第38章

◆第38章 鬼対抗戦・第3戦◆

◆38-1 第3戦・1番札・2つ目鬼ドンキ

 第3戦・1番札。
『縦横無尽の五刀流・チーマル』五ツ星闘剣士。
『戦場を翻弄するイカサマ師・レイズ』五ツ星魔法剣士。
『春眠暁を覚えず・ネリム』五ツ星魔法剣士。
『殺戮衝動・キアル』五ツ星剣士。

 第3戦・2番札。
『ドッペルゲンガー・ノウモ』五ツ星剣士。
『千手先を見通す瞳・リリ』五ツ星剣士。
『陽光レーザー・テルヒコ』五ツ星魔法剣士。
『少将・特攻する司令塔・ケンザキ』五ツ星軍師+五ツ星闘剣士

 第3戦・3番札。
『潤う流れ髪・サララ』五ツ星魔法剣士。
『泣く子は育つ・ピエン』五ツ星剣士。
『血吸い・ヒゾウ』五ツ星剣士。
『東部中将・総突撃大作戦・モノフ』五ツ星軍師+五ツ星剣士。

【3つ目鬼マキ】「2番です」
【1つ目鬼ミルキ】「3番ニ」
【2つ目鬼ドンキ】「おいらからだ。なんだ、みんな女の子か」

【チーマル】「むっ、女と言って手加減は無用だ!」
【レイズ】「私は手加減希望~」
【ネリム】「よしなに~」
【キルア】「斬る! キル! KILL!」

【ポムモモ准将】「1番札を引いたのは2つ目鬼ドンキ選手ぽむ。パワーのドンキ選手に対して、ガチ戦闘力系、変則系と揃っているぽむ。というより・・・・・・」
【ガンスロット】「どの札を引いても一癖も二癖もありそうな顔ぶれでがんす。来年の北部・剣聖選抜大会の舞台に立っていそうな若手が揃っているでがんす。第3戦1番札の1人目は───」

『縦横無尽の五刀流・チーマル』五ツ星闘剣士。
 スペック猿獣族。17歳女。左手の手甲、左右の靴のつま先、尻尾の先に剣を備える。それと右手に握る剣で五刀流。

【キオ】「師匠の知り合い?」
【エンジ】「同郷でござるよ。面識はないでござるが、名うての闘剣士でござる」

 イスタン王国・キリガクレ村、またの名を猿忍者村がエンジの一族の出身地。世界中に多くいる猿獣人族の中では人に見た目が近く、毛に覆われた獣耳と尻尾、やや身長が低めであることが特徴の種族。猿っぽい顔立ちと思えるのは先入観か。

【チーマル】「はっ! ふんっ! ここだっ!」
【2つ目鬼ドンキ】「わっ!!」
【ガンスロット】「チーマル選手、ドンキ選手の長い右手をかわし、懐に張り込んだでがんす!」
【チーマル】「はっ! はっ! はっ! はぁぁぁっ!」
 五刀流の連続攻撃がドンキを叩く。四肢と尻尾の五刀流。体術が全て剣撃になる。
【2つ目鬼ドンキ】「いていてっ! いてててっ! わっ、アブねっ! え、ええいっ!」
 連撃の最後、尻尾の攻撃はドンキのまつ毛をかすめた。
【ポムモモ准将】「ドンキ選手、腕を振り回してチーマル選手を振り払う───ぽむ」
【チーマル】「ここだ! はっ!」
【2つ目鬼ドンキ】「えええ、なんで!?」
【ガンスロット】「チーマル選手、再びあっさりとドンキ選手の懐に飛び込むでがんす。どういうことでがんしょ? みんなドンキ選手の長い右手に苦労させられていたでがんすのに」
【キオ】「肘を叩いていたよね?」
【エンジ】「よく見ていたでござるな、キオ殿」
【キオ】「こうしてこうすると・・・・・・うーん、関節技?」
【エンジ】「そういうことでござる。肘が伸び切った時を狙って肘を叩いているでござる。ドンキ殿の腕の遠心力をテコの原理で利用して、肘関節を軽く決める。そうすると力が抜けて次の動作が遅れてしまうでござる」
【キオ】「そのスキに懐に飛び込んじゃうのか。すげー」
【ガンスロット】「ほぅ───ということらしいでがんす」
【チーマル】「だが・・・・・・! はっ! ふっ!」
【2つ目鬼ドンキ】「いててて、うわー、こいつ強いぞ!」
【チーマル】「くうっ! ふっ! とうっ!」
【2つ目鬼ドンキ】「いてっ、いてっ、くぅぅ~」
【チーマル】「はぁっ! はぁっ! はぁっ! はぁっ!」
【ガンスロット】「一方的に攻撃しているチーマル選手の息が上がっているでがんす」
【エンジ】「集中力のいる技でござる。スタミナの消耗が早いでござる」
【チーマル】「ふぅ・・・・・・鬼のスタミナとは相性が悪かったようだな。この一発で散るとしようか。頼む」
 パーティーメンバーからの多重バフの支援。
【チーマル】「森羅万象の力よ! 爆発だ! 剛の一撃!」
 チーマルが炎に包まれる。踏み込んだ地面にひびが入る勢いでドンキに襲いかかった。
【ガンスロット】「一転して、パワー重視の必殺技でがんす」
【チーマル】「ぬおおおおおおっ!」
【2つ目鬼ドンキ】「へへへへっ、おいらこういう方が得意だ! てやぁぁぁぁぁっ!」
 ドンキの目が赤く輝き、火に包まれる。真っ向から棍棒で向かい撃つ。
【ガンスロット】「共に火の属性をまとった一撃でがんす」
【ポムモモ准将】「相性に優劣なし。ガチンコのパワー対決ぽむ」
【チーマル】「ぬおおおおおおぉぉぉぉっ!」
【2つ目鬼ドンキ】「てやぁぁぁぁああぁっ! へいへいへいっ!」
【チーマル】「わぁぁっ!!」
 チーマルが弾き飛ばされる。
【ケンザキ少将】「おっ───はいっス!」
 飛ばされた方向にはケンザキ少将。チーマルが頭から地面に激突する寸前、ケンザキ少将が何かをする。チーマルはくるっと回転して足からふわっと着地した。
【ポムモモ准将】「こらー審判は手出し無用ぽむ」
【ケンザキ少将】「ありゃりゃ、つい体が動いてしまったッス」
【チーマル】「いや、おかげで気絶を免れた。私の負けだ」
 チーマルのHP計が停止寸前だった。
【ケンザキ少将】「では決着! 勝者、ドンキ選手!」
 ゴォォンと銅鑼が鳴らされる。
【2つ目鬼ドンキ】「ふぅ~、人間も強い! 疲れた~」
【ポムモモ准将】「鬼のシールドを1/3ほど削り取る快挙ぽむ」
 指を輪っかにしてドンキを見る。
【ガンスロット】「でもみるみる回復してるでがんす。やはり鬼はすごいでがんす」
【ケンザキ少将】「それじゃ、第1戦・1番札・2人目。準備はいいっスか?」
【チーマル】(こいつも相当強いな)
 チーマルはケンザキ少将をチラ見しつつ退場する。

