第23章

◆第23章 西部・剣聖選抜大会・完◆

◆23-1 ケンセイ・シックス悲喜こもごも

 モリー・パーティー。

【モリー】「エンジ様~」
【カローラ】「エンジ様~」
【ホルン】「エンジ様~」
【ホーマス】「・・・・・・・・・・・・エンジ様~(ボソッ)」
【キオ】「エンジ師匠様~」
【エンジ】「みんな勝って良かったでござる。にんにん。でも、拝むのはそろそろ辞めて欲しいでござる」

 エンジの予想のおかげで全員がケンセイ・ボックス5(順位は関係なしに6人中5人的中)を1~3口当てた。1口1000円、オッズ80倍で8万円くらいの感覚。
 普段から宿屋生活をしているから交通費以外に旅費というものは発生していないため、良いお小遣いをゲットという感覚の勝利だった。

 ▼

 シュン・パーティー。

【ヒカリ】「負けた!」
【ミーシャン】「全部シュンを1位にして賭けたのかい!?」
【ツクネ】「無茶なことを」
【マフ】「折角、くじ運がいいのにもったいない!」
【ヒカリ】「でも後悔はないもん! あ~、新しい防具買えたなぁ」
【ネロ】「後悔しているじゃねーか。他はどうよ?」
【シュン】「出場者は購入禁止」
【ミーシャン】「負けたわ」
【ツクネ】「負け~」
【マフ】「負けた~」
【ネロ】「俺も負けだ。まあ、折角だから10口ばっか付き合いで買った程度だがな」
【ツクネ】「でもネロ少年がゾンビ退治でたんまり稼いでくれたから、収支プラス」
【シュン】「酒代は十分残してあるよ。今日もシュンの剣聖祝いだ」
【ネロ】「だぁぁ! 何日パーティーやってるんだよ! 酔っ払う前にシールドだ! シュン、約束通り全力で勝負しろ!」
【シュン】「うん。いいよ」

【観客】「おっ、いよいよ本気勝負か?」
【観客】「この賭けも最後か。よーし、儲かったから大きく賭けるぜ!」
【観客】「この賭けで取り戻してやる!」
 毎日、シュンとネロの練習で賭けをしていた連中がわらわらと集まり始まる。

【ネロ】「だぁぁぁ! 見世物じゃねぇぇぇぇぇ!」
【ヒカリ】「仕方ないよ、このギャンブル都市だもの」

 ▼

 そして───

【超人レキノ】「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・orz」
【キリン】「損失約1400万ゴールド・・・・・・・・・・・・推定暴走確率84%に上昇。危険域の90%まであと少しです」

 高まる暴走確率。痛まるキリンの胃。



◆23-2 新必殺技爆誕

 近くの森。シュン・パーティーの面々と30人ほどの観客達がわらわらと集まっていた。

【シュン】「森はいいなぁ。ふぅ・・・・・・元気がみなぎる」
【ネロ】「剣聖戦のルールでいいな?」
【シュン】「うん。魔法石は6個。出し惜しみはしないよ」

【観客】「シュンは森や草原で自己バフが働くんだよな」
【観客】「今までは大会のために必殺技を隠していたんだろ?」
【観客】「本気の5位剣聖を相手に、方や四ツ星ルーキー。勝負にならないんじゃないか?」
【観客】「オッズはどうする、いつも通り4・1で額をアップ。ルーキーが勝ったら1万ゴールド、シュンが勝ったら2500ゴールドだったらどっちにする?」
【観客】「その額だとルーキーだな」
【観客】「あー、俺もルーキーだな」
【観客】「じゃあ10・4。1万ゴールド、4000ゴールド。俺はシュン。どうよ?」
【観客】「よし、乗った! 俺はルーキー」
【観客】「1万ゴールド、4000ゴールドか。いいね」
【観客】「俺はルーキー。シュンに張るやついないか?」
【観客】「やろうぜ!」
 観客達が相手を見つけて賭けを始める。

【ミーシャン】「勝負にならないとか言いつつ、オッズが縮まったみたいね」
【ツクネ】「いやいや、シュンでしょ。もしもなんて事・・・・・・」
【マフ】「うーん、無いとは言い切れない?」
【ヒカリ】「私はシュン! 誰かやろう!」
【観客】「いいぜ、乗った」
【ミーシャン】「あの娘はそうでしょうね。うーん、私は見物にしておこうかしら」
【ツクネ】「うーん、私も」
【マフ】「私も」

