赤兜のギュンに気をつけろ!」
【赤兜のシュン】「そこですわ! えいっ!」
【青の騎士隊】「ぎゃあっ!」
【青の騎士隊】「飛び出すな! やられるぞ!」
【ハイネス】「私が出る!」
【赤兜のシュン】「わっ、ハイネス! 行きますわよ!」
【ハイネス】「この斧の打筋は、シュンそのもの! 強さも同等だろうか。さすがは兄弟です!」
【赤兜のシュン】「よく似ていると言われますわ! とうっ!」
【ハイネス】「できれば金色のシュンともう一度相まみえたかったが、相手に不足はありません! はぁぁっ!」
【ケンタウロス族】「……意外とバレないものだな」
【ハイネス】「はぁぁっ!」
 ハイネスは意外と騙されやすいタイプだった。

 ▼

【討伐隊】「おーい、シュン・パーティー!」
【ネロ】「ネロ・パーティーだ!」
【討伐隊】「あっちでハイネスさんと赤兜のギュンが交戦中してるよ! 探してるんでしょ?」
【ヒカリ】「ありがとう!」
【ネロ】「やっと捕えた! 行くぞ!」
【ヒカリ】「みんな、ネロに続いて!」
【ミーシャン】「あいよ」
【ツクネ】「ひー、これが若者との体力差か」
【マフ】「ミーシャン、おんぶ~」
【ミーシャン】「甘えないの!」



◆28-4 5時の方角・終結

【ギュン】「うわっ! すげぇパワーだ! どう崩すか」
【ナーン】「ぬううっ! 速い上にこのパワーか!」

【ガンスロット】「さて、うってつけの解説役を見つけたので巻き込んだでがんす」
【ココ】「あ、ども。『暴れる生物学者・ココ』五ツ星魔法使い17歳。ケンタウロス族は見ての通り足が4本に手が2本、哺乳類としては珍妙な進化をした種族なので色々と研究のネタになっている種族です。
 ケンタウロス族は元々は木こりを主産業にしていた民族でした。7年ほど前、流行り病で種族滅亡の危機に。1万人ほどいた人口は4000人に数を減らしました。
 死を乗り越えたことで強い種族になった。そんな評判が出るほど、その後は沢山の強戦士を排出する民族として有名になるのですが、今思えば体に魔法石を宿すようになった事が原因でしょう。
 種族滅亡の危機がキッカケになり、魔法石に頼って生命維持をしていた進化途中の頃に先祖返り。そして、魔法石を宿すようになったために日常から魔法石の作用でバフが掛かっている状態になり強くなったのではないかと推測します」
 ココはやる気のなさそうな淡々とした喋り方で、すごい文字数を喋り続ける。学者肌の説明好きだった。

【ギュン】「へぇ、そういう事だったのか」
【ナーン】「そいつはついてねぇなぁ」
 うっかり、手を休めて解説を効いてしまう対戦者たち。

【ガンスロット】「不運としか言えないでがんすね」
【ココ】「種族的な話は以上です。はい、お二人さん、戦って下さい」

【ギュン】「おっと、再開だ! とうっ! とうっ! うらうらうらうら!」
【ナーン】「うおっ! ちょこまかと!」
【ギュン】「だぁぁっ!!」
【ナーン】「しかもこの強打! 手強い!」

【ココ】「二人とも攻撃重視のパワーファイターですけど、戦闘スタイルは全然違います。ナーンはじっくり地面を踏みしめての強打。ギュンは速さと瞬発力で加速した強打の二本立て」
【ガンスロット】「走り回り間合いを好きにできるギュン氏が有利な展開になっているでがんす」

【ギュン】「そうでもないよ。おっちゃん、もう慣れて来ている!」
【ナーン】「速い攻撃は小手先。無視してもいいダメージだ。警戒すべき強打は加速の乗った正面からの一撃。つまり正面から来るのがわかってる訳だ。わかってるなら、こうよ!」
【ギュン】「うわっ! おっちゃん、見た目の割に頭脳派!?」
【ナーン】「見た目の割にってのは余計じゃい! 俺の一打は小手先でも強いぜ! おらっ!」
【ギュン】「うわっ! げっ、斧が欠けた! これは打ち合っていたら不利だな。一気に決めるぞ! 山の風よ───荒ぶれ!」
【ナーン】「必殺技か! 向かい打つ! 大地の息吹よ、我が腕に宿れ!  ぬぉぉぉぉ───」
【ギュン】「山嵐っっっっ!」
【ナーン】「豪腕! 大地弾っっっ!」

【ココ】「両者、必殺技。共に魔法石の消費は2個ですね。共に大上段からの強打───」
【ガンスロット】「激突でがんす!」

【ギュン】「うおおおおっ!」
【ナーン】「ぬうぅぅぅぅぅっ!」
 激突する大斧と大ハンマー。せめぎ合う。
【ギュン】「わぁぁぁっ!」
【ナーン】「ぬぐぁぁぁぁっ!」
 そして両者とも弾け飛んだ。

【ガンスロット】「相打ちでがんす」
【ココ】「両者とも立ち上がりました。両者ともHP計が止まりそうな回転です」

【ギュン】「ふぅぅ、すげぇ一撃だった」
【ナーン】「ハンマーを弾き飛ばされるとは何年ぶりか」
 ナーンは近くに転がっていたハンマーを拾い、ひょいと担ぎ上げる。一方、ギュンの手にはしっかりと斧が握られていた。
【ナーン】「ハンマー使いがハンマーを弾き飛ばされちゃ話にならねぇ。この勝負、ギュンお前の勝ちだ!」
【ギュン】「……受け取っておくぜ、おっちゃん! 良し、俺の勝ちだ!」