 ▼

 第3戦・1番札・2人目。
『戦場を翻弄するイカサマ師・レイズ』五ツ星魔法剣士。
 スペック16歳女・狸族。レキノ市で生まれ育った少女。幼い頃からギャンブルで鍛え抜かれた駆け引きにより敵を欺く。先の西部・剣聖選抜大会では本戦出場の実力者。

【レイズ】「こっちこっち」
【2つ目鬼ドンキ】「え? えっ? えええっ? どうなってんだ!?」

【ポムモモ准将】「予想通りの展開ぽむ」
【ガンスロット】「レイズ選手のトリッキーな動きにドンキ選手、翻弄されまくっているでがんす」
【2つ目鬼ドンキ】「くそぉ、えええいっ!」
 ドンキ、ヤケになって長い腕を振り回す。
【レイズ】「きゃっ! あ、あぶないなぁ!」
【2つ目鬼ドンキ】「えっ、消えた! 後ろ!? いてて! くそぉぉぉ」
【レイズ】「きゃあっ! もう、腕、長すぎ!」
【ガンスロット】「レイズ選手がコツコツ削ったダメージを、ドンキ選手のまぐれヒットの一撃がひっくり返したでがんす」
【ポムモモ准将】「すかさずシールド回復ぽむ」
【レイズ】「長期戦は不利。短期決戦に賭けてみる!」
【ガンスロット】「多重バフ! 早くも来るでがんすか!? レイズ選手のお馴染みの必殺技───」
【レイズ】「光と水のミラージュ! ───ハイ・アンド・ロー! さて、上から来るかな、下から来るかな?」
 上段の構えのレイズ、下段の構えのレイズ、二人レイズが同時にドンキに詰め寄る。
【2つ目鬼ドンキ】「今度は、分身!? この娘、どうなってんの!? ───う、上っ!」
【レイズ】「残念、両方でした! ついでに後ろにも!」
【2つ目鬼ドンキ】「3分身!? クッ! いてっ、いてっ!」
 上段を受け、下段、後ろからの袈裟斬りをまともに受けてしまう。
【ガンスロット】「2発、きれいに決まったでがんす」
【ポムモモ准将】「でもこれでも、1/5、いえ1/6程度のダメージぽむ」
【レイズ】「ひえ~、その程度なの? ギブアップしちゃ駄目?」
【ケンザキ少将】「うーん、流石にピンピンしていたら無理ッス、それにドンキ選手、やる気まんまんッス」
【2つ目鬼ドンキ】「今のもう一回! もう一回!」
【レイズ】「わ~ん、ヤケになって行くよ! 光と水のミラージュ! ───ハイ・アンド・ロー! 上から、下から、横かな、後ろかな」
【2つ目鬼ドンキ】「へっへっへ! 全部薙ぎ払う!」
 ドンキ、長い腕を振り回して回転する。
【レイズ】「んぎゃ!」
 ラリアットがヒット。レイズ気絶にて決着。

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 第3戦・1番札・3人目。
『春眠暁を覚えず・ネリム』五ツ星魔法剣士。
 スペック17歳女。状態異常“睡眠”付与を得意とする。

【ネリム】「・・・・・・・・・・・・」
 気怠そうに半目を開き、ネリムが揺れるように動き始める。タン、トントン、シャン。足音と金属の装飾具が一定のリズムを刻む。
【2つ目鬼ドンキ】「さぁこい・・・・・・あれ? ふぁぁぁ。なんか、おいら眠い」

