第3章

◆第3章 神に支配される世界◆

◆3-1 超人

 翌朝、ナタネ旅館。

「速く~、正確に~、とうとうとうとう~!
 ふぅ・・・・・・よ~し、絶好調だ~」
 アキラは日課の早朝の剣の稽古。木の五箇所に傷がついている。数百振りを打ち込んでいるが、剣跡は寸分違わずその五箇所のみ。目、首、脇の下、肩、アキレス腱を想定。視覚、神経、腱を断ち、敵を即死させることより無力するのが狙いである。

「急げ!」
「飯は移動中に馬車の中で取れ」
 ナーナたちと一緒に泊まっていた戦士連合(ユニオン)の陣営が何やら慌ただしかった。
「どうしたんだろ~? あっ、ナーナ、ミミル、おはよ~」
「緊急事態じゃ。予定よりも早くここを発つ! 支度を急いでくれ! 道中、聞きたいこともある!」
「は~い~。キオ~、ネロ~朝ごはんだよ~」
「(ガバッ)───いただきます!」
「(ガバッ)───ぎゃはははははっ、飯だぁぁぁ!」
 キオとネロは本来ならば寝起きが非常が悪い。だが簡単に起こすコツを知っているアキラだった。

 戦士連合(ユニオン)陣営、馬車にて移動中。
【ナーナ】「近くの都市で青い光の柱が立ったのじゃ」
【キオ】「赤じゃなくて?」
【ネロ】「なんだ青って?」
【ナーナ】「超人に絡んだ案件の色じゃ。おそらくは、神罰!」
「「「「「神罰!?」」」」」
 ナーナ、ミミル、キオ、ネロ、アキラ、キララ、イオ、ミリンが同乗する大馬車の客室中、事情を初めて聞いた全員が声を揃えた。
【イオ】「ち、近くってどこで!?」
【ナーナ】「ガゼフ市と聞いた。知っておるか?」
【キオ】「行ったことある! 結構、近いよ!」
【ネロ】「おいおい、馬車なら2日はかからない距離だぞ」
【イオ】「行商に来る人も多いよ。大丈夫かな」
【ミリン】「年に何回か作物を届けに行く町なのに。そう言えば、超人のお屋敷が近くにあると聞いたことが・・・・・・」
【ナーナ】「ここは何区じゃ?」
【キオ】「キュオス区だよ!」
【ナーナ】「つまり超人キュオスか。どんなじゃ?」
【キオ】「えーっとね・・・・・・・・・・・・あれっ? 知らない!」
【ネロ】「そういや、超人は恐ぇ強ぇってくらいしか知らねーな」
【イオ】「そう言う話を良くする人がいるんだけど、2級だっけ3級だっけ? タロン町で・・・・・・えっと・・・・・・あっ、キララ詳しくなかったっけ?」
【キララ】「超人キュオス、2級超人。約20年周期に“暴走”をしているそうです。そして80年前にタロン町───当時はタロン市でしたが、そこで“神罰”があったです。元は戦士で戦闘欲が強く、いずれも“虐殺”だったです」

 神は人を支配するために、人にとっての天敵を作った。人は、それを人を超える人『超人』と呼んだ。
 欲望の強い人を素材に選び、力を与えると共に欲望を更に増幅、欲望を我慢すると暴走するシステムになっている。人は超人の欲望に従わなければならず、超人は人にとっての暴君として機能した。
 それだけではなく、神は超人を自由に暴走させるスイッチを付ける。大災害規模の大暴走を引き起こし、人はそれを『神罰』と呼び恐れる。
 暴走や神罰にはいくつかの例外もあるが、ほとんどは『虐殺』である。