【討伐隊】「ナーン、何カッコつけてんだよ! やるじゃねーか!」
【討伐隊】「ギュンも良かったぞ!」
【ケンタウロス族】「二人ともナイスファイトだ!」
 歓声と拍手がわく。

【ココ】「当事者同士で勝敗決定です」
【ガンスロット】「まあ妥当でがんすな。いい試合だったでがんす」

【ギュン】「じゃ……あとは兄貴に託すか。願わくば子供たちに救いがあるといいんだけど。最後に楽しい勝負が出来てよかったぜ。……おっちゃん、頼む」
 ギュンは目を閉じた。
【ナーン】「ああ、俺も楽しかったぜ。じゃあな……ふんっ!」
 ガシッと大ハンマーがギュンの頭を叩く。ギュンは気絶した。

【ケンタウロス族】「よし、俺らも潔く締めくくりますか」
【ケンタウロス族】「俺もパワーファイターがいいな。ギュンとは同じくらいだ。誰か相手してくれ」
【ケンタウロス族】「俺は四ツ星だが、五ツ星に負けない自信があるぜ」
【ケンタウロス族】「俺は最後は気持ち良く勝って終わりたいな。誰か、接待で頼むよ」
【討伐隊】「わはははっ、よーし、俺が相手になってやる」
【討伐隊】「俺で良ければ相手になるぜ」

【ガンスロット】「各々、相手を見つけてあっちこっちで対戦が始まったでがんす。勝っても負けてもケンタウロス族にとって、最後の戦いとなるでがんす」
【ココ】「解説はもういりませんね」
【ガンスロット】「いい戦いになることを願うでがんす」

 ▼

 3時の方角、中衛。
 ケンタウロス族は現れなかったが、森に潜んでいたオークルが騒ぎに驚いて暴れていた。
 オークルは豚から進化した魔獣。特徴は剣や斧、盾を作り、魔法を使う。非レア3魔獣の中では最も人に近いところまで進化していた種族である。大雑把な強さはミノタウル>オークル>ゴブール。

【討伐隊】「シールドを纏っているぞ! 見た目よりもタフだから気をつけろ!」

【レイズ】「4時? 5時? あっちは盛り上がってるみたいだね」
【リリ】「たまにキオの声……聞こえるよね?」
【レイズ】「あっ、気のせいじゃないのか。どんな声しているのよ、あの子」
【リリ】「あの声は便利だし元気が貰えるよね。はいっ!」
【オークル】「ブヒッ!」
【レイズ】「だよね。うふふふ。はっ!」
【オークル】「ブヒィィィ!?」

【討伐隊】「だ、誰だ? 気軽に会話しながらオークルをばっさばっさ倒している女の子たちは!?」
【討伐隊】「なんか妙な動きでオークルを翻弄している!」
【討伐隊】「って、西部の剣聖選抜に出ていたリリとレイズじゃないか! 本戦出場者だ!」
【討伐隊】「あっ、本当だ。東部に移籍? 誰だ、あの二人をまとめて引き当てたラッキーな軍師は!」

【マスオ】「やー、なんだろうね。最近、ツキ過ぎて恐いよ」

『准将・オーリン山岳地帯マスター・マスオ』五ツ星軍師。
 スペック24歳男。地道に成長を続け、准将になった軍師。
 准将に抜擢以来、経験を積むためにとオーリン山以外の場所にも転々と配置されていた。

【リリ】「これで全滅です」
【レイズ】「リリが言うなら間違いないね。マスオさーん、全滅だって」
【マスオ】「やー、ご苦労さま」
【カシミヤ】「出番なし」
【ノイン】「楽させてもらったよ」
【ノートン】「んだんだ」

 そんな訳でリリとレイズが配属になったのは、かつてネロがいたマスオ・パーティー。ネロが旅に出、奥さんのウニがおめでた。近接アタッカー2名募集のところを、見事リリとレイズをガチャで引き当てた。

【マスオ】「全滅だって。みんな、ご苦労さまー。元の配置に戻ってー」
【討伐隊】「了解」
【討伐隊】「いやぁ、すごかった、あの二人」
【討伐隊】「半分くらい、二人だけで倒したんじゃないか?」

【レイズ】「あっ、キオの声。伝達だ」
【マスオ】「彼、すごい声だね。知り合いなのかい?」
【レイズ】「うん!」
【リリ】「うふふふ、友達です」

 伝達の内容は、東部担当地域のケンタウロス族、一掃の報だった。



◆28-4 8時の方角・終結

 8時の方角、中衛後方。
 中衛を突破できた少数のケンタウロス族と青の騎士隊が衝突する。

【赤兜のシュン】「その攻撃は……とうっ! ですわ」
【ハイネス】「むっ! これを初見で止めるとは! やるっ!」
【赤兜のシュン】(だって初見じゃないんですもの)
 まだ正体のバレていないシュンだった。

【ケンタウロス族】「大地の力と魂の呼応を───シールド回復! あとはまかせたぞ!」
 ケンタウロス族のヒーラーがとどめを刺される直前に、シュンを回復する。
【青の騎士隊】「隊長! 残りは一人です!」
【赤兜のシュン】「全滅!? さすがは青の騎士隊……ですわ」
【ハイネス】「取り囲め! 退路を塞いで下さい!」
【赤兜のシュン】「わっ、一人を相手に容赦がない」
【ハイネス】「最後に我が青き閃光、受けるがいい!」
【青の騎士隊】「出るぞ!!」
【青の騎士隊】「隊長の必殺技、青き閃光(ブルーライトニング)!」
【赤兜のシュン】「来る!」