【ポムモモ准将】「・・・・・・・・・・・・すやすや」
【ガンスロット】「状態異常の“睡眠”を得意とす・・・・・・選手で・・・・・・がんす。お、おっと! 危うく眠りそうになったでがんす!」

【ホルン】「すやすや」
【キオ】「ホルン、寝ないで!」
【モリー】「ホルン、アンチ睡眠を頼むよ」
【ホルン】「おおっ・・・・・・ふぁぁぁ。行くよ~」
【観客】「おーい、アンチ睡眠の魔法を使える人は頼む」
【観客】「広域で行くわよ。こっちに集まって」
【ガンスロット】「ふぅ、すっきりしたでがんす。あのステップがすでに睡眠を誘っているでがんす」
【ポムモモ准将】「う、うっかり眠ってしまったぽむ。ケンザキ少将、起きるぽむ! 誰か審判にもアンチ睡眠を頼むぽむ」
【ケンザキ少将】「ハッ! 試合は!?」
【ガンスロット】「まだ、二人とも接触はしてないでがんす」
【モノフ中将】「たるんでやがるな。あとで二人とも説教だ」
 気合いの入っている人は天然でアンチ状態異常を持っていたりもする。

【2つ目鬼ドンキ】「おっ・・・・・・おっ・・・・・・」
 ドンキのまぶたが段々と下がり、カクッと体が崩れる。
【ネリム】「───はいっ!」
 すかさずネリムが剣撃を与える。
【2つ目鬼ドンキ】「わっ!? わぁぁぁ!」
 ドンキ、棍棒を振り回す。ネリムは悠々と距離を取る。
【ネリム】「・・・・・・・・・・・・」
 タン、トントン、シャン。ネリム、緩やかに流れるように動く。
【2つ目鬼ドンキ】「わかった! あの音と動きだ! 何か耳に詰めるもの・・・・・・これでいいや! さあ、来い!」
 ドンキ、服の端をちぎって耳に詰め、目を閉じて棍棒を構える。
【ネリム】「・・・・・・・・・・・・はいっ!」
【2つ目鬼ドンキ】「ぎゃんっ!」
 ネリム、そーっと歩み寄ってドンキに一撃。

【1つ目鬼ミルキ】「あれじゃ相手の攻撃がわからないニ」
【3つ目鬼マキ】「アホね」

【2つ目鬼ドンキ】「くそぉ! これはやめっ! せーの、えいっ! い、痛ってぇ~。強くやりすぎた!」
 ドンキ、耳の詰め物を捨てた後に、自分の頭を棍棒で殴る。頭にでっかいコブが出来た。
【ネリム】「苦痛で眠気覚ましですか。定番の手を」
【ポムモモ准将】「ドンキ選手、シールドが半分以下になっているぽむ」
【ネリム】「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・!」
 ピキッと魔法石の割れる音。
【ガンスロット】「ネリム選手、小声で必殺技を発動でがんす! おそらくは睡眠付与!」
【2つ目鬼ドンキ】「痛っ! いてっ! わっ、当てられると眠くなる!? わ───っ! わ───っ! わ───っ!」
【ネリム】「むっ! くっ!」
【ポムモモ准将】「ドンキ選手、叫ぶ、走り回る、棍棒を振り回して攻撃。やけくそで眠気覚ましをしているぽむ」
【ネリム】「ふっ・・・・・・んっ! なんという強打! 結局、一撃まともに食らったらおしまいになってしまう。ならば・・・・・・」
【ガンスロット】「ネリム選手陣営、多重バフでがんす」
【ポムモモ准将】「魔法石の割れる音が3つ。強技がくるぽむ」
【ネリム】「ねんねんよ、おころりよ。───お休みなさい」
 半開きだったネリムの目が大きく開かれる。
【2つ目鬼ドンキ】「ゾクッ!」
【ネリム】「はぁっ!」
 突き一閃。ドンキの額に決まる。
【2つ目鬼ドンキ】「わっ! くぅぅ! ぬおおおおおおっ!」
 仰け反ったドンキだが押し返す。ドンキの目が赤く輝き、火に包まれる。
【ネリム】「はぁぁぁぁぁぁっ!」
【2つ目鬼ドンキ】「負けるかぁぁぁぁ!」
【ネリム】「きゃあっ!」
 ドンキの棍棒がネリムを叩いた。ネリムの体が地面にバウンドし高く中を舞う。
【ケンザキ少将】「おっと!」
 ネリムが再び地面に叩きつけられる瞬間、ケンザキ少将が助ける。
【ケンザキ少将】「気絶! ドンキ選手の勝利ッス!」

【1つ目鬼ミルキ】「額から血が出てるニ」
【2つ目鬼ドンキ】「うひぃ、すごい一撃だったぞ!」
【3つ目鬼マキ】「い、今の人とも戦いたくないですね。ひぃ~」
 マキは冷や汗を流して額の目を抑える。
【1つ目鬼ミルキ】「人間にビビっていたニ」
【2つ目鬼ドンキ】「ちょ、ちょっとだけだぞ!」

