第24章

◆第24章 ケンタウロス高原討伐1◆

◆24-1 未来のキオ

 イスタン王国。東西南の3大国のうちの東部の大国である。

 お隣の大国ウエスタ王国との国境近くの町。
 宿屋の酒場。

「旅のお方? 賭けポーカーはいかが?」
 と、キオたちモリー・パーティーの御一行に声をかけたのは───
【キオ】「あっ! イカサマの人!」
【カローラ】「えっ、レイズちゃん!?」
【ホルン】「レイズちゃんだ~」
【ホーマス】「…………おおっ、レイズちゃん(ボソッ)」
【レイズ】「あちゃぁ~、正体バレバレ」
【リリ】「もっとウエスタ王国から離れないと無理ですね」
【キオ】「もう一人は予知能力の人だ!」
【エンジ】「ギャンブルに関しては最凶の二人がコンビを組んだでござるな」
【モリー】「なるほど、地元じゃ顔が知られてしまったから、他国に出稼ぎに来たんだな」
【レイズ】「あははは。いやぁ、おかげで商売あがったりです」

 キャラクターおさらい。

『エンドラインの守護神・モリー』五ツ星軍師。
 スペック24歳女。守備バフ。副ヒーラーもこなす。ボイン。

『猿忍者・山の隊隊長・エンジ』五ツ星忍者。
 スペック23歳男。猿獣族の猿忍者。近接アタッカー。剣撃に麻痺効果。育成能力に秀でる。

『小さな竜巻・キオ』四ツ星剣士。
 スペック15歳男。近接アタッカー。攻撃バフ。

『暗躍する癒やし手・ホルン』四ツ星魔法使い。
 スペック19歳女。主ヒーラー。夜にバフ。混乱魔法。夜にパワーアップする。

『旋回する七本の矢・カローラ』四ツ星弓士。
 スペック26歳女。遠距離アタッカー。痺れ矢による広域攻撃。副ヒーラーもこなす。

『気の優しい力持ち・ホーマス』四ツ星サポーター。
 スペック26歳男。サポーターが本業だが、投擲を特技とする。もの静かな脇役。

 以上がモリー・パーティー。
 そして───

『戦場を翻弄するイカサマ師・レイズ』五ツ星剣士。
 スペック16歳女・狸族。レキノ市で生まれ育った少女。幼い頃からギャンブルで鍛え抜かれた駆け引きにより敵を欺く。

『千手先を見通す瞳・リリ』五ツ星剣士。
 スペック19歳女。兎族。数分後の未来のビジョンを見る予見能力で戦う。

 先に行われていたウエスタ王国レキノ市で行われていた、西部・剣聖選抜大会で共に入賞を逃し敗退したレイズとリリ。それをキッカケに行動を共にするようになっていた。

【カローラ】「ほほう。こうして今まで食べたパンの枚数など憶えていないがごとく、旅人を餌食にしてきたのね」
【ホルン】「レイズちゃん。お・久・し・ぶ・り~」
 カローラ、ホルン、ホーマスの3人はレキノ市に到着早々、今のようにレイズにポーカー勝負を持ちかけられて有り金ごっそり奪われる。
【リリ】「レイズ、お知り合い?」
【レイズ】「あっ、思い出した! あの時の人たちか。まあギャンブルってのは時の運ってやつです。勝つ時もあれば負ける時も」
【エンジ】「ほう……あのオウムでござるな」
【ペリー】「クエッ!?」
 レイズのパートナー、オウムのペリー。レイズと一緒に店に入ってきたが、いつの間にキオたちの背後の観葉植物に止まっていた。
【エンジ】「このオウムのペンダント、ピカピカで鏡のように良く映るでござる」
【カローラ】「あっ! そのオウム、あの時も私たちの後ろにいた!」
【ホルン】「なるほど~」
【ホーマス】「…………不自然な負けが多いと思った(ボソッ)」
【エンジ】「忍者の目はごまかせないでござるよ。にんにん」
【レイズ】「あ、あちゃ~。リリ、どうしよう!」
【リリ】「もう、レイズは。レイズのためにならないから、解答をズバリは教えませんよ。未来視(ビジョン)……」
 リリの額の前で静電気がパチっと跳ねる。何をすると数分後にどうなるか、未来の分岐を視ることができる超能力である。
【リリ】「心のままに行動するのが一番いい選択だと思います」
【レイズ】「ありがとう、リリ。心のままにか……ならば! 皆さん───すみませんでした! あの時のお金はお返しします!」
【モリー】「おお、見事なジャンピング土下座」
【ホルン】「意外と潔い。まあ、ケンセイ・シックスで儲けたからいいんだけどね~」
【ホーマス】「…………お金はいいから握手を(ボソッ)」
【カローラ】「土産話になったし、謝ってくれれば良し。全て水に流しましょう」
 選抜大会中には既にレイズを応援していた3人。はなっから、もう怒ってはいなかった。