【ネロ】「くたばりやがれ! この、くそ野郎がぁぁぁぁぁぁぁっ!」
 ドゴオオオオオオッンンンンッ!!
【青の騎士隊】「うわっ、なんだ!?」
【青の騎士隊】「大木が! 倒れるぞ!」
【青の騎士隊】「逃げろ!」
【ハイネス】「あの大木を一撃で!? はっ!」
【赤兜のシュン】「おっと!」
 大木はハイネスとシュンの間に倒れる。二人は飛び退き、距離を取る。青の騎士隊も避け、押しつぶされる者はいなかった。

【ネロ】「そいつには先に俺様たちが用がある!」
【青の騎士隊】「誰だ、貴様! 隊長の邪魔をするなんて!」
【青の騎士隊】「どこのパーティだ! 騎士隊の邪魔をするとはどういうつもりだ!?」
【ネロ】「ネロ・パーティ……いや、元シュン・パーティーだ! シュン、てめぇ何被ってやがる!」
【ハイネス】「シュンだと!?」
【ヒカリ】「はぁっ、はぁっ、はぁっ、シュン!」
【ミーシャン】「どういう事? シュンじゃない」
【マフ】「はぁはぁ、あれシュンだ」
【ツクネ】「ふぅぅ~。ホントだシュンじゃん!」

【シュン】「あちゃ~、さすがにみんなには隠せないか。ありがとうよ、ギュン」
 シュンは赤兜と斧を丁寧に地面に置く。そして背中にしょっていた剣を抜く。

【ハイネス】「『金色のケンタウロス・シュン』!」
【青の騎士隊】「……やっぱり」
【青の騎士隊】「だよな? 俺もそうじゃないかなと思ったんだけど」
【青の騎士隊】「対戦したことのある隊長が気付かない訳ないよなーと思って」
【青の騎士隊】「隊長って結構、うっかりな所あるよね」
【青の騎士隊】「根が素直なんだよ」
【ハイネス】「……むむっ。という事は、4時の方角は!」

【モノノル准将】「伝令───! 伝令───!
 4時の方角のシュンは偽物、オトリ隊でした。現在7時の方角に戦力を集めています。ハイネス隊の半分を7時の方角に移動して下さい。ハイネス隊長は残りの隊と8時の方角に対応して下さい。以上です」
 上空を旋回しながらモノノルが叫ぶ。
【青の騎士隊】「ちょっと遅かった!」
【青の騎士隊】「今、ちょうどシュンと気付いたところです」
【モノノル准将】「あっ、やはりこっちの赤兜がシュンでしたか。私は伝令の途中ですので、ガーレット大将に報告をお願いします」
【青の騎士隊】「了解です!」
【モノノル准将】「でわー」
 モノノルは飛んで行った。

【ハイネス】「それでは偶数の師団は7時の方角に。ライオネス総隊長の指揮下に入って下さい」
【青の騎士隊】「はい!」
【青の騎士隊】「うわっ、いい所なのに」
【青の騎士隊】「あとで話を聞かせてくれよ!」
【ハイネス】「『金色のケンタウロス・シュン』、最後の勝負です」
【ネロ】「ちょっと待った! シュンの最後は俺様たちに任せてもらうぜ!」
【青の騎士隊】「貴様、隊長を差し置き何を勝手な事を!」
【ネロ】「あ? シュンの正体もわからなかったヤツに、仲間の最後を任せられっか!」
【ハイネス】「む、むむっ……」
【青の騎士隊】(うーん、それを言われると弱いかも)
 何人かの騎士がそう心中でつぶやいた。
【シュン・ヒカリ・マフ・ツクネ・ミーシャン】(青の騎士隊・隊長になんていい度胸を……)
 ネロを除くシュン・パーティーの面々はそう心中でつぶやいた。
【ハイネス】「……残りは金色のシュン一人。どうとでもなる。まずは彼らに任せてみましょう」
 ハイネスはバツの悪そうな顔をして譲歩することにする。
【青の騎士隊】(シュン対5人パーティーか)
【青の騎士隊】(メインアタッカーはあのでかいのか。隊長相手にいい度胸をしていたな。誰だ?)
【青の騎士隊】(知らないやつだが、強そうだな)
 まさかネロが四ツ星とは誰も思ってもいなかった。

【ネロ】「……」
【ヒカリ】「……」
 ネロたちはシュンの5メートル付近まで、歩み寄る。
【シュン】「シールド残量は70%ってところか。こっちはヒーラーなし。これは厳しい勝負になりそうだ」
【ネロ】「あ? そんなのどうでもいいんだよ」
【シュン】「えっ?」
【ネロ】「ヒカリがてめぇに用事があるってよ。おい、ヒカリ!」
【ヒカリ】「ひゃ、ひゃいっ!」
【ネロ】「シュンに言いたいことがあるんだろ! さあ!」
【ヒカリ】「……シュン」
【シュン】「ヒカリ。心配かけたね」
【ヒカリ】「シュン! ……シュン! うわぁぁぁぁっ!」
【ネロ】「泣いてるんじゃねぇ! 今を逃すともう言えねぇんだぞ!」
【ヒカリ】「う、うん! シュン! 好き! 私は貴方のことが好きでした! 出会った時からずーっと好きでした!」

