第27章

◆第27章 ケンタウロス高原討伐4◆

◆27-1 深夜

 時刻は深夜になる。

 5時の方角・山裾。東部作戦本部。

【部下】「ナーナ中将。そろそろ時間です。起きて下さい。……ナーナ姫、姫、起きましょう、姫」
【ナーナ】「姫言うなー! んにゃ……?」
【部下】(んにゃ、って言った)
【部下】(寝ぼけてる)
【部下】(かわいい)
【部下】(顔をくしくししてる)
【部下】(かわいい)
【ナーナ】「予想通りじゃな。風が止まっている」

 山の風は昼は温められた空気が山頂に向かい上昇する向き。夜になり空気が冷えてくると、山裾に向かい下降する向きに変わる。

【ナーナ】「もうすぐケンタウロス族側から見て追い風に変わる、その勢いに乗って動き出すはずじゃ!」

 追い風と下り斜面がケンタウロス族を勢い付かせる。そして煙幕が一層、ケンタウロス族の進行方向を隠すことになる。



◆27-2 4時の方角の攻防

【キオ】「おはよ……まだ暗い……おやすみ~」
【モリー】「こら、二度寝するな! 風向きが変わった。そろそろ出番が来るぞ! ……御飯の時間だぞ。早く起きないと食べちゃうぞ~」
【キオ】「おはよう!」
【エンジ】「ははは、なにか食べておくといいでござる」

 ▼

 4時の方角。ケンタウロス族の動向。

【ケンタウロス族】「やっと煙幕が普通に昇るようになったぞ」
【ケンタウロス族】「まったく、ひどい目にあった」
 煙幕が不利に働いたために足止めを食らった上に、予想外の被害を出すことになっていた。

【ケンタウロス族】「風向きが追い風に変わった。あとは適当に風上で煙幕を炊いていれば、風に乗って大軍が隠れているように見せてくれるだろう」
【ケンタウロス族】「そして追い風に乗って、本隊が動き出す」
【ケンタウロス族】「上手く行くといいな」
【ケンタウロス族】「俺たちはオトリを頑張るぞ」
【ケンタウロス族】「残り320人ほど。まあ十分だろ」
【ケンタウロス族】「こちらにはシュンもいるしな」
【シュン】「ははははっ。頑張るよ」
【ケンタウロス族軍師】「作戦を確認だ。敵は4時の方角の川を取るルートを警戒して西へと流そうとする布陣だ。それに乗って5時の方角を交戦ポイントとし、なるべく揉める。これで6時の方角の剣聖の気を引ければ、本命の7時ルートが少しは緩くなる」
【ケンタウロス族】「ああ、立派に時間稼ぎをしてやろう。頼むぜ、シュン」
【シュン】「ああ、まかせろ!」
【ケンタウロス族】「行くぞ!」

 ▼

 4時の方角・前衛。

【ミミル】「風向きが変わったのです」
【スモーク】「川側が風下になる。湿った風が来なくなり、煙幕が普通に空に昇る」
【ナガレ】「これならば敵情を把握できるだろう。アカツキはミミルの護衛を。4人で森の中を探ってくる」

 少しの間の後、ケンタウロス族の隊列が飛び出してくる。

【討伐隊】「来たぞ! 先頭はシュンだ!」
【討伐隊】「絶対に抜かせるな! 川は死守だ!」
【討伐隊】「なんだ、ちょっとの接触でもう引くぞ!」
【討伐隊】「追うか、ミミル?」
【ミミル】「誘っているのです。飛び出さずに守りに徹するのです」
【討伐隊】「了解、ミミル」
【ミミル】「西に流すのを忘れないように、なのです」
【討伐隊】「了解、ミミル」

【アカツキ】「ようやく、“ミミルちゃん准将”ブームが去ったな」
【ミミル】「余計な文字数は命令伝達の遅れに繋がるのです。一安心なのです」
【アカツキ】(ならば、“~なのです”や“~じゃ”というのはどうなのだろうか?)
 と思ったが口には出さずにおいたアカツキだった。