【エンジ】「お詫びと言うことならば、うちのキオ殿と模擬戦をしてやって欲しいでござる」
【キオ】「おー、戦いたい! やろうレイズ!」
【レイズ】「えっ、この子と? そんな事でよければ喜んで!」
【モリー】「こう見えて、四ツ星剣士なんだ」
【エンジ】「小柄なレイズ殿がどう戦っているのか、参考にさせて欲しいでござる。

 と、キオvsレイズの模擬戦が始まる。

【レイズ】「うーん、私は参考にならないと思うけど。基本技はフェイント……大会を見ていたなら知ってると思うけど、こんな感じ」
【キオ】「えっ、こっち? 逆!? 前に走るポーズで後ろに走ってる。あれ、どこ!?」
【レイズ】「えいっ」
 キオはあっという間に背後を取られ、後ろ頭に軽くチョップを決められてしまう。
【キオ】「すっげー! レイズすげー!」
【レイズ】「ははははっ、えっへん。今度はキオ君、打ち込んでみて」
【キオ】「おう! と───っ!」
 半身を翻し、遠心力と助走をくわえた一撃がレイズに迫る。
【レイズ】「わっ! びっくり! 結構な強打が来た! なるほど、四ツ星というのに納得だわ」
 と言いつつ、レイズはキオの両手の強打を片手持ちの剣で受け止めていた。
【キオ】「と───っ! とうっ!」
【レイズ】「おー、強い強い。こっちも攻撃行くよー。えいっ! とうっ!」
【キオ】「わっ! わっ! レイズ、意外と力持ち!? 軽く撃ってる感じなのに、ネロと同じくらい強いぞ!」
【レイズ】「見た目と力のギャップ、これがまたいい具合にフェイントになってくれるの」
【エンジ】「なるほど、シールドの魔法作用により肉体能力が大幅にアップしているのでござったか」
【リリ】「そうです。強力な自己バフがかかっている状態になります。それと動体視力も良くなりますね」
【レイズ】「だから、特に特訓したわけでもなくこの強さなわけ。参考にはならないでしょ?」
【キオ】「えー、なんかずるい!」
【レイズ】「そう言われると申し訳ないけど、天賦の才だから仕方ない。リリなんかもっとずるいよ。加えて、あの未来視。しかも超能力だから、シールドなしでも使えるんだもん。もう反則だよね」
【リリ】「自己バフはレイズほどではありませんが。まぁレイズとは相性がいいいでしょう」
【レイズ】「どうする? 続ける?」
【キオ】「うーん……折角だから必殺技を受けてみたい!」
【レイズ】「おっ、いい度胸ね。それじゃ行くよ。光と水のミラージュ! ───ハイ・アンド・ロー! さて、上から来るかな、下から来るかな?」
 レイズ分身、必殺技『ハイ・アンド・ロー』。上段の構えのレイズ、下段の構えのレイズ、二人のレイズがキオに迫る。
【キオ】「こっちも行くぞ! 美味しいところ───いただきぃぃぃぃ!! 上から二人ともまとめて斬る!」
 キオは近くの木を駆け上り、レイズの頭上から必殺技『キオ・ミサイル』で斬りかかる。が、キオの剣は地面を叩いた。
【レイズ】「残念、両方ともハズレでした!」
 レイズはキオの背後にいた。
【キオ】「ええ、そういうパターンもあるの!? ず、ずりぃ!」
【レイズ】「手加減ハイ・アンド・ロー。とりゃ、ていっ!」
 上段から一撃、すぐさま下段から追撃。キオは宙を舞った。
【エンジ】「にんっ。ここまでにしておくでござるか」
 エンジは地面に叩きつけられる寸前にキオをキャッチした。気絶回避で模擬戦、終了。