【ツクネ】「号泣したいきおいだ。子供か!」
【マフ】「だがそれがいい」
【ツクネ】「まったく貰い泣きするわ」
【マフ】「お姉さんもちょっと涙」
【ミーシャン】「やれやれ。やっと言えたわね」

【青の騎士隊】(おっ……これは邪魔できないな)
【青の騎士隊】(いいね、若いってのは)
【ハイネス】(フッ……)
 騎士隊の面々も静かに見守っている。

【シュン】「うん、気付いていた。僕もヒカリが好きだよ」
【ヒカリ】「シュン。ありが……」
【ネロ】「あ? 軽いな、シュンよぉ! どんくらい好きだよ? 何番目よ? 種族の垣根超えて結婚してぇくらいかよ? ハッキリしやがれ!」

【ツクネ】「あーまったくこいつは!」
【マフ】「いい雰囲気台無し!」
【ミーシャン】「やれやれ」

【シュン】「まったくネロは。うん、ヒカリが一番好きだ。十二剣聖に入れたら、結婚を申し込もうか……なんて考えていたんだよ、こっそりとね」
【ヒカリ】「……シュン」
【ネロ】「ぎゃはははははっ! だったら、話は早ぇ! 受け取れ!」
【ヒカリ】「えっ!? きゃああぁぁぁぁあ!」
 ネロはヒカリを掴み、ぐるぐる回して勢いをつけ、シュンに向けて放り投げた。
【シュン】「えっ! わぁっ!」
 シュンは剣を放り投げヒカリをキャッチする。
【ヒカリ】「きゃっ、お、お姫様だっこ!?」
【ネロ】「30分待ってやる。そこらの人影のないところで、ちゃっちゃと子種を仕込んで来い! チャンスは1回、絶対に外すんじゃねぇぞ!」

【シュン】「えええっ!?」
【ヒカリ】「な、なにを言ってるのよぉぉぉぉぉぉぉぉ!?」
【ツクネ】「あーまた、やらかした?」
【マフ】「いや、こいつのこういうところ、たまに好きだわ!」
【ミーシャン】「あははははっ、頑張ってきなさい」

【ハイネス】「それはさすがに看過できません! ケンタウロス族の子孫を残すわけには行かない!」
【ネロ】「それがよ、大丈夫だって話だよな? 説明頼む」
【ミーシャン】「女が猿族、男がケンタウロス族の場合、子は猿族になるんですって」
【ネロ】「まあ、そんなの出来てたら考えればいいじゃねーか。どうするよ、シュン、ヒカリ!?」
【シュン】「あははは。まったく、ネロは無茶苦茶だ。ヒカリ、お願いしていいかな?」
【ヒカリ】「は…………はいっ!」
【シュン】「ありがとう、ヒカリ! 剣は預けておく。必ず戻ってくるから、ちょっと待っていてくれ」

【ネロ】「まったく、世話の掛かるヤツらだぜ」
【マフ】「いやぁ、お酒が欲しいわ。だめ?」
【ミーシャン】「だめです」
【ツクネ】「いやぁ、酒がなくても酔えるわ! ネロ少年、グッジョブ!」
【ネロ】「いていて、バシバシ叩くんじゃねぇ! ぎゃぁぁ、抱きつくな!」

【青の騎士隊】「えっと……(チラッ)」
【青の騎士隊】「どうしましょう……(チラッ)」
【ハイネス】「……」
 完全に場の主導権を失った青の騎士隊。ハイネスの動向を見守る。
【ハイネス】「ふぅ、念の為に9時から8時の間を警戒する。均等に広がり待機しろ」
【青の騎士隊】「はい、隊長!」

 ▼

【シュン】「行くよ、ヒカリ」
【ヒカリ】「き、来て! シュン!」

 都合によりシーン省略。

 ▼

 30分ほど経過。

【シュン】「おまたせ。まずはヒカリを安全な場所に」
【ヒカリ】「きゅう~」
 シュンのお姫様抱っこの中でヒカリは気絶していた。HP計が停止している。
【ネロ】「あ? シールド切れ?」
【シュン】「シールドが攻撃と判断したみたいで。あははは」
【ネロ】「どんだけだよ!」
【ツクネ】「ほほう、それほどに」
【マフ】「ヒカリが目を覚ましたら話を聞きましょうか」
【ミーシャン】「ヒカリ、良くがんばったね。よしよし」
 ミーシャンがヒカリを受け取り、近くの草むらに横たわらせ頭を撫でる。
【ヒカリ】「ふへへ~」
【ミーシャン】「いい夢見てるみたいよ、この娘」

【シュン】「さて、これで思い残すことはない……こともないけど、これ以上望むのは贅沢だね。最後の戦いと行きますか。ネロが来るのかい?」
 シュンは、ネロとハイネスを見る。
【ネロ】「ああ、それだが。ハイネス、任せられるか?」
【ハイネス】「私でいいのですか?」
【ネロ】「自分の程度はわかってんよ。シュンに勝つには残念だがもう一ヶ月、いや3週間足りねぇ。譲ってやんよ」
【ツクネ】「謙遜してるんだか、自信家なんだか……」
【ミーシャン】「というか2位剣聖、青の騎士隊の隊長にホントいい度胸ね」
【マフ】「恐れを知らない少年だ」
【ネロ】「それによぉ、やり合いたそうな顔をしているじゃねーか。二人ともよ!」
【シュン】「うん。剣聖選抜のリベンジマッチだ」
【ハイネス】「ああ、ハンデのない対戦をしたいと思っていました」
【マフ】「んじゃ、剣聖選抜のルールでいいね。魔法石は6個。回復は……あれ? シールド、フルに回復してんじゃん」
【シュン】「あれ、本当だ。……きっと、愛の奇跡的な? ふふふふ」
【マフ】「まったく、ノロケて。こっちは準備オッケー」
【ハイネス】「いつでも。では、始めましょう」
【シュン】「行くぞ!」
 こうしてシュン、最後の戦いが始まる。

