第39章

◆第39章 鬼対抗戦・終章◆

◆39-1 で、一番強い鬼は?

【2つ目鬼ドンキ】「ぎゃははは、人間に倒されてやんの!」
【3つ目鬼マキ】「私は人のことを言えませんけど」
【1つ目鬼ミルキ】「ムキ~、必殺技の使い方をちゃんと知っていれば勝てていたニ!」
【2つ目鬼ドンキ】「それなー。おいらも必殺技を憶えないと、次はミルキに勝てそうにないぞ」
【3つ目鬼マキ】「悔しいけど、あれを使われたら無理そうです」
【1つ目鬼ミルキ】「おっ? ニシシシ、教えてやろうか? コツはだな───」

【ポムモモ准将】「タイムの発表はいらないみたいぽむ」
【ケンザキ少将】「そうみたいッスね」
【モノフ中将】「おっと、どうやら祭の終わりが、やっと到着の模様だぜ」
 空にモノノル准将。輪を描いて飛び合図を送っていた。その下に馬車の一団が走っていた。

【1つ目鬼ミルキ】「次は同じ技を使うという剣聖と戦ってみたいニ」
【2つ目鬼ドンキ】「おいらは、超人と戦ってみてぇ!」
【3つ目鬼マキ】「龍も強いでしょうね」
【1つ目鬼ミルキ】「魔人や龍人と鬼はどっちが強いニ?」
【2つ目鬼ドンキ】「天使長や大天使、悪魔に魔王も・・・・・・いっそ神とも!」
【3つ目鬼マキ】「世界は好奇心に満ちていますね」

【─?─】「そいつは楽しそうだな」
 背後に大きな影。

【2つ目鬼ドンキ】「こ、この声は・・・・・・」
【1つ目鬼ミルキ】「マ、ママ様!」
【3つ目鬼マキ】「お、おばさま。こんにちはぁぁぁ」
 ゴン☆
【1つ目鬼ミルキ】「ぴきゅっ!」
 ゴン☆
【2つ目鬼ドンキ】「んごっ!」
 ゴン☆
【3つ目鬼マキ】「はうっ!」
 三人は気絶した。

【ケンザキ少将】「ひ~、あの鬼たちをゲンコツ一撃ッス」
【ミルキ・ママ】「娘たちが迷惑をかけたな」
 ミルキの母親。ミルキ同様に1つ目。筋骨隆々で身長は3メートルほどの大鬼。三人の子鬼たちを束ねて回収する。
【モノフ中将】「あまり叱らないでやってくれ。こちらとしては楽しい祭りだった」

 こうして祭りは終了した。



◆39-2 帰路の鬼たち

 4頭引きの大きな馬車。鬼たちの国“修羅の国”に戻る鬼の御一行が乗っていた。

【ミルキ・ママ】「10人抜きだと? まったく、人間たちが遊んでくれたから良いものの。10人同時に攻撃をされたらどうなってた」
【2つ目鬼ドンキ】「10人か~。勝てるかな?」
【3つ目鬼マキ】「無理ですよ、アホ。6人チームだから60人を相手にするってことです」
【1つ目鬼ミルキ】「人間、意外と強いし変なヤツが多いニ。めちゃくちゃ厄介だったニ」
【ミルキ・ママ】「人間をあまり舐めるなってことだ。儂ら鬼族は単体としては最強と言われる生物の一種だが、人間は集団戦闘に長ける。そして、人間は儂らよりはるかに多い」
【1つ目鬼ミルキ】「人間、沢山いたニ!」
【2つ目鬼ドンキ】「どんくらい多いんだ?」
【3つ目鬼マキ】「数万倍って話ですよ」
【2つ目鬼ドンキ】「数万倍!? って、どんくらいだ?」
【1つ目鬼ミルキ】「多すぎてわからないニ!」
【ミルキ・ママ】「鬼が人間にとって脅威だったというのも、もう昔話ってことだ。悪さをすると閉じ込められるぞ。始祖様のようにな」
【2つ目鬼ドンキ】「それはイヤだ~」
【3つ目鬼マキ】「反省してます」
【1つ目鬼ミルキ】「はーい、ママ様」
【ミルキ・ママ】「それと・・・・・・美味そうな人間はいたか?」
【1つ目鬼ミルキ】「えー、アイツラはいいやつだったニ」
【3つ目鬼マキ】「あの方々は食べたくありませんね」
【2つ目鬼ドンキ】「だなー」
【ミルキ・ママ】「いつか、知った顔が食い物として送られてくるかもしれないぞ。所詮、儂らにとっては人間は食い物よ。種馬にしたら食っちまうくらいの存在思っておけ。馴れ合わないことだ」
【2つ目鬼ドンキ】「はーい」
【3つ目鬼マキ】「はい」
【1つ目鬼ミルキ】「しょぼーんニ」
【ミルキ・ママ】「悲しむよりは、その方がいいさ」
 小声でつぶやき、ミルキ・ママは大きな1つ目で遠い目をした