 ▼

 酒場で食事と団らん。

【キオ】「へー、リリの本業は占い師なんだ」
【レイズ】「ビジョンで少し先のことを当てて見せれば、みんな信じちゃうもんね。おとなしい顔をして恐ろしい娘」
【リリ】「人聞きの悪い。ちゃんと占いの勉強もしています」
【レイズ】「戦場に出たことないんだって」
【リリ】「恥ずかしながら。町で暴れていたミノタウルを倒したのをキッカケに五ツ星をいただいたのですが、魔獣と戦ったのはその時だけ。だって戦場って、おトイレとかお風呂とかありませんでしょ?」
【キオ】「そんな理由!」
【レイズ】「私は何回かあるよ。えっへん」
【エンジ】「何回か、なのでござるか」
【モリー】「そんな二人がどうして剣聖選抜に? 寿命免除かお金が目当て?」
【リリ】「ええ、まあそんなところです」
【レイズ】「剣聖を一期やれば生涯食いっぱぐれないと聞いて」
【エンジ】「まぁ目指せるだけの能力があれば、誰でも挑戦するでござろう」
【レイズ】「日々、努力している人たちには本当に申し訳ない」
【キオ】「格差だ! 格差社会だ!」
【モリー】「キオ、難しい言葉を憶えたな。よしよし」
【レイズ】「まあもう諦めたけどね」
【リリ】「私も諦めました」
【キオ】「えーっ! 諦めちゃうの!?」
【レイズ】「まず、私じゃ、リリに当たったら確実に負けるし。ギャンブラーの天敵だもの」
【リリ】「皆さん化物揃いです。天賦だけでなく、多大な努力が必要な世界だと思い知りました」
【キオ】「俺がさっぱり勝てないレイズも、レイズよりも強いリリも諦めちゃうのかぁ」
【エンジ】「ははははっ、剣聖の道は遠いでござるよ、キオどの」
【キオ】「おー、俺、がんばる!」
【リリ】「キオ君は剣聖を目指しているのですか?」
【レイズ】「おお、頑張れ少年。今であの強さなら、大きくなる頃には期待できるんじゃない?」
【モリー】「あ……レイズって確か16歳だよね? キオ、こう見えて15歳なんだ」
【レイズ】「えっ! もう少し幼いかと……えっとその……」
【モリー】「はははは、無理そうだろ?」
【キオ】「無理じゃない! 俺、がんばるぞー!」
【モリー】「めげない子だから、はっきり言っても大丈夫だよ」
【エンジ】「ははははっ、キオ殿はその小さい体が天賦でござる」
【キオ】「そうだぞ! ねー、エンジ師匠」
【エンジ】「この小さい体に、体格差や力を補う技術を沢山身に付けるでござる。そして体が大きくなった時……ふふふ、楽しみでござらんか? 聞けばキオ殿のご両親も姉も体の大きさに恵まれていたとのことでござる」
【モリー】「おお、そういう作戦だったのか」
【エンジ】「キオ殿は今は一生懸命、修行に励むでござる」
【キオ】「おー、エンジ師匠!」
【リリ】「あっ……」
 リリの額の前で静電気がパチっと弾ける。そして表情を曇らせる。それに気付いた者はいなかった。

 ▼

 宿屋・レイズとリリの部屋。

【レイズ】「あの子……キオ君の未来が視えた?」
【リリ】「はい。私の能力は元々、気まぐれに働く能力をコントロールしようとした結果、数分後に限っては自由に見られるようになったものなんです。意図せずに勝手に発動する事が度々あるのですが、先程5年後くらいのキオ君の姿が見えてしまいました」
【レイズ】「へぇ! どうだった? まさか本当に剣聖に?」
【リリ】「それはわかりませんが……背が……」
 リリはビジョンを思い出す。それは今のキオと変わらない身長だった。
【レイズ】「それは……教えた方がいいのか、いけないのか……」
【リリ】「困りましたねぇ。本人には話せないとして、師匠のエンジさんにだけ話しましょうか?」