【ネロ】「ったく見世物にしやがって」
【シュン】「慣れておいた方がいいよ。来年の大会には出るんだろ?」
【ネロ】「あーそういや、そうだな。よし、始めっか」
【シュン】「行くよ! はっ!」
【ネロ】「正面! こいつがやっかいなんだよな!」
 小型馬並の体重と勢いで正面からの突進。しかも4本足の安定により崩しが使えない。相手は剣は流しつつ左右どっちかに避けないといけない。ネロは右に避けつつシュンの足を狙う。
【シュン】「おっと」
 シュンは軽く跳ねてかわし、距離を取る。
【ネロ】「環境バフの分か、いつもより剣が重ぇ。だが、草原は有利とわかるが森ってどうよ? 動きづらいんじゃねぇか?」
【シュン】「!」

【観客】「木の多い方へ追い込んで行った」

【シュン】「僕はどっちかと言うと森の方が得意かな?」
 シュンは木を使った三角跳びで、ネロの頭上を取る。
【ネロ】「必殺技の要領か! チッ!」
 ネロはとっさに前方へ回転レシーブのような動きで飛び出し、シュンの頭上からの一撃をかわす。
【ネロ】「真上じゃなくて、やや後ろから狙ってくるのか。剣士にとっては死角みたいなもんだ。いやな技だぜ。だが、必殺技はあんな感じで頭上を取りに来る訳だな。こいつはどうしたものか」
【シュン】「あ、しまった。必殺技のヒントを与えてしまったみたいだ。・・・・・・ならば、何か思いつく前に! 地よ、風よ、天に!」

【ポップル】「おおっと、すかさずシュン選手、必殺技!」
【ヤンスロット】「判断が早いでやんすな」
【ヒカリ】「わっ! 解説のプロが来た!」

【ネロ】「チッ、くたばれ、くそがぁぁぁぁぁぁ!」

【ポップル】「すかさず、必殺技で相殺を狙った! しかし、シュン選手に有利な距離。相手選手小ダメージを受け、シュン選手にはダメージが届かない。・・・・・・えっと、シュン選手の相手はどなたでしょうか?」
【ヤンスロット】「『爆殺・ネロ』四ツ星の剣士。18歳男、有望なルーキでやんす」
【ポップル】「さすが四ツ星以上のカード情報は全て頭に入っていると言われている『人間データベース・ヤンスロット』さんです。って、四ツ星なんですか!?」
【ヤンスロット】「これは面白い試合に遭遇したでやんす」
【ポップル】「五ツ星解説者の天命ってやつでしょうか、おっと、シュン選手、再び必殺技!」

【ネロ】「くそが! 必殺技対決はこっちが歩が悪ぃ!」
【シュン】「そんなことを言っちゃうと畳みかけるよ。地よ、風よ、天に!」

【ポップル】「シュン選手、3連続の必殺技攻撃!」
【ヤンスロット】「ネロ選手、このままじゃ削られて倒されてしまうでやんす。さあ、どうするでやんす?」

【ネロ】「こいつには爆砕じゃ足らねぇ! もっとでけえ、超でけえ爆発を!」
 ピキピキピキッと魔法石が砕ける音と共に、ネロが必殺技発動の光に包まれる。
【シュン】「えっ、3つ!?」
【ヒカリ】「『爆砕の一撃』じゃない!? 新必殺技!?」
【ネロ】「こいつは!? ぎゃははは、とっさにできちまったみたいだ。さすが俺様! 受けてみやがれ、爆砕を遥かに超える爆発を! くたばりやがれ! この、くそ野郎がぁぁぁぁぁぁぁっ!」
 頭上から『天馬流星剣』を撃つシュンに、ネロの新必殺技が炸裂した。
【シュン】「わっ! わああああっ!」
 シュンは危険を察知し、もう一発『天馬流星剣』を発動させ空に距離を取る。だが爆発に巻き込まれ吹き飛ばされた。
【ネロ】「初見の技を避けるのかよ! 勘のいい野郎だぜ!」