 ▼

 モリー・パーティー。
 前線の隊列からやや後方を守る。

【モリー】「とうとう衝突か。これが最終戦になるだろう」
【エンジ】「100人ほどの小隊を小出しにしているでござるな」
 エンジが付近の高い木に登り、前線を観察する。
【ミミル】「突っついて飛び出してきた所に、敵本隊でカウンター、そのまま突破という作戦だと思うのです」
 枝を伝わりミミルとアカツキがモリーの側に着地する。
【エンジ】「さすがは猫忍。身軽でござるな」
【キオ】「ミミルだ! どう、敵?」
【ミミル】「敵情は今、偵察に行っているところなのです。予想は敵の半分、シュンのいるこっちが本命中の本命の可能性を考えて、敵の7割が来ても勝てる戦力を前線に集めたのです。
 敵がもし全員で来たとしても、川ルートから西に反らすには十分な戦力なのです。反らす事にさえ失敗しなければ、5時、6時の方角でどうとでもなるのです。
 エンドライン隊は常に川への最短ルートの位置を……あれ? ナガレが帰ってきたのです」
【アカツキ】「早すぎる。何かあったのか?」
【ナガレ】「想定外だ」
【ミミル】「何があったのです?」
【ナガレ】「今、仕掛けているのは、100人程度の小隊が3つ。交代であっちこっちを攻めては引いて人数を多く見せているが、全員でたったの300人程だ」
【ミミル】「えっ! まさかオトリ隊なのですか!?」
【ナガレ】「念の為に3人には大隊が潜伏していないか村まで確認に行って貰っているが、ほぼ確定だろう」
【モリー】「最強の戦士シュンをオトリに!? こりゃ敵さんにずいぶんと大胆な軍師がいるものだ」
【ミミル】「大胆なのですが、いくらなんでもそれは愚策なのです。…………まさか! キオ、シュンとは面識があるのですよね?」
【キオ】「おー! 背中に乗せてもらった仲だ!」
【モリー】「えっ、まさか!? うちのパーティーはみんな近くで会っているよ」
【ミミル】「モリー隊、出動をお願いするのです!」

 ▼

【討伐隊】「来たぞ! 金髪のヤツが見える!」
【討伐隊】「後方にシュンだ! 主力かもしれないぞ! 警戒しろ!」
【ミミル】「1パーティーを突っ込ませるのです。フォローを頼むのです」
【討伐隊】「了解!」
【討伐隊】「どこのパーティーだ?」
【討伐隊】「ああ、あの声のでかい坊主の所か」

【キオ】「とおおおおおっ!」
 くるくると回りながら、敵陣に切り込む。
【ケンタウロス族】「こいつ、意外とやる!」
【ケンタウロス族】「子供だからって油断するな!」
【ミミル】「おー、キオ強くなってるのです!」
【モリー】「夜バフが乗っているしな」
【ホルン】「ふっふっふっ。夜の私はちょっと強い」

『暗躍する癒やし手・ホルン』四ツ星魔法使い。
 スペック19歳女。モリーのパーティーの主ヒーラー。夜になると能力がアップ。味方にバフがかかる。

【ホルン】「ふわぁぁ~」
 だが夜は夜で眠そうである。

【エンジ】「にんにん!」
【ケンタウロス族】「うわっ、分身した!」
【ケンタウロス族】「気をつけろ、忍者だ!」

【キオ】「えいっ! とうっ! うわわ、一撃が強い!」
 敵の剣を受け流すことに専念し、シュンへと近づく。
【ケンタウロス族】「狙いはシュンか! シュンを守れ!」
【ケンタウロス族】「いや、むしろシュンに任せた! 頼んだぞ、シュン!」
【シュン】「オッケー! 来い、少年! うらうらうらうらうらうらっ!」
【キオ】「うわっ、速いっ! とうとうとうとう、えいやっ!」
 シュンの連打を受け、流し、一発強打を放つ。
【シュン】「おっ、やる! うらっ!」
 キオの強打は上手く流され、返しの一発をもろに受けてしまう。
【キオ】「痛っ! とぉぉ!」
 キオの特技“転がって逃げる”。素早く距離を取る。
【シュン】「やるじゃん、小さいのに! 四ツ星くらいかな?」
【キオ】「はぁ、はぁ、あぶねー。ところで……誰?」
【偽シュン】「えっ!? しまった兄貴の知り合いか!」
【キオ】「この人、シュンじゃないぞ───!!!」
【偽シュン】「うわ、声でっか! しーしーッ!」