【ポムモモ准将】「ここでドンキ選手のシールド、残り1/4ほどぽむ!」
【ガンスロット】「もしかしたら人間の勝利もあり得るでがんすか? ここで第3戦・1番札、切り札の登場でがんす!」

 ▼

【ケンザキ少将】「準備はいいっスか? 試合開始っス!」
 ドーンと銅鑼を鳴らし、試合開始となる。

 第3戦・1番札・4人目。
『殺戮衝動・キアル』五ツ星剣士。
 スペック14歳女。狂乱状態で精神的にも肉体的にもリミッターを外して戦う。愛称はキルキル。先の西部・剣聖選抜大会では本戦出場の実力者。

【キアル】「キルよ、KILLよ? 斬りたい! 斬ってあげる!」
【エルチア】「キルキル、一気に仕掛けるわよ!」
【ガンスロット】「試合開始早々、多重バフでがんす!」
【ポムモモ准将】「ドンキ選手が回復する前に勝負に出たぽむ!」
【ガンスロット】「キルキル選手の必殺技・大回転超斬撃(タイフーン・アタック)! 高速回転斬撃のミサイルがドンキ選手に迫るでがんす!」

【2つ目鬼ドンキ】「へへへ、こういわかりやすい力比べは大好きだ!」
【キアル】「斬る! 斬る剃る斬る斬る斬る斬る斬る斬るキルキル」
【2つ目鬼ドンキ】「へい! へい! へい! へい! うわわっ!? 強い上に速っ!」
【キアル】「キルKILLキルキル! 鬼斬り鬼斬り鬼斬り鬼斬り!」

【ガンスロット】「キルキル選手が押し勝っているでがんす!」
【ポムモモ准将】「削る、削る、削る、シールドを削る! これは一気に決まるぽむ!?」

【キアル】「斬る、キル、斬る!? あわわっ!?」
 バランスを崩して浮き上がってしまう。

【エルチア】「あ、あらあら。多重バフなんて初めてだから勢いが付きすぎてしまったみたい」
【ポムモモ准将】「キルキル選手の軌道がずれる。宙に浮いてしまったぽむ」

【2つ目鬼ドンキ】「! てやぁっ!」
【キアル】「キキッ!」
 ドンキの棍棒の一撃を剣で叩き返すが、真上に打ち上げられ空中で無防備状態になってしまう。
【キアル】「斬られる!」
【2つ目鬼ドンキ】「斬る! じゃない、撃つっ!」
 棍棒の一撃。ドォォォォンとキアルが地面で弾む。
【キアル】「きゅう~」
 キルキルちゃん、目をグルグルさせて気絶。

【ケンザキ少将】「勝者、ドンキ選手! そして試合終了ッス! 10人抜き達成っす!」
【2つ目鬼ドンキ】「はぁっ! はぁっ! つ、疲れたぁ~」

【ポムモモ准将】「ドンキ選手、残りシールドわずかぽむ。キルキル選手、最後のミスが惜しかったぽむ」



◆38-2 第3戦・2番札・3つ目鬼マキ

【レイズ】「はっ! リリの試合に間に合った?」
【キオ】「あっ、レイズが目を覚ましたぞ!」
【レイズのパーティー仲間】「セーフ。2番札はこれからだ」
【レイズ】「良かった。1番札はどうだった?」
【レイズのパーティー仲間】「惜しいところまで行ったんだけどなぁ」

 第3戦・2番札。
『ドッペルゲンガー・ノウモ』五ツ星剣士。
『千手先を見通す瞳・リリ』五ツ星剣士。
『陽光レーザー・テルヒコ』五ツ星魔法剣士。
『少将・特攻する司令塔・ケンザキ』五ツ星軍師+五ツ星闘剣士

【ガンスロット】「───以上が第3戦・2番札の戦士の面々。これに挑むは3つ目鬼のマキ選手でがんす」

 ▼

 第3戦・2番札・1人目。

『ドッペルゲンガー・ノウモ』五ツ星剣士。
 スペック22歳男・犬族。二つ名の通りと言われている。

【ノウモ】「では始めようか。時よ・・・・・・歪め!」
 ピキピキッと魔法石が2つ割れると同時に、ノウモが二人になる。
【3つ目鬼マキ】「分身ですか」
【ノウモ】「さて」「どちらが本物でしょう?」
【3つ目鬼マキ】「はっ! ふっ! んっ? まるでどちらも実体!」
【ノウモ】「ふふふ」「ふふふふ」

【キオ】「エンジ師匠わかる?」
【エンジ】「残像を利用した分身ではないでござるな」
【レイズのパーティー仲間】「レイズのとも違うのか?」
【レイズ】「イリュージョン魔法は空気中の水分でスクリーンを作って光で映像を映すんだけど、それとも違うみたい。何か独自の方法?」