【ポップル】「ネロ選手、土壇場で新必殺技を編み出した! 『超新星爆』なんてどうでしょう? スーパールーキーと爆発を合わせてみました!」

【ネロ】「おっ、いいねぇ。それ、いただきだ!」
【シュン】「ひぇ~。あれだけ距離を取ったのにシールドを半分削られたよ。すごい威力だ」
【ネロ】「半分か。チッ、俺様の負けだ」

【ポップル】「おっと、ネロ選手、ギブアップでいいのでしょうか?」
【ネロ】「わざわざ気絶する趣味はねぇ。今のところ、この新必殺技しか勝ち目がねぇが、石3つは燃費が悪ぃな」
【ヤンスロット】「ネロ選手は魔法石残り1つ、シュン選手は2つでやんす。残りシールドが少ない状況で、1発はまともに食らってしまうでやんす。意外と冷静でやんすな」
【ポップル】「ネロ選手のギブアップにより、シュン選手の勝利! では、これにて。通りすがりのポップルと───」
【ヤンスロット】「ヤンスロットでやんした。面白い試合に立ち会えてラッキーだったでやんす」

【観客】「あー、やっぱシュンか」
【観客】「でも惜しかったな」
【観客】「次のオッズは10・6、いや10・7くらいになるな」

【ポップル】「いやあ、ちょうどテレビのスタッフと移動中だった時に面白い試合に立ち会えました。これ、今日の夕方のニュースで使わせていただいてもよろしいでしょうか?」
 カメラのような装置を抱えているスタッフがいる。撮影していたようだ。

【シュン】「僕はかわまないけど」
【ネロ】「ああ、かまわねぇ」
【ヒカリ】「必殺技は剣聖大会まで隠しておいたほうがいいんじゃない?」
【ネロ】「あ? 誰かさんみたいにコソコソ隠さねぇで、堂々と勝ってやるぜ。ぎゃははははっ!」
【ポップル】「では、了承ということで」
【シュン】「まったく頼もしい。新必殺技に慣れた頃を想像すると恐いよ」
【ネロ】「ぎゃはははっ、すぐに慣れてやる。どっかいい練習相手はいねぇかな?」
【ポップル】「でしたら、コロシアム前の広場でサスケ選手が賭け試合をやってますよ」
【ヤンスロット】「『闇に紛れる黒豹・サスケ』でやんす。『空の王・ギール』になすすべなく倒されたでやんすから、賭け試合で憂さ晴らししているでやんす」
【ネロ】「お、いいね。大会の本戦に出たやつなら、手頃な練習相手だ」
【ヒカリ】「本選出場者を手頃って……」
【シュン】「あははは。頼もしいなあ」
【ポップル】「これはまた面白い映像が撮れそうです。馬車、乗って行きます?」
【ヤンスロット】「戻るところでやんす」
【ネロ】「ああ、頼むぜ!」

【シュン】「あははは。元気だね、ネロは」
【ヒカリ】「体力あるなぁ」

 ▼

 夕方。シュン・パーティーの泊まっている宿屋。
 キオが訪れる。

【キオ】「なんだー、ネロ寝てるの? 西部を離れる前に会いに来たのに」
【ヒカリ】「大会出場のサスケ選手を相手に10戦挑んだって。さすがに疲れたみたいで、ちょっと起きそうにないわね」
【シュン】「5勝5敗で引き分けだって」
【キオ】「シュンだ! おめでとう、剣聖!」
【シュン】「ありがとう、キオ君」
【キオ】「わー、ケンタウロスってこんな風になってるんだ。わー、わー、面白い!」
【ヒカリ】「キオ君、失礼でしょ!」
【シュン】「あははは、別に構わないよ」
【ヒカリ】「もう、ネロの友達だけのことはあるわ」
【キオ】「わー、わー、やっぱり足速いの?」
【シュン】「乗ってみるかい?」
【キオ】「えっ、いいの!?」
【ヒカリ】「えっ、ずるい!」
【シュン】「えっ、ヒカリも乗ってみるかい?」
【ヒカリ】「あっ! え、えっと・・・・・・お、お願いします!」
 キオを乗せてそこらを一周。ヒカリを乗せてそこらを一周。
【ヒカリ】(うわぁ、背中の毛さらさら~。体温高い~。ありがとうキオ君。ありがとうキオ君。ありがとうキオ君。ほへ~)
【シュン】「じゃあ、ネロには起きたら伝えておくよ」
【キオ】「うん、ありがとう! またね!」
【ヒカリ】「キオ君、いい子ね。うふふふ」
【シュン】「そうだね、元気な少年だ」
【ヒカリ】「うん。うふふふ」
【マフ】「さっき、“もう、ネロの友達だけのことはあるわ”とか言ってなかった?」
【ツクネ】「見事な手の平返し」
【ミーシャン】「意外とちゃっかり」
【ヒカリ】「うふふふふふ」