【ミミル】「やっぱりなのです!」
【モリー】「こりゃ、やられたね」
【討伐隊】「なんだって!?」
【討伐隊】「そう言えば、金髪ってくらいしか知らないし」
【討伐隊】「西の戦士だもんな」
【ミミル】「おそらくはシュンの弟、『森を駆ける赤兜・ギュン』なのです!」
【モリー】「で、おそらくは8時の方角の赤兜が『金色のケンタウロス・シュン』!」

 ピュ───ルルルルル───!
 鏑弾───笛の音による合図が山頂の方向から送られる。

【ナガレ】「ミランナからの合図だ。潜伏している隊はなし。オトリ隊確定だ!」

【ケンタウロス族】「村の方から何やら合図! どうやら、シュンが偽物ということもオトリ隊ということも全部バレたみたいだ」
【偽シュン=ギュン】「どうする?」
【ケンタウロス族】「まあやることは変わらねぇ。予定通り、5時の方角で一暴れだ!」
【ケンタウロス族】「移動するぞ!」

【キオ】「あっ、逃げた! 待てー!」
【ホルン】「キオ、まずは回復~。こっちゃ、おいで~」

【ナガレ】「どうする、ミミル?」
【ミミル】「追わなくてもどうとでもなる人数なのです。それよりもこの事を早く西側に知らせないと、なのです!」
【モリー】「ここに便利な連絡係がいるぞー」
【キオ】「おー! 任せろミミル!」

【キオ】「伝達───! 伝達───! 4時の方角はオトリ! シュンは偽物───!! ナーナ、急いで西に伝えて───!」
【ミミル】「ありがとうなのです、キオ。これで2時間は早く伝わるのです」

 ▼

 東部作戦本部。
 5時の方角の山裾にいるナーナまで、キオの声はしっかり届いていた。

【ナーナ】「ガーレット大将に伝達、ミミルに了解の合図を」
【部下】「了解!」
【部下】「すごい声。魔法?」
【ナーナ】「ふぅ……。これで東部の仕事は終わったも同然じゃ。しかし、シュンがいるから本命の大隊が隠れてると思いきや、シュンが偽物だったとはな。見事に乗せられたわ。だが、いい作戦であったが少々欲張りすぎたの。おかげで手は読めた」
【部下】「と、言いますと?」
【ナーナ】「東部をここまで念入りに気にしているのじゃ。真の狙いは、東部からの援護が届く範囲……7時の方角じゃろう!」



◆27-3 8時の方角の攻防

【討伐隊】「来たぞ! 赤兜のギュンだ!」
【討伐隊】「そいつには3人で当たれ! 2人じゃ無理だ!」

【ギュン】「ひぃ、そろそろ必殺技なしじゃ辛いんですけど」
【ケンタウロス族】「必殺技を使ったら正体がバレるだろ」
【ケンタウロス族】「赤兜、もっと深く被っておけ」
【ケンタウロス族】「どこで知り合いと当たるかわからないぞ。ギュンはなるべく後方で目立っていてくれ」
【赤兜のシュン】「おっけー。楽させてもらうよ」
 ということで、ミミルとモリーの予想通り、8時の方角で赤兜を被って活躍しているのはシュンだった。この事にまだ西部の討伐隊は気付いていない。

【ケンタウロス族】「そろそろ7時の本隊が動き出す頃だ。中衛を突破して、青の騎士団にちょっかいを出すぞ!」
【ケンタウロス族】「おおっ!」
【赤兜のシュン】「ひぃ、せめて斧を剣にしたい」
【ケンタウロス族】「正体がバレるから駄目!」
【赤兜のシュン】「ハイネスには会えるかな? 再戦したいような、したくないような。あの人、ほんと強いからなぁ」



◆27-4 7時の方角の攻防

 9時の方角、作戦総本部。

【ガーレット大将】「7時の方角前衛から発光弾、赤と青。大隊発見の合図だが詳細は不明」
 ガーレットはバードビューにより煙幕に紛れた発光弾による合図を受け取る。本来ならばバードビューを持つ者への連絡は、合図とメッセージボードにでも内容を書き空に向けていれば済む。煙幕により不便な手段に頼ることになっていた。
【モノノル准将】「まったく厄介な煙幕です」
【ガーレット大将】「うむ……7時、8時と別れたか。それぞれに、3割の敵に対応できる布陣を!」