【ガンスロット】「過去か未来か、異なる時間の自分を呼び出している・・・・・・なんて噂があるのでがんすが、どうなんでがんしょ?」

【3つ目鬼マキ】「うーん、だったら2人を相手にしていると思って戦うだけ!」
【ノウモ】「むっ!」「さすが鬼だ」

【ガンスロット】「マキ選手、2人のノウモ選手を相手に渡り合っているでがんす」
【ポムモモ准将】「ノウモ選手、分身以外は地味だけど、攻防のバランスに秀でパワーもあるぽむ。分身とのコンビネーションも抜群、相当に強いぽむ」
【ガンスロット】「それに渡り合っているマキ選手がさすがと言うべきでがんすね。さてノウモ選手、他の選手と同様に必殺技に賭ける様子。多重バフからの───」
【ノウモ】「大地を巡る奔流よ!」「地龍斬!」
【ガンスロット】「魔法石の消費は2個ずつ。2人のノウモ選手で4個の強攻撃でがんす!」
【3つ目鬼マキ】「はぁ! くっ!」
 一人のノウモはマキにカウンターを食らう。一人のノウモはマキにクリーンヒットを浴びせる。
【ノウモ】「無念!」
【ノウモ】「決まった───だが!」
【3つ目鬼マキ】「はぁっ!」
【ノウモ】「くっ、歴史は変えられぬか」
 マキの反撃を受けもう一人のノウモが地面にバウンドし、姿を消失させた。
【ガンスロット】「気絶。マキ選手の勝利でがんす」
【ポムモモ准将】「鬼じゃなければ耐えられる攻撃じゃないぽむ。剣聖選抜の活躍が楽しみぽむ」

 ▼

 第3戦・2番札・2人目。

『千手先を見通す瞳・リリ』五ツ星剣士。
 スペック19歳女。兎族。数分後の未来のビジョンを見る予知能力で戦う。先の西部・剣聖選抜大会では本戦出場の実力者。

【リリ】「未来視(ビジョン)・・・・・・なるほど。ギブアップしてもいいですか?」
【ケンザキ少将】「だめッス」
【3つ目鬼マキ】「参ります」
【リリ】「ふぅ、お手柔らかにお願いします」
【3つ目鬼マキ】「攻撃がまるで入らない! くっ! これが未来を見られる能力!?」
【ガンスロット】「リリ選手、攻防で常に最善手でがんす」
【ポムモモ准将】「だけど、息が上がってきたのはリリ選手の方ぽむ」
【リリ】「はぁ、はぁ・・・・・・並の戦士が攻め切れるものではありませんね。鬼のスタミナというのは」
【3つ目鬼マキ】「並なんてとんでもない。まだ一打も与えられないのですけど~」
【リリ】「はぁ、はぁ・・・・・・ふぅ」
 距離を取り、息を整えるリリ。
【リリ】「スタミナが尽きる前に、全力の必殺技を打って散りましょう」

【キオ】「あれ? リリの必殺技ってなんだっけ?」
【エンジ】「見たことがないでござるな。西部の剣聖選抜でも、一度も見せなかったはずでござる」
【レイズ】「いつもビジョンだけで倒しちゃっているからね。珍しいよ、リリが必殺技まで出すのは」

【リリ】「風、音───超振動剣<ウルトラソニック・ブレード>」
 ゆっくり振った剣がキュィィィィンと甲高い音を奏でる。

【ガンスロット】「魔法石3つ消費の強技、必殺技は名前通り、超振動剣でがんす」
【ポムモモ准将】「詠唱や必殺技名を考える時はネタバレになってしまわないように注意ぽむ」
【ガンスロット】「対人の戦いでは対策されてしまうでがんす」

【観客】「あー俺もネタバレしてるわ」
【観客】「必殺技名を叫ばないと気合いが入らないじゃん」
【観客】「叫んでこそ王道! 変える気はない!」
【レイズ】「リリは大丈夫。必殺技を出したからには外さないから。それがビジョン!」

【リリ】「結構、痛いと思いますよ。ごめんなさい」
 ゆっくりとマキに近づく。マキの攻撃をゆるりとかわし、懐に入り込む。
【3つ目鬼マキ】「避けられそうな気がするのですが・・・・・・えええっ!?」
 マキが避ける方向に、吸い込まれるように剣が迫る。
【3つ目鬼マキ】「あうっ!」
 バチッっと弾ける音がしてマキが吹っ飛んだ。
【リリ】「ふぅ、これで手は出し尽くしました。あとは倒されるだけです。・・・・・・ギブアップしてもいいですか?」
【ケンザキ少将】「うーん、マキ選手、どうするッスか?」
【3つ目鬼マキ】「いたたたたっ。一発も入れられないんじゃ、勝った気がしません!」
【リリ】「では、どうぞ」
 リリは両手を下げて目を閉じた。
【3つ目鬼マキ】「そうされたら、殴れません! う~」
【ケンザキ少将】「いいッスか? それでは勝者マキ選手って事で!」
 決着の銅鑼が鳴らされる。

 ▼

 第3戦・2番札・3人目。
『陽光レーザー・テルヒコ』五ツ星魔法剣士。
スペック24歳男。必殺技はレーザービーム。

【ポムモモ准将】「聞いたことがある戦士紹介ぽむ。まさか?」
【ガンスロット】「そのまさかでがんす。『導きの光・クローム』五ツ星魔法剣士の唯一の弟子でがんす」

『導きの光・クローム』五ツ星魔法剣士。前・西1位剣聖。
 スペック38歳男。必殺技はレーザービーム。人類史上最強は誰か?という話題に必ず名が上がる強戦士。

【ポムモモ准将】「クローム氏に弟子がいたぽむか。なぜ今まで名が知られていなかったか不思議ぽむ」
【ガンスロット】「コラボル諸島遠征隊に参加して4年前ほど大陸から離れていたでがんす」
【ポムモモ准将】「あー、確か先週に南部の港に帰還したぽむ。帰還早々、北部までやって来たぽむか」
【ガンスロット】「これは確実に北部・剣聖選抜を狙っているでがんすな」