 ▼

 翌朝。

【ネロ】「キオが来てたのか。なんだ、起こしてくれよ」
【ヒカリ】「相当がんばったけど、あんた起きなかったわよ!」
【ネロ】「アキラがどうなったか聞きたかったんだよな。最初会った時はうっかり気絶させちまったし」
【シュン】「超人になってしまったという幼馴染だね」
【ヒカリ】「本当は奥さんを心配してるくせに。一度戻ってみれば?」
【ネロ】「剣聖になるまでは帰らないと宣言してきた。チッ、この大会でその予定だったが甘かった。来年になりそうだ」
【ヒカリ】「もう自信過剰とは言い切れないのがすごいよなぁ」
【ネロ】「何か、修行になりそうな依頼はねぇのか?」
【ヒカリ】「あーそれが、シュンが一旦里帰りするんだって」
【シュン】「剣聖になった報告に行かないと。故郷のケンタウロス高原は北西へ馬車で4日ほど」
【ヒカリ】「ネロはどうする? 東部へ戻るの?」
【ネロ】「う───ん。そこらの雑魚よりはシュンと模擬戦してた方が修行になるか? チッ、仕方ねぇ、俺様も付いて行ってやるよ」
【ツクネ】「またまた~」
【マフ】「本当は私らと離れたくないんでしょ?」
【ネロ】「うわ、朝から酒臭ぇ! 絡むな!」
【ミーシャン】「なんだかんだで、すっかり馴染んだわね、ネロ」
【ヒカリ】「うふふふ。しばらくパーティー続行で決定!」



◆23-3 デスゲーム

 剣聖選抜大会は終了。メインの見世物は『デスゲーム』に戻った。

 『デスゲーム』おさらい。
 死刑囚同士を戦わせ賭ける。1チーム5人を選んで出場、2チームで争い、1人対1人の剣による戦いを5戦行う。勝敗は片方の死により決まり、つまり最低でも1ゲームで5人死者が出る。

 観客のルールは、勝つチームに賭ける「チーム」。5戦それぞれの勝敗を賭け、4戦(以上)を的中させる「デスゲーム4」。5戦全てを的中させる「デスゲーム5」。

 選手から見たルールは、初期段階では各チーム50人、これがだんだんと減っていき、戦える者が5人を割るとゲームオーバー。
 勝利条件は10勝。報酬は死刑を免れ、寿命をその時点から5年間延長されての無罪放免。これはチームではなく個人個人に与えられる。

 チーム・ノーマの檻の前。
 こちらもおさらい。
 オルル王国西南辺境で起こった野盗逃走事件で、洞窟チームと呼ばれた者たちのボス・ノーマと手下たちである。寿命逃れで死刑のはずが、ここギャンブル都市に連れて来られデスゲームに参加させられていた。

【ピエロ】「チーム・ノーマの皆さん、ご機嫌はいかがかしら? 楽しいデスゲームの復活ですよ。うしゃしゃしゃしゃ」
 チーム・ノーマの指揮役のピエロ。デスゲームの関係者はピエロ姿が仕事着である。