 ─間─

【エンジ】「それは……なんとも。うむ───」
 苦い顔のエンジだった。
【エンジ】「次の手を考えないといかんでござるな」
 だが、次の瞬間、楽しそうな顔を浮かべるエンジだった。
【レイズ】「前向きだなぁ」
【エンジ】「そのキオ殿は、今の様に元気でござったか? 怪我などもなく、五体満足で」
【リリ】「はいそれは。今よりもっと元気なくらいにミノタウルに立ち向かってました」
【エンジ】「ということは……5年後までキオ殿にどんな無茶な修行をさせても無事ということですな。くくくくっ、これは修行が捗りそうでござる」
【リリ】「なるほど、そう考えますか」
【レイズ】「ま、前向きだなぁ!」
【エンジ】「にんにん」

 この後、キオが剣聖を目指している理由───親友のアキラが超人になり、アキラに殺してと頼まれてた事を聞かされ、キオに関心を抱くリリとレイズだった。



◆24-2 ケンタウロスの村

 ウエスタ王国・モルベ区・ケンタウロス高原・ケンタウロス村。
 レキノ市から北西へ馬車で4日ほど、高原の麓から山頂付近の村まではさらに丸1日ほど掛かる広域な山林の中にある村。名前からお察しの通り『金色のケンタウロス・シュン』の故郷である。

「シュンが帰ってきたぞ!」
「5位剣聖様のお帰りだ!」
「パーティーやるぞ!」
 シュンの帰郷に村中が沸き立つ。

【ネロ】「おっ! やっぱ、ケンタウロス族は当たりが強ぇな!」
【ギュン】「うわ、ネロ、マジで四ツ星なのか!? 兄貴の練習相手に選ばれただけある!」

『森を駆ける赤兜・ギュン』五ツ星斧使い。
 スペック16歳男。ケンタウロス族。シュンの弟。二つ名通り赤兜がトレードマーク。最近、活躍が話題になっているケンタウロス族の戦士の一人。

【ネロ】「付いてきて正解だ! この村、強そうなヤツらがゴロゴロいるじゃねぇか! ぎゃははははっ!」
 村に着いた早々、ネロはケンタウロス族に勝負をふっかけていた。
【ギュン】「よそ見している余裕はないぞ! うらうらうらうら!」
【ネロ】「おっ、おっ、おっ、おっ! 強ぇ! だが、シュンほどじゃねぇ! どりゃぁぁぁ!」
 ネロはギュンの斧を弾き、剣をギュンの首へと当てた。
【ギュン】「うわっ! ギブアップ! 悔しい、四ツ星に負けた!」
【シュン】「ネロは既に剣聖を目指せるレベルだよ。剣聖選抜大会・本戦に出場した『闇に紛れる黒豹・サスケ』と互角だもの」
【ネロ】「いや、あいつは夜バフ持ちだ。昼間に互角じゃ意味がねぇ」

【ヒカリ】「戦うことに関してだけは自分に厳しいんだよね、ネロ」
【ミーシャン】「ギュン君も金髪ね。金髪のケンタウロス族って珍しいみたいね」
【マフ】「シュンを小さくした感じで可愛いじゃない。将来はシュンそっくりになりそうだね」
【ツクネ】「ヒカリ、早めにつばを付けておいた方がいいぞ」
【ヒカリ】「な、何を言ってるのよ、もう」

【ケンタウロス族の少年】「ネロ、今度は俺と勝負だ!」
【ケンタウロス族の少年】「俺も!」
【ケンタウロス族の少年】「俺も俺も!」
【ネロ】「なんだ四ツ星か? だったら三人まとめてかかって来やがれ! ぎゃははははっ!」
【ケンタウロス族の少年】「お前もまだ四ツ星だろー」
【ケンタウロス族の少年】「なまいきだ! みんな負けるなー!」
【ミーシャン】「ネロ、人気じゃない」
【マフ】「長旅のあとに元気ねぇ」
【ツクネ】「若さが羨ましい」

 キャラクターおさらい。

『金色のケンタウロス・シュン』五ツ星剣士。西5位剣聖。
 スペック20歳男・馬獣族。近接アタッカー。

『爆殺・ネロ』四ツ星剣士。
 スペック18歳男。近接アタッカー。

『戦場に煌めく閃光・ヒカリ』五ツ星軍師。
 スペック18歳女。軍師と雷魔法、各四ツ星半で五ツ星認定の後衛もできる軍師。くじ運に定評がある。シュンのことを男として意識しているのがバレバレ。