【テルヒコ】「必殺技を温存できる相手ではない。最初から行く! 光よ───集まれ!」
 ピキッと魔法石が1つ割れる音。テルヒコの背にリンゴ程度の大きさの3つの光球が浮かぶ。
【ガンスロット】「これは───やはり“サンライト・レーザービーム”! クローム氏譲りの必殺技でがんす!」
 ガンスロットがテルヒコの戦士カードを確認。そして光の玉の1つがビシュっと空気を焼く音を立てて閃光になる。
【3つ目鬼マキ】「あつっ!」
 閃光が服を焦がす。太陽光を集めた熱線だ。棍棒でそれを防ぐ。
【テルヒコ】「ハッ!」
 その間にテルヒコが距離を詰める。剣撃、2撃がマキにクリーンヒット。
【3つ目鬼マキ】「くっ」
 棍棒を振り回し、テルヒコを引き離す。ビシュッ! 次のビーム。
【3つ目鬼マキ】「また! くっ!」
 すぐに棍棒でビームを防ぐ。
【テルヒコ】「ハッ!」
 その間にテルヒコが距離を詰める。剣撃を3打決める。そしてビーム、また剣撃を3打。
【テルヒコ】「光よ───集まれ!」
 そしてまた、3つの光球が浮かぶ。
【3つ目鬼マキ】「ま、またですか!? 魔法石1つの魔法という事は───くっ!」
 マキの目が赤い光を放つ。

【ガンスロット】「北部・剣聖選抜のルールを採用しているので、選手は魔法石を6つ、バックアップパーティーの5人は各人3つずつ。つまり、あと5回今の連続攻撃ができるでがんす。そして何回かは多重バフの支援が入ると思うでがんす」
【ポムモモ准将】「レーザービームは追従するから逃げるのは難しいぽむ。照射の2秒くらいの間、それを防いでる間は無防備。そこにすかさずの剣撃ぽむ」
【ガンスロット】「照射を受け続けていると武器が溶けてしまうでがんす。えげつないでがんす」

【キオ】「あれ、ずるくない? ずるくない?」
【エンジ】「相性が大きいでござるが、色々と避ける方法は考えつくでござるよ。拙者なら、分身で当たる確率を減らすでござるか」
【リリ】「ビームの軌道は直線ですから、術者が間に来るように立ち回ることができれば術者自身が盾になってくれます」
【レイズ】「私だったらイリュージョンを応用して、ビームを散らすスクリーンを貼るかな。きっとマキさんも・・・・・・」

【3つ目鬼マキ】「熱っ! 受けてばかりもいられませんか」
 2回目の必殺技の3発目。ビームを受ける棍棒が赤くなっていた。マキの目が赤く光る。まずは冷気で棍棒を冷やす。
【テルヒコ】「光よ───集まれ!」
 3回目の必殺技。また、3つの光球が浮かぶ。
【3つ目鬼マキ】「これならばどうでしょう!」
 次のビーム。冷気で直接ビームに対抗しようとするが負ける。
【3つ目鬼マキ】「ならば、これは!」
 空気中にキラキラと何かが舞う。
【テルヒコ】「ふっ! とうっ! やっ!」
【3つ目鬼マキ】「はっ! はっ! はっ! はいっ!」
 マキはビームを避けずに、テルヒコの剣撃に集中。テルヒコの攻撃を全て受け、最後に一発有効打を入れた。
【テルヒコ】「つ! ふっ、気付かれてしまいましたか」
 残り2発のビーム。テルヒコは飛び込まず。マキはビームを受けて防御。これでテルヒコの3回目の必殺技が終了する。
【3つ目鬼マキ】「冷気にこういう使い方もあるのですね。勉強になりました」

【キオ】「空気中の水分を凍らして鏡のようにして、ビームを散らしたんだ!」
【レイズ】「そういうこと」
【キオ】「・・・・・・うーん、魔法も練習した方がいいかな?」
【レイズ】「キオって魔法の方は?」
【エンジ】「攻撃系はあらかた素質なしでござるが」
【モリー】「防御魔法は試してないな」
【エンジ】「攻撃力全振りがキオ殿の持ち味でござるが、うーん、少し寄り道してもいいでござるかな」

【3つ目鬼マキ】「ビームはもう使わないのですか?」
【テルヒコ】「ふっ、温存させて貰います。くっ!」
【ガンスロット】「平凡な打ち合いが続いているでがんす」
【ポムモモ准将】「こうなると、鬼がスタミナで圧倒的に有利ぽむ。マキ選手が優勢、テルヒコ選手は削られてはシールド回復で助けられている状況」

【テルヒコ】「でわ、私も華々しく散るとしましょう」
【ガンスロット】「テルヒコ選手の合図により多重バフでがんす」
【ポムモモ准将】「テルヒコ選手、ここで勝負をかけるぽむ」
【テルヒコ】「光よ、渦巻けっ!」
 ピキピキピキっと魔法石が弾ける。
【3つ目鬼マキ】「!? 魔法石3つ! さっきのビームではない!?」
【ガンスロット】「こっちもクローム氏ゆずりでがんす! 超必殺技“ハイパー・サンライト・レーザービーム”!!」
 テルヒコの剣先に1つの光球が輝く。1つの代わりに大きい。スイカ大からさらに大きく成長していく。
【3つ目鬼マキ】「きゃぁぁぁっ! 無理っ! 無理、無理、無理~!」
 マキ、目をぐるぐるさせて沢山の氷の鏡を生成する。