【キララ】「タロン市の時の神罰の死者数は8万人超え、と言ってたです」
【ネロ】「マジか!?」
【キオ】「ええぇぇ!? ナタネ村全員で2千と何百人か・・・・・・何倍っっ!?」
【キララ】「都市一つほぼ壊滅です。だからタロン市からタロン町になったです」
【ナーナ】「その規模の被害実績があるとなると・・・・・・討伐じゃな」
【キオ】「えっ! 超人って倒せるの!?」
【ミミル】「無敵というわけではないのです。ほぼ龍と同じと言われているのです」
【ネロ】「“神剣”を使えば倒せるってことか。つーか、倒しちまってもいいのか?」
【アキラ】「神に怒られない~?」
【ナーナ】「神にとっては超人も人。使い捨てくらいにしか思っておらんのじゃ。あまりポンポン倒していたら神も何らかの対策をするかもしれんがな」
【ネロ】「ぎゃははははっ! もしかして正規戦士デビュー戦が超人戦か? そいつはおもしれえ!」
【ナーナ】「知らぬが仏よのぅ。並の五ツ星戦士でさえも、どうにかできる相手ではないのじゃ」
【アキラ】「い、五ツ星でも~?」
【ミミル】「超人の恐ろしさをわかってないのです。叫び声のせいで龍よりも厄介なのです。超人の叫び声を聞いたらどうなると思うのですか?」
【キオ】「どうなるの? どうなるの?」
【ナーナ】「頭が爆発じゃ」
【ミミル】「ボ───ンなのです!」
【キララ】「“神の言葉”と言うです。神の言葉には石ころ一つの事を言うにも、宇宙が生まれてからその石が今に至るまでの情報が含まれているらしいです。知能の高い生物がそれを聞くと、情報量が多過ぎで頭がパンクするです。それを超人は武器として利用するです」
 ヒーラー職や魔法使いは神の事も勉強する。ちなみに一般市民はアリエルという言葉も知らない者も多く、神や天使や超人は恐いという大雑把な認識である。

【ネロ】「なんだと!? そんなのどうやって倒すんだよ!」
【キオ】「いいこと考えた! 耳栓を付ける!」
【ナーナ】「惜しい。“鼓膜を破る”がいくつかある答えの一つじゃ」
【アキラ】「ひい~。痛そう~」
【ネロ】「そこまですんのかよ!」
【ミミル】「そうすると言葉での作戦指示ができなくから、手話や狼煙でコミュニケーションを取るのです」
【ナーナ】「対超人には専門の部隊がおる。お主らは気にせずに、今は星がいくつ付くかを楽しみにしておれ」

 ▼

 デール町に到着。
 田舎の村との違いは人口と石畳の舗装。建物は大都市でも村でも神の文明レベルの制限によりみな一階建てである。

【ナーナ】「ここでお別れじゃ。はぁ・・・・・・買物できないのが心残りじゃ」
【ミミル】「キララ、一緒に店に行けなくなってしまったのです。オススメの店をメモっておいたのです。高性能な装備も、かわいい装備もここがイチオシなのです」
【キララ】「ありがとうです。お二方、皆さん、ご武運を祈るです」
【キオ】「じゃーねー! ナーナ、ミミル!」
【ナーナ】「また会おう!」
 慌ただしくナーナ達は超人対策に向かう。

【イオ】「それじゃ、私とミリンは宿を取ってくるよ」
【ミリン】「キララちゃんはどうする?」
【キララ】「私はにぃが戦士カードを貰う瞬間が見たいです」
【ミリン】「じゃあ、あとでミミル推薦の店で合流しましょう」
 イオとミリンと一時別れる。
【アキラ】「さて僕たちは~」
【ネロ】「まずは戦士ギルドだな!」
【キオ】「おー!」
【キララ】「おーです」
【ネロ】「ぎゃははははっ、楽しみだぜ!」



◆3-2 戦士カード

 戦士ギルド。

「戦士ギルドにようこそ♪」
 愛想の良いふさふさしたしっぽの狐族のお姉さんが出迎える。種族特有の魔法を使うシステムがあるため、世界各地の戦士ギルドには狐族の女性が配属されている。
 そのシステムとは『運命が出会いを導くシステム』。未来予知魔法を利用し、適所に戦士をダブルブッキングしないように配置する人材登用システムであり、その動作音から『ガチャ』と呼ばれる。はい、お察しのシステムです。軍師たちはガチャによりパーティーを作る。
 ただし、今回はカードの発行のみなので、ガチャに一喜一憂する軍師たちの物語はまた別の機会に。

【ギルドお姉さん】「初めての戦士カード発行ですね。それでは、どなたから行きますか?」
【ネロ】「よし、最初は俺様だ!」
【ギルドお姉さん】「はい、OKです」
 ギルドお姉さんがカメラみたいな、スピードガンみたいな装置をネロに向ける。人を認識する装置のようだ。後ろの機械がガチャと音を立ててネロのカードを排出した。

『爆殺・ネロ ★★★★ 剣士』
【ネロ】「チッ、やっぱあの程度の作戦じゃ五ツ星はつかねーか」
【キオ】「すげー! やっぱり四ツ星だ」
【アキラ】「さすが~」
【キララ】「予想通りです」
【ネロ】「だが、俺様らしい二つ名だ! 気に入ったぜ」