『畳み掛ける回復の圧力・マフ』五ツ星ヒーラー。
 スペック24歳女。巨乳。連続回復と全体バフを必殺技に持つ。追記:行き遅れ、酒好き。

『暴風切り裂き注意報・ツクネ』五ツ星魔法使い。
 スペック24歳女。巨乳。風属性の強力な全体攻撃を必殺技に持つ。追記:行き遅れ、酒好き。

『駆ける過積載・ミーシャン』五ツ星サポーター。
 スペック28歳女。熊獣族。熊顔、熊のしっぽ、熊の手足。ほぼ人語を話す熊である。専業サポーターで、馬車並みの荷物を担いで山中を駆け回ることができる。

【ケンタウロス族・族長】「ちょっと主役を借りるぞ」
【シュン】「表彰式の打ち合わせだって。みんなはくつろいでいて」
【ヒカリ】「はーい、もう歓迎されてまーす」
【マフ】「ケンタウロス族の料理、いける!」
【ツクネ】「お酒は何か草っぽいフレーバー。変わった味と思ったら3口で慣れた! 美味い! やばい、もう止まらない」
【ヒカリ】「ほどほどにね~。なんか、戦場のキャンプみたいな雰囲気で落ち着く。あっちこっちテントだらけ」
【マフ】「テントに住んでるのかな? ケンタウロス族」
【ケンタウロス族の男】「ああ、シュンの剣聖入りを祝いに、みんな帰郷して来たんだ。俺たち半分くらいは戦士で、普段は出稼ぎに行ってるから」
【マフ】「半分!?」
【ツクネ】「それはすごい。猿族だと普通は1割くらい?」
【ミーシャン】「そういえば小さい子たちも戦士の装備してるわね。君たち何歳? もう戦士デビューしてるの?」
【ケンタウロス族の少年】「俺、10歳! 三ツ星斧使い!」
【ケンタウロス族の少女】「私は14歳。四ツ星斧使い。デビューは9歳だよ」
【ツクネ】「若い!」
【マフ】「若さを吸わせろ~。ちゅーっ」
【ケンタウロス族の少年・少女】「きゃーきゃー。酒くせー!」
【ミーシャン】「でも、最近まで聞かない種族だったわよね? 急にどうしてかしら」
【ヒカリ】「シュンの話では、7年前にこの村で病気が大流行して、人口が半分くらいになっちゃったんだって。その後は戦士急増。生死を乗り越えて強くなったんじゃないかって話」

【ケンタウロス族の女】「シュン、着替えはこれね」
【ケンタウロス族の女】「サイズはこのままで大丈夫そうね、シュン君」
【ケンタウロス族の女】「シュン兄さん、礼装もカッコイー」

【ヒカリ】「ケンタウロス族の女の子だ……年頃の女の子もいるんだね。って当たり前か」
【ミーシャン】「そりゃそうでしょ」
【マフ】「へぇ、みんなかわいいわね。シュン、もてもてじゃん」
【ツクネ】「ヒカリ、ピーンチ」
【ヒカリ】「な、なによー!」
【ネロ】「ふー、いい運動になったぜ。食い物くれ」
【ミーシャン】「おつかれさん」
【ネロ】「ところで、ヒカリよお、てめぇもしかしてシュンの事、好きなのか?」
【ヒカリ】「ぶ───っ! こういう事には全然関心のなさそうなネロにまで!?」
【マフ】「あははは、バレバレだからね」
【ツクネ】「だけど、シュン本人はどうだか」
【ミーシャン】「あれは相当なニブチンだからね」
【ネロ】「余計なお世話かもしれねぇが……シュンはお前には無理じゃねーか?」
【ヒカリ】「! なんですって!」
【マフ】「こら、ネロ少年。それは本当に余計なお世話」
【ツクネ】「女のデリカシーを勉強しなさい」
【ミーシャン】「男が口を挟むと面倒なことになるわよ」
【ネロ】「だってよ……とんでもなく、でけぇぞあいつ。まさに馬並み。この前、一緒に風呂に入ってびびったわ」
【ヒカリ】「~~~~~~~~~~~~~~!?」
【マフ】「あっ、そーいうこと」
【ツクネ】「ほほう、それほど」
【ミーシャン】「あー、それはそれで言っちゃ駄目よ。デリカシー!」
【ネロ】「鍛えれば何とかなるもんか? まぁ、大変だと思うが頑張れよヒカリ」
【ヒカリ】「…………わあああああ! ネロはもう! ネロはもう!」
【ネロ】「痛っ、てめぁポカポカ殴るんじゃ……うわ、何、鼻血吹いてるんだよ!?」
【マフ】「若い」
【ツクネ】「若いなぁ」
【ミーシャン】「若いわねぇ」