【1つ目鬼ミルキ】「あんなに焦ってるマキは初めて見るニ」
【2つ目鬼ドンキ】「まさか、人間に!?」
【1つ目鬼ミルキ】「いや、まさか・・・・・・」
【2つ目鬼ドンキ】「まさかだよな・・・・・・」

【テルヒコ】「太陽の力よ───敵を貫けっ!」
 直径1メートルほどに育った巨大光球がジュビシャっと空気を焼く音を立てて線となる。
【3つ目鬼マキ】「くぅぅぅぅ~! 熱い! 熱い! 熱い! ぎゃっ!」
 マキ吹っ飛ぶ。
【テルヒコ】「はっ!」
 マキが地面に叩きつけられる寸前にテルヒコの追い打ち。
【3つ目鬼マキ】「んぐっ!」
 マキ、地面で大きく弾む。そして動かなくなる。

【ガンスロット】「マ、マキ選手ダウン!? 鬼のマキ選手が気絶でがんす!」
【ポムモモ准将】「シールド、ゼロぽむ!」
【2つ目鬼ドンキ】「おおっ! 人間、すげー!」
【1つ目鬼ミルキ】「マキをここまで追い込んだニ!」
【ケンザキ少将】「あやや、俺ッチ出番なしッスか? 決着! 勝者───!」
【ポムモモ准将】「待つぽむ! シールド回復!」

【3つ目鬼マキ】「──────!」
 ゆらっとマキが立ち上がる。
【テルヒコ】「復活スキル持ちというのは鬼にもいるのですか・・・・・・というか、この殺気! な、なるほど。これが鬼!」

【キオ】「お、鬼だ!」
【観衆】「鬼だ!」
【観衆】「ひっ・・・・・・鬼って意外と感じのいい奴らじゃんとか思っていたが、やっぱり鬼だ! 恐ぇぇぇぇ!」
 マキの姿が変貌している。角と牙が少し大きくなり、爪が伸びた。肉体的には些細な変化ではあるが、凄まじい殺気が鬼を鬼たらしめていた。

【1つ目鬼ミルキ】「人間、気をつけるニ!」
【2つ目鬼ドンキ】「気絶後のマキはしばらく正気じゃないぞ!」

【3つ目鬼マキ】「ふしゃぁぁっ!」
【テルヒコ】「えっ?」
 マキが高速で距離を詰め棍棒を振るう。反応はできたが剣が折れ吹き飛ばされる。テルヒコの体が地面で何回か弾んだ。一瞬でテルヒコが気絶に至る。
【3つ目鬼マキ】「しゃぁぁああああっ!」
 気絶したテルヒコにマキが詰め寄り、棍棒を振りかぶる。

【ケンザキ少将】「うわっ! シールドのない人に、そりゃダメッス!」
 ケンザキ少将が割って入り棍棒の打撃を反らした。
【ケンザキ少将】「中将、審判を頼むッス!」

【モノフ中将】「おう。え~っと、第3戦・2番札・3人目だったな。決着。勝者、マキ選手」
 ゴォォンと銅鑼を叩く。
【モノフ中将】「続いて4人目。試合開始!」
 ゴォォォォンと続けて銅鑼を叩く。

 ▼

 第3戦・2番札・4人目。
『少将・特攻する司令塔・ケンザキ』五ツ星軍師+五ツ星闘剣士
 スペック19歳男、虎族。

【3つ目鬼マキ】「ふしゃぁぁっ!」
【ケンザキ少将】「ひぃ、これ、どうしたら素に戻るッスか?」
【2つ目鬼ドンキ】「そのうちだな」
【1つ目鬼ミルキ】「しばらくしたら戻るニ」
【ポムモモ准将】「耐えるぽむ」
【ケンザキ少将】「ひぃぃ~。守りは得意じゃないッスよ」

【ガンスロット】「棍棒を受け流す。受け流す。受け流す。ケンザキ選手、見た目以上にパワーがありそうでがんす。そして虎族ならでは柔軟性。戦闘種族と言われる訳でがんす」
【ポムモモ准将】「そこは認めるぽむ。軍師としてはもっと頑張って欲しいぽむ。ケンザキ少将もモノフ中将もぽむ」
【ケンザキ少将】「お、お世話になってるッス」
【モノフ中将】「う、うむ」
【ガンスロット】「二人とも、ポムモモ准将にどんな弱みを握られているでがんすか」