『疾風の連撃・アキラ ★★★★ 剣士』
【アキラ】「や、やったぁ~、四ツ星だぁ~!」
【キララ】「やったです、にぃ! 二つ名もかっこいいです!」
【ネロ】「チッ、てめぇはもっと自信を持ちやがれ。歳の近いやつで俺様とまともに剣を合わせられるのはてめぇくらいなんだからな。まあ、8・2で俺様の勝ちだがな! ぎゃははははっ!」
【キララ】「べーです。にぃ、15歳で四ツ星デビューおめでとうです。ナタネ村の四ツ星デビュー最年少記録です!」
【ネロ】「何ぃ!? そんなのがあったのか!」
【アキラ】「へ~知らなかった~」
【キララ】「こっそり期待していたです」
【ネロ】「く、くそがぁ! デビューの機会があれば俺様だって・・・・・・いや、俺様なら14歳の頃には四ツ星取れただろ!」
【アキラ】「あ~、ネロなら14歳の頃でも行けただろうね~」
【キララ】「運も実力の内です」
【ネロ】「く、くそがぁぁぁ!」
【ギルドお姉さん】「はい、次はそこの小さい子、行きますよ」
【キオ】「小さい言うな!」

『小さな竜巻・キオ ★★★★ 剣士』
【キオ】「マジか! やったぁぁぁぁ!」
【アキラ】「やった~ぁ! やったね、キオ~」
【ネロ】「ちょぉぉぉっとぉぉぉ待ったぁぁぁぁ! 四ツ星安売りしすぎだろ! 俺様とこいつの戦歴は、千戦を超えて7敗のみ。一か八かのクソ必殺技が奇跡のまぐれヒットした時だけだ。残りは全部俺様の圧勝! アキラ、てめぇはどうよ?」
【アキラ】「え~数えてないや。最近だと、先週に1回負けたかな? 僕はパワータイプの剣士とは相性がいいんだ~」
【ネロ】「このチビが俺様と同じ四ツ星とは納得がいかねぇ! どうなってるんだ、ギルドのお姉さんよ!」
【ギルドお姉さん】「ほほう・・・・・・もしかして、お疑いですか、ネロさん?」
 いままで愛想良くふりふりしていたギルドお姉さんの狐しっぽの動きが止まる。
【ギルドお姉さん】「このシステムをお疑いですか、ネロさん? 伝統あるこの戦士登用システムをまさかお疑いですか? ネロさん!」
【ネロ】「おおっ!? う、疑ってるわけじゃねぇ・・・・・・ありませんが!」
 ギルドお姉さんの笑顔の圧にネロが押し負ける。常日頃からガチャは不正だの操作されているだのと疑われているため、クレームに対しては断固たる態度で臨むギルドお姉さんだった。
【キララ】「カードに説明が書いてあるです。・・・・・・なるほどです。キオの声に広域バフ効果という判定です」
【ネロ】「バフって言うと、ナーナが使った魔法か? こいつ魔法使えんのか!?」
【アキラ】「魔法に限らず、能力アップのことだよ~。なるほど~、キオの声ってみんなを元気にするもの~」
【ネロ】「声がでけぇのは認めるけどよぉ、強さには関係ねぇだろ?」
【ギルドお姉さん】「評価は個人の強さだけではありません。パーティーにどのように貢献できるかを総合的に考慮されます」
【ネロ】「ああ、つまり強さは俺様の圧勝だが、キオはなんかオマケが付いて四ツ星ってことだな。そういうことなら、まぁ納得しておいてやるか」
【ギルドお姉さん】「ご理解いただけたようで幸いです」
 ギルドお姉さんのしっぽが愛想良くふりふり動き始めた。
【キオ】「なんかラッキー! やったー!」
【アキラ】「一緒に最年少四ツ星デビューだ~。やったね、キオ~」
【キララ】「にぃの単独記録は逃したけど良しとするです。おめでとうです、キオ。それでは、ミミルのオススメの店に装備を揃えに行くのです」
【ギルドお姉さん】「あれ? お嬢さんにもカードが発行されているみたいですよ」
【キララ】「はい? 私ですか」

