退魔の領域 第04話 伊吹咲菜④  領域突入②

「はぁっーーーーー、はぁーーーーーっ、っっぅう…!はぁ、はぁ、はぁ」

 

(お、おわったぁ....くぅぅぅ...まだ眷属どころか雑魚淫魔さえでてきてないのにぃ...)

 

咲菜はやっと終わった狩衣からの霊力吸収による快感の衝撃から立ち直れないでいた。

薄っすらと白い白濁液でテカる肉の床の上に仰向けで無防備に身体を晒し、汗で湿ったぴっちりスーツに包まれた胸を上下させ、サイハイニーソックスに包まれた美脚を擦り合わせながら上気した顔で情けなく喘いでいる。

この状態が危険だと言うことは咲菜自身もわかっている。だが、強制的な霊力吸引は霊力だけではなく、体力も同時に奪い、そのとき生じる快感は精神力も削る。

咲菜がその衝撃から回復するには、まだ少しの時間が必要だった。

 

「咲菜ちゃんがぴっちりスーツ姿で一人で悶まくるのよかったわよぉ〜〜とってもえっちで無様で!ほらぁ〜早く立って立ってぇー。先に進みましょう〜」

 

リーリエは咲菜の恥態がさぞ気に入ったのだろう。つやつやとして顔で、仰向けになって動けない咲菜の廻りを背中の翼で飛び回っている。

 

「っぅ...ちょっと黙っていてくれない?」

 

リーリエに煽られた咲菜は気力を振り絞ると、仰向けで無防備だった身体を起こし、脚を震わせながらなんとか立ち上がった。

 

「はぁ....はぁ...くぅっ...」

 

(強制的な霊力の吸収は終わったけど、障壁ってこんなに霊力使うの... ?っぅう...〜〜〜!)

 

咲菜はリーリエに刻まれた淫紋の効果で、霊力を放出すると快感を感じるように身体を改造されている。

領域では常に障壁を張らなければならず、そのためには霊力を放出し続ける必要がある。

今、咲菜は身体にピッタリと身に着けている狩衣に霊力を流しこみ自ら障壁を展開している。

黒の極薄素材のレオタードスーツ、サイハイニーソックス、グローブから構成される狩衣は咲菜にピッタリと密着し、彼女の霊力を強化して彼女を守る。

しかし、それは、同時に、淫紋によって霊力を放出すると快感を感じてしまう恥ずかしすぎる体質に改造された咲菜にとっては毒となる。

この瞬間も、霊力消費によって生じる身体から何かが抜けていくようなとらえどころのない快楽が極薄生地のぴっちりスーツに包まれた全身からじわじわと襲いかかり、真綿で首をしめるように咲菜を苦しめている。

 

「咲菜ちゃんみたいにぃ〜たくさん霊力ある退魔師はぁー私達淫魔の領域では霊力を保つために強い障壁を張らないといけないのよねぇ〜その障壁を保つための霊力消費による快感。辛いんじゃあなぁい?」

 

「こ、このくらい、なんでもないわ...」

 

(身体が重い...淫紋の効果が酷いときほどじゃないけど、身体が敏感になってる...スーツの食い込みがきつぃいい...くぅ...これがずっとつづくなんて...)

咲菜はサイハイニーソックスとヒールブーツ包まれた美脚を無意識に内股にしてしまう。

 

「それならよかったわ〜。領域は奥に進めば進むほど淫気が濃くなるし、淫紋も私の本体に近づけばそれだけ効果がつよくなるから気をつけてねぇ〜〜」

 

「くぅぅう...〜〜〜!」

 

(これがどんどん強くなるの!?今でもきついのに...っ)

 

咲菜は顔を赤くしてリーリエを睨む。リーリエは三メートル程度の高さで滞空し、咲菜を見下ろしながらいやらしく酷薄な笑顔を浮かべている。

 

身体のことは、今考えてもどうにもならない。どうにか我慢して進むしかないのだ。

咲菜は乱れていた耐水コートの前を閉めて服装を整える。

惜しげもなく晒されていた太腿や二の腕、脇が再び隠される。

ヘッドギアから浄化の術がかけられている口布を引き出すと鼻と口を覆う。

 

「えぇ〜〜〜隠しちゃうのぉ?コートは脱いでおいたほうがよくないかぁ?」

 

「貴方に見せると減るのよ」

 

「咲菜ちゃんのぴっちりスーツに包まれた身体をみたいにはそうなんだけどぉ〜そういう意味じゃないアドバスでもあったんだけど〜」

 

「...どういうこと?」

 

「すぐわかるだろうからいいわぁ〜」

 

これ以上リーリエの相手をするのは時間の無駄だ。

咲菜は改めて現状を確認する。

今は肉のホールを見下ろす肉の台地の上にいる。ピンクの霧に霞んでいて見えないが、さしあたっての目標地点はセンサーで感知した、ここからちょうどホールの反対側、十キロ先の別れ道だ。

 

「飛び降りる、のは無理ね...」

 

咲菜は今いる台地から、ホールまでの高低差を狩衣のセンサーで測る。おおよそ三百メートルの高さの切り立った崖。狩衣を着た退魔師でも、飛び降りるのは無理だ。

次に思いつくのは、崖を垂直に降りることだ。

だが、これもあまり気が進まない。領域を闊歩する淫魔生物に襲われたとき、両手両足が自由にならない状況は想像したくない。

 

(他に何か手段は...)

 

事前の策を考えるために、センサーからの周辺情報をHMDに表示させて眺める。

すると、ここから五百メートル程度先の地面に点々と直径三メートル程度の穴が空いた地形を見つけた。

どうやら穴は緩く傾斜しており、螺旋状の洞窟になっているようだ。センサーの計測範囲の限界でどこに繋がっているかまではわからない。しかし、洞窟には空気の流れがあるようだ。ということは、行き止まりではない。洞窟はどこかに繋がっている。

 

(これを降りるしかなさそうね...)

 

どう考えてもあからさまな罠だ。狭く暗い閉鎖空間。領域内でなにもないわけがない。

しかし、もたもたもしてられない。

この瞬間も貴重な霊力は障壁を張るために消費され続けており、じわじわと減っている。

霊力がなくなればすぐに動けなくなる。決断は早いほうがいい。

 

崖を降りるのと、洞窟を下るのならば、まだ地に脚をつけ、自由な抵抗ができる洞窟のほうがマシな選択肢に思える。

 

「きまりましたかぁ〜〜?ちなみにアドバイスしておくとぉ〜〜崖はやめたほうがいいですよぉ?洞窟にしたほうがいいとおもいますよぉ〜?」

 

リーリエはまさにいま咲菜が悩んでいる状況を正確に言い当てた。

 

(こいつの言いなりになるのは本当に気に入らないけど、やっぱり洞窟しかなさそうね...)

 

咲菜はリーリエを無視すると、コートの裾を翻し、ヒールブーツで肉の床を踏みしめて走り出した。

目指す先は肉の洞窟だ。

 

だが咲菜は、肉の洞窟の中でこのときの選択を激しく後悔することになる。




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