【ハイネス】「むっ! ぬっ! 先ほどとは鋭さが違う! そうだ、これこそが金色のシュンの剣です!」
【シュン】「さっきは斧で戦っていたからね。やはり剣が馴染むなぁ」
【ハイネス】「なるほど。それで別人と錯覚させられていたのですか!」

【青の騎士隊】(隊長がどさくさ紛れに言い訳してる)
【青の騎士隊】(そういえば隊長って隊員の顔を憶えるの苦手だよな)
 騎士隊員は心中でツッコミを入れた。

【ハイネス】「大会の時よりも鋭い!」
【シュン】「大会の時よりも反応がいい!」
【ハイネス】「騎士結束と森バフによる能力アップに差はないものと考えた方がいいですね」
【シュン】「騎士結束って、周りに仲間がいるだけでバフがあるのか。多人数で戦う連携技みたいなものだと思っていた」

【ネロ】「と、なるとシュンが有利じゃねーか? ここはコロシアムと違って壁がねぇ!」
【シュン】「はぁっ! はっ! はっ! おっと」
 距離を詰めての強打からの連打。ハイネスからの反撃はひらりと避け距離を取る。
【ネロ】「ほら、あれがズリィんだ! 足の速さを活かしてのヒット・アンド・ウェイ。自分が戦いたい時だけ近づいて、戦いたくない時は離れる。あれで主導権を奪って行きやがる!」
【ハイネス】「主導権を握らせないために距離を詰めていくのがセオリー。ですが足を使った戦いをケンタウロス族と競うのは愚策。ならば……全て後手に回りましょう!」
【ネロ】「動きを止めただと? シュンの思うままじゃねぇのか?」

【シュン】「行くぞ!」
【ハイネス】「!」
【シュン】「!?」
 足を止めたハイネスに突っ込むシュンだが、ビクッとして横に飛び退く。
【シュン】「そう言えば、これがあったんだよね」
 優位なはずのシュンがハイネスの間合いにどう飛び込もうか、様子を窺うことになる。

【マフ】「……なんで攻めないの、シュン?」
【ネロ】「ありゃ、殺意でフェイントを掛けてるんだ。逆にわざと隙を見せて誘い込んだりな」
【ツクネ】「あー、決勝でゲインとやりあってたやつね」
【ミーシャン】「地味で見てる方は退屈なのよね」
【マフ】「なんでネロ少年まで冷や汗流してんのよ?」
【ネロ】「わかんねぇか? ありゃ、えげつねぇわ。こんな距離、ありえねぇ間合いとわかっていても斬られそうだぜ。あの殺意の中に踏み込むにはクソ度胸がいる!」

【シュン】「ふぅ、飛び込むしかないかなぁ。行くよ! 地よ、風よ、天に!」
 ピキッと魔法石が割れる。地と空を蹴り立体的にジグザグに跳ねる。
【ハイネス】「!」
 天から───とフェイントを掛け、ハイネスの斜め背後の低い位置をシュンが取る。
【ネロ】「死角を取った!」
【シュン】「貰った! 天馬流───」
【ハイネス】「ふっ!」
 ハイネスが振り返りもせずに背後に剣を向ける。切っ先はシュンが寄り目になるほど、的確に眼前を捕らえる。
【シュン】「わっ! ひぃぃ、危なかったぁ!」
 シュンが飛び退く。踏み込んでいたら自ら剣に顔を突っ込んでいた。

【ツクネ】「必殺技、不発!」
【マフ】「魔法石、1個無駄に使わされちゃった」
【ネロ】「あ、危ねぇ! いや、あれは避けられただけ上等だ! いつも通りに上から行く天馬流星剣だったら、避けられずに終わってた所だ」

【シュン】「ひぇぇ、完全に死角を取れたのに、あんな正確に!」
【ハイネス】「騎士結束をただのバフと思って貰っては困ります。感覚の共有こそが真髄。漠然とした以心伝心と言った所でしょうか」

【青の騎士隊】「つまり、俺たちがみんなハイネス隊長の目って事だ! 死角はないぞ、金色のシュン!」
【青の騎士隊】「まぁ隊長ほど的確に掴める騎士も稀なんだけどな」
【青の騎士隊】「普通は、隊の右の方から危機感を感じる、左の方から勝利の高揚を感じるとか、その程度だよな」

【シュン】「死角がないのなら、正面からだ!」
【ハイネス】「!」
【シュン】「届かない距離とわかっていても、この殺意のフェイントの中に飛び込むのは恐いね。あっ、隙! ……ってこれもどうせフェイントなんだよね。ブレずに真正面! 地よ、風よ、天に! 天馬流星剣!」
【ハイネス】「!」
 ハイネスは左に行くとフェイントを掛け右前方に転がる。シュンから見て左の低い位置。右利きのシュンにとってまともな攻撃できない方向だった。
【ハイネス】「ハッ!」
【シュン】「わっ!」
 シュン、ハイネスに反撃され飛び退く。