【ノーマ】「・・・・・・・・・・・・今日からか」
【手下たち】「ふぅ・・・・・・」
【手下たち】「また、戦わないといけないのか」
【ピエロ】「剣聖選抜の時期と当たったのはラッキーでしたね。中断の間、生きられる時間が伸びました。怪我をされていた方も治ったのではないでしょうか?」
【手下たち】「ああ、お陰様でな」
【ピエロ】「今日はいよいよ10戦目。生存人数は34人。死者数16人割ることの試合数9戦=1.78がデスレート。2.5が平均値で数字が小さいほど優秀です。これはなかなか優秀な成績ですよ。そして全戦参加していたノーマさんが9勝で無罪放免・寿命延長の恩赦にリーチです」
【ノーマ】「・・・・・・・・・・・・うむ」
【手下たち】「ボス、なに暗い顔をしてるんっすか!」
【手下たち】「ボスなら行けますぜ!」
【ピエロ】「今日の相手はチーム・ママズ。もっともリーダーのママズさん、もう亡くなっているんいるんですけどね。うしゃしゃしゃしゃ。11戦で死者数20人、デスレートは1.82。同じくらいの強さのチームって考えていいでしょう。さーて、今日の出場者はどうなさいましょう?」
【手下たち】「よりによってチーム・ママズか・・・・・・ボスに深手を負わしたのがママズ。ありゃ強敵だった」
【ノーマ】「ああ、ママズが前戦の怪我を引きずっていなければ勝てたかどうか」
【手下たち】「そしてチーム・ママズにはママズと同じくらい強いやつが。ママズの弟のヌマズだ」
【手下たち】「ヌマズ、兄を殺したボスに激怒していたな。確実にボスを狙って出てくるだろう」
【手下たち】「ボスは無罪放免が掛かってる。今日は不参加がいいでしょ」
【ノーマ】「・・・・・・いや、出る」
【手下たち】「だったらボスは1戦目に、普通は5戦目に一番強いやつを持ってくるのが定石だ」
【手下たち】「いやそれを読んでくる可能性も考えて2戦目あたりに」
【ノーマ】「・・・・・・いや、5戦目だ」
【手下たち】「ボス、だから、それは危険だって」
【ノーマ】「馬鹿野郎! ヌマズに当たって俺以外に勝てるやつがいるのか!? 誰かに死ねということだぞ!」
【手下たち】「ボスのためならあっしが!」
【ノーマ】「馬鹿野郎!」
【手下たち】「ぶしっ!」
 その手下に平手打ちするノーマ。そして抱きしめ叫ぶ。
【ノーマ】「心意気は受け取った! だが、手下を守れなくて何がボスだ! 5戦目は俺に任せろ!」
【手下たち】「ボス!」「わかりやした、ボス!」「ついていきますぜ!」
【ピエロ】「はいはい、青春ドラマはほどほどに。早く、参加者を決めて下さい。そろそろ時間ですよ~。うしゃしゃしゃしゃ」

 ▼

【解説ピエロ】「本日のデスゲーム、互いに2勝2敗で5回戦目に! 『チーム』で賭けている人は最終戦に命運が委ねられましたよぉ。ノーマ選手は9勝、無罪放免・寿命延長の恩赦にリーチ。ヌマズ選手は7勝、前試合でノーマ選手に兄のママズ選手を倒されての復讐戦。ノーマ選手にとっては正に天国か地獄。さあ対決の行方はいかに。うひょひょひょひょ」

【ヌマズ】「殺す! アニキのカタキ! 殺す! ぶっ殺す!」
【ノーマ】「こっちも仲間のカタキだ! 覚悟しやがれ!」
【解説ピエロ】「さぁ、いよいよ試合開始!」

 ・
 ・
 ・

 激戦。それを制したのは───

【手下たち】「やったぜ、ボス!」
【手下たち】「ボス、おめでとうございます!」
【手下たち】「死んだ18人もきっと祝福してくれてますぜ」
【ピエロ】「うしゃしゃしゃしゃ。ノーマさん、これで無罪放免・寿命延長です。本当におめでとうございます」
【ノーマ】「ああ・・・・・・」
【手下たち】「どうしたんでい、ボス。嬉しくないんですか?」
【ノーマ】「・・・・・・なあ、ピエロ。このままデスゲームに参加し続けるということはできるのか?」
【ピエロ】「は? まあ、私らは困りませんので本人の希望でしたら、構いませんが・・・・・・」
【手下たち】「な、何言ってるんですかボス!?」
【ノーマ】「馬鹿野郎。てめぇらを置いて、俺だけ出て行ける訳がないだろう!」
【ピエロ】「この人は本当に・・・・・・このピエロも、さすがにちょっと感動ですよ。うしゃしゃしゃ」
【手下たち】「まったくボスは。そう言い出すことも予想してましたぜ。でも、ボスには出ていって貰わないと困りやす」
【ノーマ】「どうしてだ!」
【手下たち】「無罪放免の条件は10勝。つまりボスが1勝を取るということは他の誰かの1勝が減るということで、無罪放免を勝ち取れる人数が減ると言うことなんっすよ」
【ノーマ】「あっ! そんな事も考えずに俺は我先に試合に出ていたのか! すまん、みんな!」
【手下たち】「いえいえ、おかげで敵の強者はあらかた倒して貰えやした」
【手下たち】「これで俺たちが勝てる確率も上がるってもんです」
【手下たち】「ボスは無罪放免・寿命延長を受け入れて、短い間、人生をやり直して下さい」
【手下たち】「ボス、今までありがとうございました!」
【ノーマ】「馬鹿野郎、最後の別れじゃねぇんだ。てめぇらも勝ち抜けよ!」
【手下たち】「はいボス!」
【手下たち】「俺たちも続きますぜ!」