 ▼

 修羅の国のどこかにある洞窟。多くの結界が施されている。

【始祖鬼】「ぐるるる・・・・・・」
 封印だらけの身長7メートルほどの巨鬼が唸っていた。始祖の鬼である。

 人類誕生は約46000年前。まだ人間が未完成だった頃に不老不死の龍を取り込んだ鬼の始祖は、それ以前に誕生したことになる。
 大天災級に暴れる最強最悪の鬼。それは人間だけでなく鬼たちにとっても脅威であり、始祖鬼を封印するために人と鬼の利害が一致したことが、鬼が人と協定を結んだことの大要因である。
 なお、通常の鬼は不老不死ではないが、寿命は長く400歳ほど。



◆39-3 作戦終了

 アイスバーン市。
 東部最北、北部との境界近くにある都市。とある酒場にキオたち、リリ・レイズ、キアルのパーティーの面々。

【キオ】「北部の剣聖になると、北部に住まないといけないんだよね? 寒くて辛そうだなぁ~」
【リリ】「うふふふ、もう剣聖になった時の心配ですか」
【レイズ】「その前にキオは五ツ星にならないと。参加資格は五ツ星以上だよ」
【キオ】「おー、がんばる! キルキルは来年、出るの?」
【キアル】「えっ、どうでしょう?」
 キアルはエルチアを見る。
【エルチア】「キルキルが出たいなら。寒いところでも付き合うわよ」
【キアル】「正直、西部の大会で実力不足を感じました。・・・・・・でも、楽しそうですよね」
 キアルはふにっと柔らかい笑顔を見せた。
 共に西部剣聖選抜に出場したリリ、レイズ、背比べをしたキオと言う繋がりで、キアルのパーティーと親交を深めていた。
【レイズ】「あー、わかる。鬼っ子たちとの試合もなんだかんだで楽しかったし、変な人多かったよね~。剣聖は諦めたけど、腕試しに参加するのもアリかな。リリは?」
【リリ】「う~ん、私は見てる方が好きなのですが。レイズが出場するのでしたら喜んで応援に行きますよ」
【エンジ】「みんなまだ若いんだから、まだまだ伸びるでござる。拙者でよろしければ修行に付き合うでござるよ」
【キオ】「だめー! エンジ師匠は、俺を鍛えてー!」
【エンジ】「キオ殿は魔法の防御を試すという話だったでござる。しばらくはホルン殿とモリー殿に任せるでござる」

 同じ酒場の離れた席にいたモノフ中将たち。
 キオたちの会話が聞こえていた。

【ケンザキ少将】「エンジ氏ってどんくらい強いんッスか? 猿忍者の今の頭領の弟って話ッスけど、剣聖選抜出場者を鍛えられるほどなんッスか?」
【ポムモモ准将】「鬼対抗戦の候補選出でも3番目くらいに名前が上がっていたぽむ」
【モノフ中将】「頭領のみに一子相伝される技を見様見真似でモノにしちまったそうだ。技や戦い方の本質を見抜く超天才って話で、その才能を自分が強くなることに費やせば伝説級の忍者になれただろうが、他人を育てる方に興味が言ってしまったらしくてな。エンケイのやつが勿体ない勿体ないと嘆いていたよ」
【ケンザキ少将】「おー、頭領のエンケイさん、知り合いッスか。戦ったことはあるッスか? 強いッスか?」
【モノフ中将】「戯れ程度に戦ったことはあるが、ありゃ勝てる気はしないな」
【ケンザキ少将】「中将がそう言うくらい強いッスか!」
【モノフ中将】「森や屋内だったら縦横無尽に動き回るのに加えて、分身やら幻術やら目くらましやら、忍者ってヤツはとにかく攻撃が当たらねぇ。
 ルールのある試合の場に引っ張り出せればなんとかなりそうなものだが、猿忍者はそういうのに出ないのがシキタリという話だ。
 で、こんなところでどうだ?」
 モノフ中将たちは、名前の書いてある紙の切れ端を駒の様に動かして何やら会議をしていた。
【ケンザキ少将】「そうッスね。一人に絞る必要はないッス」
【ポムモモ准将】「妥当ぽむ。では、これで戦勝式の準備に行くぽむ」