【ケンタウロス族の女】「ほほう、異種族間の禁断の恋?」
【ケンタウロス族の女】「面白そう。おねーさんたちも混ぜて、混ぜて」
【ネロ】「うわ、酒くせぇ! ケンタウロス族のマフ、ツクネかよ!」
【マフ】「どうぞどうぞ」
【ツクネ】「人のラブ話は、種族共通で女の酒の肴なのよ」
【ヒカリ】「いえいえ、いえいえ、そんなんじゃ」
【ケンタウロス族の女】「私らと他種族で結婚すると……率直に言うと、子供ができるかどうかって話、聞きたくないかなぁ?」
【ヒカリ】「聞きたいです!」
【ネロ】「即答かよ!」
【ケンタウロス族の女】「うひひひ、素直な娘は好きよ」
【ケンタウロス族の女】「猿族の娘だよね? まぁ結論から言っちゃうと、ケンタウロス族と猿族で結婚して子供ができた例は結構あるよ」
【ケンタウロス族の女】「母がケンタウロス族で父が猿族の場合、子はケンタウロス族。母が猿族で父がケンタウロス族の場合、子は猿族。になるんだって」
【ミーシャン】「母親の形を受け継ぐのね」
【ケンタウロス族の女】「まあ私ら、手足合計6本のへんてこ哺乳類だからねー。どっちかに合わせないと都合悪いんでしょ」
【ネロ】「ほう!」
【ミーシャン】「へぇ」
【マフ】「ヒカリ、やったじゃない!」
【ツクネ】「というか……やっちゃえ!」
【ヒカリ】「な、何言ってるのよぉ!」
【ケンタウロス族の女】「犬族、猫族との例もあるけど同様、母方の種に。妊娠確率は同種同士の半分くらいって言われてるわ」
【ケンタウロス族の女】「うーん、強戦士の血を村に残して欲しいと思いつつ、異種族間の恋とか面白いから、おねーさんたち応援しちゃうぞ」
【ケンタウロス族の女】「でも、シュンは競争率高いぞ。あの美形、さらには将来安定の剣聖! 私らも旦那がいなかったら玉砕覚悟で挑戦したかもね~」
【ネロ】「ぎゃはははは、ケンタウロス族版のマフ、ツクネは行き遅れてねぇみたいだぞ」
【マフ】「ネロ、うっさい! ヒカリ、急がないと!」
【ツクネ】「早く既成事実を!」
【ヒカリ】「ああ、もう! 人を酒の肴に~」

【シュン】「やあ、盛り上がってるみたいだね」
【ヒカリ】「きゃぁぁぁぁぁぁあああっ!?」
【シュン】「うわっ、な、何?」
【ヒカリ】「な、なんでもない!」
【シュン】「マフ、泥酔してなかったらシールドを頼めるかい」
【マフ】「はいよ。誰かと模擬戦?」
【シュン】「いや、あれ。偵察に行くから念のために」
【ヒカリ】「あっ! 赤い柱!」
【ネロ】「なんだ、すぐ近くじゃねーか」

 赤い光の柱。天使が退治すべき魔獣の場所を指し示す目印である。それが隣の村落を照らしていた。

「異常なし」
「異常なし」
「大体、魔獣がいれば気付くだろ。村落のド真ん中だ」
「って言うと、地下かね?」
「地下に何千年と眠っていた巨大生物が目を覚ました、みたいな?」
「光の柱付近からは避難。戦士連合(ユニオン)の指示を待つとしよう。明日には来るだろう」

【シュン】「そんな訳で表彰パーティーは中止に。みんなには申し訳ないけど、麓のゼゼ町に避難して」

 ▼

 2日後には、戦士連合(ユニオン)から調査団が到着する。その3日後、魔獣の正体は不明のまま作戦の概略が発表される。

 ゼゼ町の宿屋。

【マフ】「作戦名“ケンタウロス高原討伐”作戦決行は2週間後。募集パーティー数20000!?」
【ミーシャン】「ここらでは、ここ数年で最大規模の作戦ね」
【ツクネ】「どんな化物が眠っているってのよ」
【ヒカリ】「ケンタウロス族は職業・年令問わず、可能な限り作戦地に集合。特務に就いてもらう……だって」
【ネロ】「つまり、シュンは抜けるって事か。じゃあ、シュン・パーティーじゃねぇな。臨時でネロ・パーティーでどうよ? ぎゃはははは」
【ヒカリ】「それはどうでもいいけど、シュンの代打になるアタッカーが必要ね」