 ▼

【ピエロ】「これが寿命延長の許可書です。落ち着く場所の役所に提出して下さい。これが、当面の生活費。仕事の斡旋は・・・・・・ちょっとそこに立ってみて下さい」
【ノーマ】「魔法陣? この魔法陣は確か・・・・・・」
【ピエロ】「大地の力と魂の呼応を・・・・・・力を鎧に───シールド。ほほう、五ツ星でおかしくないシールド量ですね」
【ノーマ】「お? どういう事だ? 俺、魔法石の扱いがダメで戦士を諦めて軍人になったのだが」
【ピエロ】「幼少時の試験でしょ? 30歳くらいになれば、誰でも魔法石が扱えるようになっているという話ですよ。目覚める歳によっては、兵士から戦士に転向する人もいます」
 ちなみにノーマは51歳。
【ピエロ】「ここの無罪放免を勝ち取るということは大変な事なんですよ。必殺技がなくても四ツ星、何か有効な必殺技を身につければ五ツ星は確実です。戦士なら仕事の斡旋は不要ですね。適当な討伐戦に紛れ込んで、適当に敵を倒せば戦士カードが発行されるでしょう」
【ノーマ】「俺が戦士か・・・・・・悪くねぇ再スタートだ」
 幼い時にあこがれていた戦士。寿命延長の5年間ではあるが、それがノーマの新しい人生だった。

 ▼

【手下たち】「ボスが戦士に!?」
【手下たち】「戦士にあこがれていたな、ボス」
【手下たち】「良かったな、ボス」
【手下たち】「戦士なら食いっぱぐれる心配もないしな」
【手下たち】「これで俺らは安心して死ねる」
【手下たち】「まぁ30年の寿命から随分生き永らえたものだ。良しと考えよう」
【ピエロ】「おやおや、手を抜かれて貰っては困りますよ」
【手下たち】「計算すりゃわかるものだ。俺たちはボスを除けば贔屓目に評価しても並って所だ。勝つか負けるか半々として10勝できる確率は1/1000ほど。つまり1000人に一人程度だ」
【手下たち】「ま、確率なんて関係なしに勝ち抜けられるのは飛び抜けて強いヤツだけだろう。で、俺らはそういう相手に当たったら負ける訳だ」
【手下たち】「無理だろうねぇ」
【手下たち】「はははははっ」
【ピエロ】「でも貴方たちの弱点は見え見えですから。手を抜いた試合をした場合は、ボスを連れ戻すとでも脅しておきましょう。どうも、私もあの人を好きになってしまった様ですので、そうはならないように頑張って下さい」
【手下たち】「そいつは困るな」
【手下たち】「ま、一日でも長く生きたい事に嘘はねぇ」
【手下たち】「みんな、残りの対戦も全力で行くぞ!」
【手下たち】「おおっ」
【ピエロ】「今日は朗報も流れたようです。良い一日でした。うしゃしゃしゃしゃ」

 ▼

【ポップル】「朗報です! 超人レキノ様がデスゲーム5を的中したとの報告が入ってきました!」
【ヤンスロット】「今回は真っ二つに割れる下馬評だったやんす。結構なオッズがついたでやんす」

 ▼

【超人レキノ】「──────♪ ──────♪」
 小躍りのレキノ。
【キリン】「プラス約80万ゴールド・・・・・・・・・・・・推定暴走確率67%まで減少。ふぅ、勝った時は額にかかわらず大きく減少してくれるのが救いです」

 ▼

 その後───
 チーム・ノーマは21戦終了時に出場人数不足によりデス・ゲーム敗退が決定する。




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