【ミーシャン】「また魔法石が1つ無駄になったわね」
【マフ】「しかも一打入れられた!」
【ネロ】「チッ! 少しは考えやがれ!」

【シュン】「うーん、これはまいった。あっさり失敗だ。これは恐いけど、上から行くしかないかな。行くぞ! 地よ、風よ、天に!」
 シュンはジグザグに空中を駆け上り、ハイネスの頭上やや後方の死角から必殺技のモーションに入る。

【ネロ】「バカがっ! だから上から行ったら避けれねだろうが!」

【ハイネス】「ハッ!」
 ハイネスの剣がシュンの眼前へと正確に向かう。
【シュン】「ここだっ!」
 シュンはハイネスの剣を剣で弾く。
【ハイネス】「なにっ!?」
【シュン】「正確すぎるのが欠点! 来る場所がわかっていれば! 喰らえ! 天馬流星剣! ハァァァァァァァッ!」
【ハイネス】「クッ! ハッ! ハッ! クッ! 雷光よ切り裂け。青き閃光(ブルーライトニング)!」
 ハイネスは必殺技の無敵時間を回避に利用する。最小限の被害で済んだと言えるが、それでもシュンの攻撃の半分以上を受けてしまう。更には魔法石を2個消費してしまった。

【ツクネ】「やった!」
【マフ】「そうだよ、剣が来る場所がわかってるんだもん」
【ネロ】「いや、だからってよ、わざわざ顔の前に剣を突き付けられに行くか?」
【ミーシャン】「顔をオトリにするようなものね」
【ネロ】「まったく、いい度胸してやがる!」

【シュン】「地よ、風よ、天に! 天馬流星剣!」
【ハイネス】「くっ! 雷光よ切り裂け。青き閃光(ブルーライトニング)!」
 再び、天馬流星剣。ハイネス、青き閃光でかわす。

【ツクネ】「連続行った!」
【ネロ】「攻め時の思い切りがいいんだよ、シュンのやつは。こっちが対応を思いつく前に猛攻をかけて来やがるんだ!」
【ミーシャン】「これで必殺技の残り回数はシュンが2回、ハイネスが1回」
【ハイネス】「くっ!」
 ハイネスがよろける。
【マフ】「もう一回行っちゃえ、シュン!」
【シュン】「もちろん! 地よ、風よ、天に!」
【ハイネス】「その残りの一回を守りに使う私ではない! 雷光よ切り裂け!」
【シュン】「えっ、よろけていたのはフェイク! しまった、誘い込まれた! 地よ、風よ、天に!」
 シュン、発動中の必殺技を捨て、最後の魔法石で次の必殺技を使う。さらに宙を蹴り、ハイネスの死角の数カ所を跳ね回る。
【シュン】「こうかな? はっ!」
【ハイネス】「殺意! いや殺意のフェイントか! 土壇場でそれを憶えるとは! いや、それとも本当に狙っている場所か!?」
 シュンも殺意のフェイントを織り交ぜて撹乱する。

【青の騎士隊】「隊長!」
【青の騎士隊】「危ない!」
【ハイネス】「!」
 ハイネスには二択が迫られる。本能的に殺意を感じる場所か。騎士結束により仲間が危険を知らせる場所か。どちらかに反応しなければならない。

【ハイネス】「考えたな。しかし───悩むまでもない。仲間を信じてこそ騎士道! 雷光よ切り裂け! 青き閃光(ブルーライトニング)!」
 ハイネスは自分の本能よりも仲間を信じた。
【シュン】「あははは、これは相手が悪かった。ギャッ!」
 ハイネスの剣撃、落雷の連撃。剣撃は払い除けたものの、雷撃をモロに食らってしまう。

【青の騎士隊】「やった!」
【青の騎士隊】「さすがは俺たちの隊長だ!」
【マフ】「シールドはギリギリ残ってる!」
【ネロ】「いや、もう勝負は付いた」
【ツクネ】「感電で硬直してるね、あれは」

【ハイネス】「ハッ!」
 ハイネスはシュンの胴にトドメの一撃を放つ……が、それを寸止めし剣を鞘に収めた。勝敗は決した。ハイネスの勝ちである。

【ハイネス】「ふぅ……ギリギリの勝利でした」
 数年後の対戦があれば……と言いかけた言葉をハイネスは飲み込んだ。

【シュン】「はぁ……リベンジマッチで勝って人生を締めくくりたかったけど、そうは上手く行かなかったか」
 シュンの硬直状態が解ける。

【ハイネス】「何か言い残したいことは?」
【シュン】「うん、ヒカリをよろしく。最後は、ネロ。君の新必殺技がどうなったか見てみたいかな」
【ネロ】「あ? 正直、まだ人様の人生の締めくくりの祝砲になるようなレベルじゃねえぞ。まだ30点って所だ」
【シュン】「その辺はイメージで補完するよ」
【ネロ】「……いや20点だな。そのくらいで補完してくれ。将来、必ずそのイメージを超えてやる! 行くぜ! くたばりやがれ! この、くそ野郎がぁぁぁぁぁぁぁっ!」
【シュン】「あっ、その掛け声は変えて欲しかったかな」
【ネロ】「喰らえ! 超新星爆ッッッッ!!!!」
【シュン】「みんな、じゃあね」

 ドォォォォォォォォン!