 ゼゼ町、戦士ギルド。

【ギルドお姉さん】「戦士ギルドにようこそ♪」

【ネロ】「チッ、チャイムなしか。折角、付いてきたのによ」
 カードが更新される戦士が来店すると、チャイムでお知らせするシステムになっている。
【ヒカリ】「カード更新はそこらの野良試合じゃ駄目だよ。なんかの作戦に参加しないと」
【ネロ】「ゾンビ・ダンジョンの戦果はどうよ? 結構な大物を倒したと思うぞ」
【ヒカリ】「ダンジョンはカウントされないよ。だって、人工衛星エンビアって空にあるんだもの」
【ネロ】「あっ! 地下は監視できねぇのか! 使えねぇ!」

【ギルドお姉さん】「今日の御用はガチャですか? ガチャですね? ガチャがおすすめ♪ 今日はガチャ日和ですよ♪」
【ネロ】「ここのギルドお姉さんは、ヤケにガチャ推しだな!」
【ヒカリ】「5位剣聖シュンの代打。さすがに同じくらいの戦士は期待できないけど、まあ引いてみますか。10連お願いします」
【ギルドお姉さん】「あなた方に良い運命の導きがありますように♪」

 ガチャ☆
 今、運命のレバーが回される。

【ギルドお姉さん】「! これは……強い運命の導きを感じます♪」
 ギルドお姉さんが瞳が金色に輝く。ガチャの装置も金色に輝く。

【ヒカリ】「金色演出!? 流石、私のくじ運!」
【ネロ】「おっ、やるじゃねぇか! 五ツ星確定!」
【ヒカリ】「近接! 近接アタッカー! お願いしますぅぅぅぅ!」

 ガチャから金色に縁取られたカードが排出され、パーパパパパーパパパパー♪とファンファーレが店内に鳴り響いた。

【ギルドお姉さん】「これは!!! すごい人を引きましたよ! おめでとうございます。『全身サイボーグ・バーン』五ツ星闘剣士です!」

『全身サイボーグ・バーン』五ツ星闘剣士。前・西2位剣聖。
 スペック27歳男。機族の族長。

【ヒカリ】「わぁぁぁぁ! すごい代打来た───っ!」
【ネロ】「おおおおおおぉ! どんな強運しているんだよ、てめぇ!」



◆24-3 再びウエスタ王国へ

 キオたち。

【モリー】「この作戦、どうする? またウエスタ王国に戻る事になるけど」
【エンジ】「大規模でありますな。難易度は四ツ星。東西北のユニオンに募集がかかっているでござる」
【キオ】「シュンの故郷だ! あっ、ナーナが指揮に来るって。面白そう!」
【カローラ】「任せるよ」
【ホルン】「同じく~」
【ホーマス】「………同意(ボソッ)」
【モリー】「ちょっと期間があるな。楽な依頼を1つ2つ入れて移動しようか」

 リリとレイズも大規模作戦に参加することになる。

【リリ】「初めてのパーティー配属です。どきどきです」
【レイズ】「わかるわかる」
【キオ】「おめでとー、リリ!」
【リリ】「うふふふ、ありがとう、キオ」
【キオ】「レイズと一緒のパーティーなんだ」
【レイズ】「うん。私も久しぶりのパーティー配属。私のリハビリとリリの初めて、二人一緒だし手頃かなと」
【リリ】「戦闘よりは野営に慣れることができるかどうか」
【レイズ】「戦地は一緒だし、しばらく同行していい?」
【モリー】「何ヶ所か寄り道するけど、こちらは別に構わないよ」
【リリ】「では、みなさんしばらくよろしくお願いします」
【キオ】「おー!」
【レイズ】「ところでキオ、あのナーナ姫と知り合いなの?」
【キオ】「うん、友達! お尻を見せ合った仲だ。ミミルも!」
【リリ】「もしかして、キオ、大物?」
【モリー】「特技というか、見た目、子供と思われる特権か。そいつは誰とでも友達になれちゃうんだ」
【キオ】「おー、レイズもリリも、もう友達!」
【レイズ】「うん、友達! あー、なるほど」
【リリ】「うふふふ、なるほどですね」