『慈愛の光・キララ ★★★★ 魔法使い』
【キララ】「です!?」
【キオ】「おーすげー! みんな四ツ星だ!」
【ネロ】「マジか! やるじゃねぇか、アキラ妹!」
【アキラ】「12歳の四ツ星魔法使い誕生~。最年少記録更新だ~。おめでとう、キララ~」
【キララ】「ど、どういうことです? 先の作戦では三人に初期シールドの準備をしただけです。戦場にも行ってないです」
【ギルドお姉さん】「魔法量と効率が評価されていますね。この量は・・・・・・もしかして三人にまとめてシールドを?」
【キララ】「です」
【ギルドお姉さん】「それはなかなか。初期シールドは、普通なら一人一人に掛けるものなんですよ。三人まとめて、しかも魔法石1つ! これなら四ツ星も納得です。これは将来期待ですね」
【キララ】「そうだったのですか!」
【アキラ】「おお~。我が妹にこんな才能が~」
【ネロ】「ギャハハハハッ、俺様たちの模擬戦に突き合わされていたせいだな」

 回想。
【ネロ】「アキラ妹! 模擬戦すっから、三人にシールドを頼むぜ!」
【キララ】「またですか。面倒だから三人まとめて魔法陣に入るです」
 回想終わり。

【ネロ】「感謝はいらねぇぜ、キララ」
【キララ】「むしろ私に感謝するです!」
【キオ】「いつもありがとう!」
【アキラ】「いつも苦労を掛けるねぇ~」

【ギルドお姉さん】「これで皆さんは正規戦士になりました。軍師が皆さんのカードをガチャ───戦士登用システムで引くことによりパーティーに配属になります。
 連絡は各自が所持する戦士カードに表示されます。戦士カードに書かれている内容の更新は日の出の時間にされますので、毎朝カードを忘れずにチェックして下さい。また地下やダンジョンに篭っているとカードが更新されませんので注意して下さい。
 カードは最初と格付け変更時は無料で発行されますが、紛失の場合は手数料が掛かりますので失くさないようにして下さいね」
【みんな】「はーい!」「おう」「は~い~」「はいです」

【キオ】「ガチャ引きたい!」
【アキラ】「引きたいよね~」
【キララ】「引きたいです」
【ギルドお姉さん】「ガチャを引けるのは軍師だけです。残念でした」
【ネロ】「お、俺は別に引きたいなんて考えてねぇ! 残念とか思ってないからな! 勘違いすんなよ!」

【ギルドお姉さん】「皆さんに良い運命の導きがありますように」
 みんなはお姉さんにお礼を言って戦士ギルドを後にした。



◆3-3 超人キュオス討伐

 ガゼフ市。

「ギャァァァァォォォォォォォォンンンンン!!!」
 超人───神が作りし人の天敵。超人キュオスは元戦士。その闘争心を増幅されての神罰“虐殺”。既に大災害クラスの死者が出ていた。

 作戦本部。
 超人キュオスより1キロメートルほど離れた地点にナーナとミミルの姿があった。

「神罰時の超人というのは初めて見るが・・・・・・怪獣じゃな」
 遠望の魔法により、ナーナが超人キュオスの姿を見る。

 常時の超人は人が巨大化したような姿をしているが、暴走時は暴走の程度により変貌する。最大暴走とも言える神罰時には巨大化し龍の要素を混じえた姿に変貌し、雄叫びを上げながら人の屍を噛み砕く姿は、超人と言うよりもはや怪獣である。
 神が最初に作った生物が天使。二番目に作った生物が龍。不死性をアリエルに頼った天使に対し、龍は肉体的に強靭にする事によりアリエル消費を抑えた。超人は人に龍の要素を取り入れて作られており、暴走時はその特徴が顕現する。
 天使を模して人を作った。龍を模して超人を作った。『神の言葉』は初めて神が人と会話を試みた時に、人が頭を破裂させて死んだことをアリエル未消費の対人兵器として利用した。流用が多いのは神のアリエル節約策であり、神の考えは全てアリエル収支に通ずる。

「何度か目にしているが大天使アノン。不気味じゃの」
「なのです」
 上空には青い光の柱。9枚羽の大きい天使を中心に小さい天使3体が周回している。大きい天使が人類を管理する天使・大天使アノン。人にとって大天使アノンの降臨は、災いの前触れである。
「超人討伐に天使が介入することはないと言うのが幸いなのです」
「超人に抗う人というのも、恰好のアリエル源なのじゃろ。・・・・・・だが、過去にないと言ってこれからもないとは限らん。やつらの行動は読めんからの」