◆28-5 終結

 作戦総本部。

【ガーレット大将】「煙幕が晴れた。んっ?」
 ガーレット大将は高度遠望魔法『バードビュー』で一人の男の姿を見つける。

【ケイゼス】「…………!」
 7時の方角・村近く。空に向け手を振っているのは『保身が第一・ケイゼス』。ケイゼス・パーティーと前線に配置されていた者たちが、風上の煙幕の消火作業をしていた。

【ガーレット大将】「煙幕が弱まったのはケイゼスのおかげか。ならば、お仕置きはなしにしてやるか……などと、これくらいで許されると思うなよ!」

【ケイゼス】「ひぃっ!」
【前衛隊の戦士】「どうしました、ケイゼスさん?」
 臆病者の勘が遥か遠くのガーレット大将の怒りを感じ取っていた。

【モノノル准将】「どうしました、大将?」
【ガーレット大将】「煙幕が晴れた。残りは7時の方角の大隊のみだが、前線のアライドが時間を稼いでくれたようだな。応援が間に合い、もう時間の問題だろう」
【モノノル准将】「翼の民の監視隊を出しますか?」
【ガーレット大将】「そうだな。念の為に潜伏しているケンタウロス族がいないか探索に出してくれ」

 ▼

 7時の方角中衛。

【ケンタウロス族】「いよいよ、ここまでか」
【族長】「みんな、よく頑張った。ここまでにしようか」
【ケンタウロス族】「おーい、降伏するぞ!」
【族長】「子供たちにシールドはない。痛くないようにしてやってくれ」

【討伐隊】「終了だ! ケンタウロス族の族長が降伏したぞ!」
【ケンタウロス族】「なんだ降伏か」
【ケンタウロス族】「うん、まぁ無理だよなぁ」
【ケンタウロス族】「おーいあんた、最後はあんたに頼むわ。いい戦いっぷりだったぜ」
【ケンタウロス族】「えー、俺まだ戦い足りねぇ。誰か最後に戦ってくれ」
【ケンタウロス族】「私も最後は戦ってがいいな」
【討伐隊】「おっ、カワイコちゃん。俺に任せろ……えっ、そんなに可愛いのに五ツ星なのか? 俺じゃ力不足だな。誰か~」
【討伐隊】「おーい、誰かこの人と戦ってくれ。初めての戦場だ。戦闘しないとカードが貰えねーんだ」
【ケンタウロス族】「おっ、あんたレキノのデスゲームの勝者じゃん! 俺で良ければ相手になるぜ。俺に勝てれば五ツ星が付くと思うぞ」
【ケンタウロス族】「終わりか。誰か酒持ってないか? 最期は気持ち良く逝きたいぜ」
【討伐隊】「おお、俺の故郷の酒で良ければ。強いぞこれ」
【ケンタウロス族】「誰か剣聖選抜のルールでやらないか?」
【討伐隊】「俺で良ければ付き合うぜ」

【ケンタウロス族の子供】「戦い終わったの? ふぁぁ、眠い」
【ケンタウロス族】「もう寝ていいよ。疲れたね」
【ケンタウロス族の子供】「うんお休み」
【ケンタウロス族】「おーい、スリープを使える人はいないかい?」
【討伐隊】「任せて。安らかに、健やかに、深く落ちるように……スリープ!」
【ケンタウロス族】「来世でも友達になれるといいね」
【ケンタウロス族】「うん、来世で」
【ケンタウロス族】「私たちも眠らせてください」
【ケンタウロス族】「俺も頼むよ。いてて、こりゃ骨にヒビ行ってるか?」
【討伐隊】「おーい、スリープが使えるやつは手伝ってくれ」
【討伐隊】「悪あがきするやつは……いないか」
【討伐隊】「みんな安らかに逝ってくれよ」
【討伐隊】「教会の人が来たぞ」

 明け方頃、空に赤い柱を立てていた天使は村の上空から去る。ケンタウロス族、全員死亡をもって、『ケンタウロス高原・ケンタウロス族討伐』作戦は終了した。

 ▼

 後日。

 ウエスタ王国・王都。
 西部戦士連合本部。

【ガーレット大将】「ケンタウロス族の子孫を産む可能性のある貴殿には、戦士連合の監視下に入ってもらう」
【ヒカリ】「は、はい。もし子供に魔法石が宿っていた場合はやはり……」
【ガーレット大将】「そうだとしても、たった一人の魔獣に天使がわざわざ柱を立てに来る事はない。処分されるような事はない……だが、子孫にそれが遺伝する疑いがある場合は不妊手術を受けて貰うことになる。安心してくれ、と言える内容ではないがな」
【ヒカリ】「でも、せめて生きてさえいてくれれば」
 ヒカリは自分の腹をやさしく抱いた。

【ネロ】「ったく、気が早ぇな。まだできたかどうかもわかんねーのによ」
【マフ】「こら、そう言うことは言わないの」
【ツクネ】「まったくネロ少年は」
【ヒカリ】「ぜ、絶対にできてるもん! たぶん!」
【ネロ】「たぶんじゃねーか」
【ミーシャン】「でも、あまり期待しすぎると、できてなかったら落胆するわよ」
【バーン】「うむ。そんなに当たるものじゃないぞ」
【マフ】「あらぁ、バーンさん、実体験?」
【ツクネ】「お姉さん、興味津々」
【バーン】「はっはっはっはっ」
【ミーシャン】「異種族間だと、妊娠は難しいとも聞くしねぇ」
【ツクネ】「三ヶ月もすればわかるかな?」
【マフ】「ケンセイ・シックスくらいの確率のつもりで当ったらラッキーくらいに思っておきなよ」
【ヒカリ】「む~~~~! できてるもん!」