◆24-4 剣聖選抜大会出場者たち

【バーン】「ほぅ、あのケンタウロスのシュンがいたパーティーか」
『全身サイボーグ・バーン』五ツ星闘剣士。前・西2位剣聖。
 スペック27歳男。機族の族長。剣聖選抜大会出場のために、常駐しているパーティーから離脱していた隙を突かれヒカリにゲットされる。

【ゲイン】「大規模だな。敵は悪魔か龍か。十二剣聖としての初仕事となるかもしれんな」
『静かなる野獣・ゲイン』五ツ星闘剣士。西1位剣聖。
 スペック28歳男。狼族。変身により獣化する少数民族。

【ハイネス】「青の隊、赤の隊の二隊が参加とは。よほどの事情があるようだな」
『ウエスタ王国・青の騎士隊エース・ハイネス』五ツ星騎士。西2位剣聖
 スペック24歳男。王都騎士隊の斬り込み隊長。基本、騎士隊は王都を守る。王都を離れ派遣されるということは、特殊な作戦であることを示唆していた。

【アライド】「大規模作戦か。もう少しで届く。強敵と巡り会えるといいのだが」
【ユキナ】「おーい、ユキシロ、アライド。近くに配置された様だぞ。これは運命を感じる」
【ユキシロ】「母上、裏から手を回しましたね?」

『天才・アライド』五ツ星剣士。前・西5位剣聖
 スペック21歳男。現在、スランプ中。ユキナの元で修行中。

『凍てつく闘気・雪女・ユキナ』五ツ星魔法剣士。
 スペック42歳女。鬼の血を引くと言われている一族の出。かつての6位剣聖経験者。凍結魔法により相手動きを封じ斬る、吹雪で身を隠すと、対剣士においてはチート級。

『凍剣の雪女・ユキシロ』五ツ星魔法剣士。西6位剣聖。
 スペック18歳女。かつての剣聖経験者ユキナの娘。能力的は母と同じ。母よりは、剣寄りで近接に強い。

【ケイゼス】「元剣聖ということで強制参加だなんて酷い。はぁ、早々に故郷に帰ってしまえば良かったです。楽な配置であることを祈りましょう」
『保身が第一・ケイゼス』五ツ星剣士。前・西6位剣聖。
 スペック34歳男。兎族。

【ギール】「剣聖選抜大会での汚名、この作戦で晴らす!」
『空の王・ギール』五ツ星闘剣士。
 スペック18歳男・鳥族。少数民族“翼の民”の長。

【ダラ】「おお、暴れたい」
『暴れる断頭台・ダラ』五ツ星闘士。
 スペック25歳男・巨人族。

【ラフテフ】「まあ、適当に流しますか」
『嗤う(わらう)トリックスター・ラフテフ』五ツ星剣士。
 スペック25歳男。笑った顔の仮面を常に着用。猫族か猫獣族のようだが詳細不明。トリックスター(奇術師)の技で敵を翻弄する。

【マゼラック】「魔獣……倒す」
『サイキックソルジャー・マゼラック』五ツ星剣士。西3位剣聖。
 スペック18歳男。念動力者。

【ガルリアン】「ははははっ。は───はははっ、美しく戦おう!」
『自己愛の貴公子・ガルリアン』五ツ星剣士。西4位剣聖。
 スペック20歳男。ナルシスト。驚異の多重自己バフ。美しいがくどい。

【キアル】「斬るの? 斬っていいの? キルよ?」
『殺戮衝動・キアル』五ツ星剣士。
 スペック14歳女。身長140cmと小柄だが、狂乱状態で精神的にも肉体的にもリミッターを外して戦う。愛称はキルキル。

【サスケ】「夜の戦闘になるといいんだけどなぁ」
『闇に紛れる黒豹・サスケ』五ツ星忍者。
 スペック24歳男。豹獣族・黒豹。猫忍者の修行を受けた暗殺者。

 剣聖選抜大会で名前の出ていた面々も、まだ近くの街にいたために“ケンタウロス高原討伐”作戦に参加が決定する。



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