「グルァァ! ぐはははっ」
 キュオスの口からは理性のない声が溢れる。もっともこの声を聞く人はいない。超人キュオスの周りの人は皆、『神の言葉』により頭を吹き飛ばされて死んでいる。
 いや、一人だけ聞いている者がいた。
「・・・・・・・・・・・・」
 作戦部本部は真空による音を遮断する魔法防御壁により守護されているが、わざわざ防御壁の前に出ている狐耳狐しっぽの少女。歳は10歳ほど。超人の叫び声を聞いているが頭が吹き飛ぶことはない。退屈そうな顔で、その声を聞いていた。
「・・・・・・・・・・・・ふぁぁ」
 しばらく後に、少女は眠たそうなあくびを漏らして作戦本部に入っていく。
「巫女よ、どうじゃった? “神の言葉”の内容は」
「世界の始まりのくだりだったよー。新しいネタはなし。眠くなったー」
「そうか。ならば神剣の到着をもって作戦を開始じゃ」
「お疲れ様なのです」
「ふああ~。ミミルお膝ー」
「うふふ。どうぞなのです」
「すぴー」
 巫女と呼ばれた少女はミミルの膝枕で、あっという間に眠りに就いた。

「姫っ、神剣4本が届きました!」
「よし! 3級超人への連鎖がないうちに、2級超人キュオス討伐戦を開始する! それと姫はやめんか!」

 ▼

 4時間ほどのちに超人キュオスの死をもって作戦は終了する。被害状況は数日後に確定され、死者8054人、行方不明者183人に上る。ナーナが近くにいたのが幸いで、最強の軍師の指揮の元、予想の半分未満の被害で食い止めた結果がこれである。
 過去最大の超人による神罰の被害は死者数250万人。それにより一国が滅びた。

 神の目的は常にアリエルの収支改善にある。
 人は自ら人口や寿命を制限し神罰を回避しようと試みているが、アリエルの総量も増減量も計ることはできず、全てを回避することはできずにいた。



◆3-4 世界の構造

 宇宙で生物が初めて誕生したこの星は『惑星ファースト』的な意味で神に名付けられる。
 星は球状、恒星の周りを惑星が周り、惑星の周りを衛星が回る。宇宙に到達したほどの高度文明期を経ていることと『神の言葉』により、人は正しい宇宙観を持っていた。
 惑星ファーストは地球と比べるならば一回り小さい惑星で、一日はやや長く、一年はやや短く、地軸は公転面にほぼ垂直で季節変動は微小。衛星に月を一つ持つ。海が九割、陸地が一割。その陸地の八割が一つの大陸であり北半球に寄って位置する。今はその大陸の二割ほどが整地・開墾されていて主な人の生活圏となっている。
 残り二割の陸地は数々の小島で、ほとんどが大陸周辺に位置する。大陸の裏側にはわずかに島が点在するが人類未踏の地である。

 超人の武器として利用されている『神の言葉』だが、それを聞くことのできる特殊な能力者『巫女』により、その内容はこの宇宙・この世界の歴史や構造であることがわかっている。

 ▼

 『神の言葉』により語られるこの世界の歴史。

 存在する意思であり存在するためのエネルギー『アリエル』。宇宙誕生の瞬間は一つの塊だった。まず存在意思は、己の存在の観測、確認をするために自、他、第三者の三つの意思に分かれる。それが三神と呼ばれる創造神、神イーリハルシャ、神カリレル、神ネハルであり、三神はアリエルの行使者となる。

 存在への欲求は、力を作り規則性を作り、明白な存在『物質』を爆発的に生み出すに至る。物質は規則に従い集まり星となった。恒星が生まれ、惑星、衛星がが生まれ、宇宙は膨張する。しかし三神はこのままではアリエル不足により宇宙はやがて縮小に転じ、最期には存在を終える事に気づく。

 三神は一つの惑星を選び、アリエルを生み出せる者───存在する意思を生み出す存在『生物』の創造を試みる。最初の生物『天使』144体が誕生した。
 天使には『共生』が命じられる。存在意思を物質で区切り他者と明白に分け、形や大きさを与えることにより『個』の概念が生まれる。個の認識はアリエルを強く生み出した。

 ───と、このように『神の言葉』と巫女の能力により人は世界の始まりを知る。続きは話の合間にでも語っていくとしよう。



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