【モノノル准将】「はいはーい、みなさん、お静かにお願いします」
【ガーレット大将】「もし妊娠がわかった場合、子供が生まれた時は検査を受けてくれ。以上だ」

 ▼

 ウエスタ王国・王都。
 戦士ギルド。

【ギルドお姉さん】「戦士ギルドにようこそ」

 ネロ・パーティー一行は給料の受け取りに。

【ネロ】「チッ、チャイムなし。カードの更新はねーか。まぁ避けもしねぇシュンと大木を叩いただけじゃ仕方ねーか」
【ツクネ】「今回は移動しまくっただけだし」
【マフ】「はぁ、くたびれ損」
【ミーシャン】「まぁ、減給にならなかっただけ良しとしましょう」
【ヒカリ】「配置無視したんだもんね」
【バーン】「はっはっはっ」
【ネロ】「おっ、バーンのおっさんはボーナス乗ったみたいだな」
【ヒカリ】「負担を掛けたと思うので、そうだったら良かったです」
【バーン】「なに、大した戦闘はなかったよ。それよりもネロは西部に留まるのか? 西部の剣聖選抜は4年後だ」
【ツクネ】「それを待ってるネロ少年じゃないか」
【ミーシャン】「来年は北部ね」
【マフ】「パーティー解散かな。まあ、私もツクネも、いつ、ことぶき脱隊するかわからないし」
【ヒカリ】「うん。私もいつ、おめでた脱隊するかわからないし」
【マフ】「……」
【ツクネ】「……」
【ミーシャン】「……」
【ヒカリ】「無言で肩を叩いたり頭を撫でないでよ!」

【ネロ】「まあ、急ぐことはねぇ。2、3個依頼をこなしてからでいいんじゃねーか? バーンのおっさんの戦いっぷりを見てみたいしな」
【ヒカリ】「そうね。これなんかどう? 異常進化した巨大オークル退治。難易度は四ツ星」
【ネロ】「こいつなら活躍すれば五ツ星決定だな!」
【マフ】「オッケー」
【ツクネ】「いいね」
【ネロ】「おっ、そうだ。解散するまでの短い間だが、パーティー名はよ“シュン・パーティー”で行かねえか? あだ名でもいいんだろ?」
【ヒカリ】「───!」
【マフ】「賛成っ!」
【ミーシャン】「あら。いいじゃない」
【バーン】「ああ、それはいい」
【ツクネ】「まったく、ネロ少年は! ネロ少年は!」
【マフ】「お姉さん、惚れるわー」
【ネロ】「あ、うっせー、思い付きだ! ばしばし叩くんじゃねぇ! どうよ、ヒカリ?」
【ヒカリ】「───うん!」
 ヒカリは力強く頷いた。

 ▼

 ウエスタ王国・某所。
 マスオ・パーティー。

【リリ】「あっ……」
 リリの額の前で静電気がパチっと跳ねる。
【レイズ】「もしかして未来視(ビジョン)?」
【リリ】「はい。三ヶ月後くらい……なんだか柄の悪そうな男が女の子に『てめぇ、本当にくじ運、強ぇな!』なんて唸っていたのですが、なんでしょうか?」
【レイズ】「知り合いじゃないの?」
【リリ】「ええ、会ったことのない人です。ただのノイズでしょう。良くあることですので気にしないで下さい」
【マスオ】「……なんか彼とダブるなぁ。まさかね」
【リリ】「それよりも次はどうします?」
【レイズ】「うーん、稼ぎのいい作戦を狙って行きたいところだけど、まあガチャで引かれるままでいいんじゃない」
【リリ】「ええそうしましょう」
【マスオ】「僕たちは、まずは拠点にしているオーリン町の宿屋に戻ろうと思うんだけど、どうするかい?」
【レイズ】「みんなの子供たちに会ってみたい!」
【リリ】「宛てもないのでご一緒させて下さい」
【ノイン】「チビたち大人しくしてるかな」
【カシミヤ】「ノートンの奥さんやウニに迷惑かけてそう」
【ノートン】「んだんだ」

 ▼

 後日談。

【ギール】「その話、辞退させてもらう。敗者復活に甘んじることなく、次回、実力で剣聖の座を掴んで見せよう!」

【ラフテフ】「これはビックリ。折角ですのでお受けしましょう!」

 5位剣聖『金色のケンタウロス・シュン』が亡くなったために、6位剣聖だった『凍剣の雪女・ユキシロ』が5位剣聖に繰り上がる。
 6位剣聖には剣聖選抜で5位・6位決定戦決定に敗退した『空の王・ギール』、『嗤うトリックスター・ラフテフ』の対戦により決定されることになるが、性格の差で対戦をすることなくラフテフに決定した。

 よって、西部剣聖は以下の通りに。

 1位『静かなる野獣・ゲイン』28歳男、狼男。
 2位『ウエスタ王国・青の騎士隊エース・ハイネス』24歳男、騎士。
 3位『サイキックソルジャー・マゼラック』18歳男、超能力者。
 4位『自己愛の貴公子・ガルリアン』20歳男、ナルシスト。
 5位『凍剣の雪女・ユキシロ』五ツ星魔法剣士。18歳女、雪女。
 6位『嗤うトリックスター・ラフテフ』五ツ星剣士。25歳男。奇術師。

 



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