 この時、まだ4時の方角に現れたシュンが偽物であり少数のオトリ隊だった事の連絡は届いていない。本命はシュンのいる4時の方角であり、半数以上がそちらにいると考えていた。

 詳細を端折ると7時の方角に対し、ガーレット大将は敵戦力を倍以上の読み違いをしている。ここの対応に間に合うかどうかが、作戦の成否、ケンタウロス族の存亡の鍵となる。

 詳細だと以下。細かいことを気にしない人は「▼」までスキップ。

 討伐隊側が考える深夜以後のケンタウロス族の戦力分布予想は、
 4時の方角に5~6割
 8時の方角に4~5割。

 対応として
 4時の方角・前衛には7割に対応できる戦力を
 8時の方角・中衛には6割に対応できる戦力を用意した。

 今、8時の方角が7時、8時に別れたと考え
 用意していた6割を、7時3割、8時3割へと分ける。

 そして、実際のケンタウロス族の戦力分布は
 4時の方角は1割。
 8時の方角は1割。
 7時の方角は7割程度。
 それに対し、ガーレット大将の読みは3割という大きな読み違いをしていた。

 ▼

 7時の方角・前衛。
 討伐隊と、ケンタウロス族本隊が接触。

【討伐隊】「中央、抜かせるな!」
【討伐隊】「なんだ!? 敵、多すぎないか!?」
【討伐隊】「おい、東西から回り込まれそうだぞ!」
【討伐隊軍師】「両側から回り込まれたら挟撃に合うぞ! こいつはどっちかに絞らないと全滅する!」
【討伐隊軍師】「良し、東側は死守しろ! 西に流せ!」

【ケンタウロス族】「敵さん、西を捨てて、東を守りに来たぞ! 西なら楽に突破できそうだ」
【ケンタウロス族軍師】「いや、それはまずい。流し切った後に、後ろから挟み撃ちにされる。適度に東も削ってくれ」
【ケンタウロス族】「良し、俺たち東側を攻める!」
【ケンタウロス族】「ぎゃあっ!」
【ケンタウロス族】「うわっ!」
【ケンタウロス族】「東側に一人、とんでもなく強いヤツがいるぞ! あっ、アライドだ! 前剣聖のアライドだ!」
【ケンタウロス族】「スランプって話じゃなかったのか!? 油断するな! 最低でも五ツ星3人で当たれ!」

『天才・アライド』五ツ星剣士。前5位剣聖。
 スペック21歳男。現在スランプ中。ひらめき型の天才が、更に強くなろうと型や技やセオリーなど、常人の行う努力をしてしまったために、持ち味であるひらめきを潰してしまう。

【アライド】「くっ、今の流れは良くない。あと少しで繋がる。来い、強戦士よ! はぁぁっ!」
【討伐隊】「ヒーラー、アライドにダブルで付いてくれ! 魔法石に余裕があったらアライドに!」
【討伐隊】「敵の強戦士を2人同時に! あれで本当にスランプなのか?」
【討伐隊】「天才と騒がれた頃のアライドからしたらな。あれは本当に美しく華麗だった」
【討伐隊】「アライドが戦うと乙女が頬を染めるなんて言われたもんだ」
【討伐隊】「ファンクラブまであったぜ。イヤなやつだぜ」
【討伐隊】「今は泥まみれで痛々しいのだが……それでも強いよなぁ」
【アライド】「くっ、繋がりが悪い。はっ、とうっ、フッ! 今の繋がりは良かった。次はそっちだ、かかって来い!! こっちもか! 同時に来い! くっ! 駄目だ! まるで繋がらない!」
【討伐隊】「不調って顔をして全員倒してる! やっぱイヤなやつだ」
【討伐隊】「繋がりってなんだ?」
【討伐隊】「攻撃から攻撃への繋がりって事なんだろうけど。流れるように見事な動きにしか見えないんだがなぁ」

【─?─】「いや、全然じゃ」
【討伐隊】「わっ、木の上に誰かいる! 味方か!?」
【討伐隊】「あっ、元剣聖の!」
 木の枝に美人熟女が座っていた。

『凍てつく闘気・雪女・ユキナ』五ツ星魔法剣士。
 スペック42歳女。鬼の血を引くと言われている一族の出。6位剣聖経験者。凍結魔法により相手動きを封じ斬る、吹雪で身を隠すと、対剣士においてはチート級。『凍剣の雪女・ユキシロ』の母である。