 ▼

 MVPはリリとキアルの二人。
 古代生物の弱点を見抜き、鬼対抗戦でも貢献したリリ。古代生物戦でも鬼対抗戦でも戦力として活躍を見せたキアル。

【モノフ中将】「今回は事情が特殊だ。鬼対抗戦参加パーティーにはそれなりに配らないといけないし、MVPもそんなに期待しないでくれ」

 と戦勝式は終了した。

 ▼

 アイスバーン市・戦士ギルド。

【リリ】「・・・・・・と言っていましたが、すごい額なんですけど!」
【レイズ】「私も! これがモノフ中将の成果主義方式!」
【パーティーメンバー】「や、やべぇ。これからは、モノフ中将の作戦を狙っていこうか? リリとレイズがいれば、一攫千金を狙っていける!」
【パーティーメンバー】「このガチャ運が続いてくれればだけどな」
【パーティーメンバー】「正直、俺たちじゃ力不足だろ」
【パーティーメンバー】「う、うむ」
 軍師は五ツ星。ヒーラー、魔法使い、サポーターは四ツ星。剣聖選抜本戦出場者2人が定住するパーティーとしては平凡だった。



◆39-4 次の作戦は

【キオ】「大地の力と魂の呼応を───肉体を魂の形に。キュア!」
【ホーマス】「おお、治った。長年、苦しめられていた水虫が!(ボソッ)」
【エンジ】「これは意外でござる」
【モリー】「シールド復活と、キュアはヒーラー顔負けだな」
【ホルン】「キュアに関しては私よりも強いよ~。私でも治せなかったのに。悔しい~」
【キオ】「でも───」
【エンジ】「しかしながら、戦闘時に役に立ちそうな状態異常系アンチ魔法は才能なしでござるな」
【キオ】「うーん、微妙!」
【モリー】「ヒーラーに転向した方が伸びるんじゃないか?」
【キオ】「え───っ! 剣士がいい! 剣士がいい!」
【エンジ】「リリ殿のビジョンによると剣士を続けているでござるよ。転向は考えなくていいでござろう」
【モリー】「ああ、そうだったな」
【キオ】「ほっ。俺は剣聖を目指す!」
【ホルン】「ヒーラーは安全でいいのに~。競争率は高いけど~」

 キオの魔法スキルに対して再検討が行われていた。ヒーラースキルの一部限定で意外な可能性を見せたが、剣士としては役に立ちそうにない方向だった。

【カローラ】「おはよーさん。モリーの配属から外れてしまったよ。キオの成長を見守りたかったのに残念だ。みんなはどうだい?」
 と、カローラが昼前のお寝坊さんで登場。戦士カードには次の配属の指令が表示されていた。
【モリー】「えっ!? パーティー安定期に突入したと思って、チェックしてなかった。みんなはどうだい?」
【ホルン】「私も配属変更だ~」
【ホーマス】「自分も(ボソッ)」
【キオ】「あ、俺も!」
【エンジ】「拙者もでござる」
 みんなカードの裏面を見る。今朝に配属の指令が出されていた。

【カローラ】「合流場所がオルル王国のオーリン町だ。またゴブールが大量発生したのか」
【ホーマス】「カローラとは同じパーティーだ(ボソッ)」
【カローラ】「あ、本当だ。同じ軍師」
【ホルン】「私もオーリン町だけど違うパーティーだ。一緒にしてくれれば良かったのに~」
【カローラ】「ほほう、ホルンはきっと結婚相手との出会いがあるぞ。あの町は新婚さんの町で有名だけど、出会いの町でもあるんだよ。私も旦那とはオーリン町で」
【ホーマス】「俺もかみさんとはオーリン町で(ボソッ)」
【ホルン】「え~、まだ結婚したくない~」
【キオ】「俺はイスタンの王都。代表は軍師じゃなくてカラネルという先生。学校の生徒の護衛だって。へー、こういう依頼もあるんだ」
【エンジ】「おっ、拙者はキオ殿と一緒でござる」
【キオ】「やったー! エンジ師匠とはまた一緒だ!」
【モリー】「私もオーリン町。急いでガチャを引きに行かないと、いい戦士が取られてしまう!」
【カローラ】「報酬を取りに行かないと。ギルドに行ってみよう」

 『ガチャ』は『運命が出会いを導くシステム』。適材適所を公平に割り振るシステム。この先、みんなにどんな出会いが待っているか。




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