【ユキナ】「頭で考えるから、繋がりが途切れるのじゃ」
【討伐隊】「あーそういえばユキナさんがアライドのコーチをしているとか」
【討伐隊】「えーっと……見ているだけではなく手伝ってもらえるとありがたいのですが」
【ユキナ】「この作戦、儂はどこのパーティーにも配属しておらぬ。給料も出ぬのに働いてなるものか。ただの見物客じゃ」
【討伐隊】「あっ、ひでー」
【討伐隊】「まぁ、それはごもっとも」
【ユキナ】「手が足りなかったら、どんどんアライドに敵を回してしまえ。あやつならまだまだ行ける」
【討伐隊】「ひぇぇ、アライド、常に3、4人を同時に相手しているぞ。流石にあれ以上は」
【討伐隊】「お、鬼コーチだ」
【討伐隊】「繋がりってのは何です? 良い動きに見えるのですけど」
【ユキナ】「あやつが繋げようとしているのは、“天性”と“努力で積み上げた力”じゃ。
 天才のあやつは知っての通り、努力もなく5位剣聖まで昇り詰めたほどの天才じゃ。しかし、5位止まり。更に強くなるために努力した。努力で積み上げた部分だけでも剣聖を目指せるレベルじゃろう。
 天性で自然と体が動く。努力した技が自然と出る。この2つが融合できれば大きな飛躍があるじゃろう。しかし、現状はまるで逆。2つを使いこなそうと余計な考えを巡らせていて、むしろ互いのいいところを潰し合っている状況なのじゃ」
【討伐隊】「それで、あの強さなのか」
【討伐隊】「それじゃ、もしその2つが融合したなら……」
【ユキナ】「くっくっくっくっ。まぁ、ちょっとした人類の守護神レベルになるじゃろうな」
【討伐隊】「人類の守護神……」
【討伐隊】「全然、ちょっとしたレベルではないのですが!」

 ▼

 その頃、9時の方角、作戦総本部。
 やっと西からの伝達が届く。

【ガーレット大将】「ナーナ姫からの連絡だ。了解の合図を」
 東部作戦本部より伝達の合図の狼煙。まだ煙幕の影響がない場所のため、空に向けられたメッセージボードにより内容が伝えられる。
【部下】「了解です」
【モノノル准将】「何か起きましたか?」
【ガーレット大将】「やれやれ、4時の方角はオトリの小隊。向こうに現れたシュンは偽物との事」
【モノノル准将】「えええええっ!? って事は!?」
【ガーレット大将】「8時のやたら強いという赤兜がシュンだろうな。そりゃ強い訳だ。はっはっはっはっ、こいつは一本取られた」
【モノノル准将】「笑ってる場合じゃないですよ~。という事は、8時の方角が本命ですか?」
【ガーレット大将】「うむ……いや、やはり本物のシュンもオトリだろう。7時の大隊が本命だ!」
 ナーナと同じ結論に行き着く。東部の担当地区で手の込んだオトリ作戦をしているからには、東部の応援が届く6~7時の方角が本命。そして7時の方角に大隊が出現している。
【ガーレット大将】「やる気のないケイゼスを突破し、青の騎士隊をおびき寄せ、スランプのアライドを狙う作戦か。どういう手段かはわからんが、こちらの配置を完全に把握していると思った方がいいな。
 7時の中衛後方を8割対応に増強する!」
 ガーレットは付近の戦力をどの様に7時の方角に寄せるかを指示する。
【ガーレット大将】「以上の通りに伝達を……ん? 煙幕が薄くなってきている。ならばモノノル、取り急ぎ青の騎士隊、8時中衛、9時中衛の順に迅速に伝達を頼む!」
【モノノル准将】「はい! ひとっ飛び行ってきます!」
【ガーレット大将】「他は早馬で。時間との勝負だ。可能な限り迅速に!」
【部下】「了解です!」
【ガーレット大将】「ケンタウロス族に一抹のチャンスを与えてしまったな。アライドが時間稼ぎをしてくれている事を祈ろう」



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