【3つ目鬼マキ】「ふしゃぁぁぁっ!」
【ケンザキ少将】「暴走状態の野生モードと思いきや“型”らしい動きが混ざるのが厄介ッス。偶然の動作がキッカケに、体が憶えている一連の流れが出るって所ッスね。守りは性に合わないから、ここは攻めに転じて見るッス! 行くッスよ! ドッカ───ン!」
 魔法石がピキピキッと2つ割れた。
【3つ目鬼マキ】「!」
 空気の刃にマキが怯んだ瞬間、ケンザキ少将の姿はマキの上空にあった。
【ケンザキ少将】「空爆斬!」
 真上からの強襲。マキが地面にバウンドする。
【3つ目鬼マキ】「くっ・・・・・・しゃぁぁぁっ!」
 すぐに立ち上がり、威嚇の声を放つ。
【ケンザキ少将】「シールドの減り具合は・・・・・・もう1発、多重バフでの1発、ギリギリ行けるッスか? 回復される前に突っ込むッス! ドッカ───ン! 空爆斬!」

【ガンスロット】「決まった! 2発目もクリーンヒットでがんす。真上から来るとわかっていれば避けられそうなものでがんすが」
【モノフ中将】「あれな、実際に対峙してみるとわかるんだが殺意のフェイントが入っていてな。横からも後ろからも来そうなんだわ。真上以外からは滅多に来ないのだが、たまに来るってのが厄介でな。結局、全方向、警戒させられちまう」
【ガンスロット】「なるほどでがんす。今、マキ選手は野生の状態。殺意のフェイントには敏感に反応してしまいそうでがんす」
【ポムモモ准将】「ここで畳み掛けるように多重バフぽむ」

【ケンザキ少将】「行くッスよ! ここで念入りに殺意のフェイント、下の方に意識を向けさせて、ドッカ───ン!」
 ケンザキ少将が宙に舞う。
【3つ目鬼マキ】「!」
【ケンザキ少将】「あっ・・・・・・ここでそれが出るッスか!」
 何がキッカケになったのか“型”の発動。マキが一連の動作を見せる。
【3つ目鬼マキ】「! ふしゅぁぁぁぁっ!」
 そして頭上のケンザキ少将に気付き、棍棒を振りかざす。
【ケンザキ少将】「避ける? いや、行くッス! 空爆斬!」
 激突。両者吹っ飛ぶ。

【ガンスロット】「両者ダウン!? いや、両者とも立ち上がるでがんす」
【ポムモモ准将】「両者、ギリギリでシールドが残っているぽむ」

【ケンザキ少将】「届かなかったッスか。いやぁ、これはまいったッス」
【3つ目鬼マキ】「・・・・・・・・・・・・あれ?」

【2つ目鬼ドンキ】「おー戻った」
【1つ目鬼ミルキ】「マキ、また暴れてたニ!」
【3つ目鬼マキ】「えっ? ああ、あの時に気絶して・・・・・・きゃぁ、やらかしてしまいましたか! ふぅ、お恥ずかしい。ギブアップします」
【ケンザキ少将】「えっ、いいんッスか?」
【3つ目鬼マキ】「正気を失うなんて気絶と一緒です。私もまだまだ修行不足です」
【モノフ中将】「そういうことなら3人目のテルヒコ選手の勝利、4人目ケンザキ少将は無効試合ってことでいいかね?」
【ケンザキ少将】「俺ッチは構わないッスよ。楽しかったッスから」
【モノフ中将】「じゃ、そういうことで決着だ! 第3戦・2番札は人間側の勝利!」



◆38-3 第3戦・3番札・1つ目鬼ミルキ

 第3戦・3番札。
『潤う流れ髪・サララ』五ツ星魔法剣士。
『泣く子は育つ・ピエン』五ツ星剣士。
『血吸い・ヒゾウ』五ツ星剣士。
『東部中将・総突撃大作戦・モノフ』五ツ星軍師+五ツ星剣士。

【1つ目鬼ミルキ】「ニシシシ。やっと真打ち登場にニ」
【2つ目鬼ドンキ】「誰が真打ちだ」
【3つ目鬼マキ】「頑張って」

 ▼

 第3戦・3番札・1人目。
『潤う流れ髪・サララ』五ツ星魔法剣士。
 スペック17歳女。身長の倍ほどある長髪を気で自在に操る。

【サララ】「行くよ~」
【1つ目鬼ミルキ】「髪が蛇みたいニ!」
 サララの髪が無数の束になり、ムチのようにミルキを連撃。
【1つ目鬼ミルキ】「大して痛くもないけど、鬱陶しいニ!」
【サララ】「やっぱ、斬れないか。シールドのある相手は向いてないんだよね~」
 ミルキの足元に転がっていた石にピシピシと切れ目が入る。本来は全方向の敵を切り刻む武器であるが、微弱なダメージしか与えられない。
【1つ目鬼ミルキ】「こっちも斬れないニ!」
 一方、ミルキの剣撃に対し髪は弾かれるだけで切断には至らない。
【1つ目鬼ミルキ】「鬱陶しいニ!」
 ミルキの目が赤く輝く。ピキピキと放電し、バチッと強い電撃を発する。
【サララ】「髪の毛って電気を通しにくいんだよ~。残念~」
【1つ目鬼ミルキ】「へーそうなのか! 知らなかったニ」

【ガンスロット】「互いに得意技が相手に通じない感じでがんす。どうなるで・・・・・・おっと、ミルキ選手が突っ込んだでがんす」

【1つ目鬼ミルキ】「髪の毛なんて全部蹴散らしてやるニ!」
 茨をかき分けるように髪を蹴散らしながら距離を詰める。
【サララ】「わっ、わっ、やばい~」
【1つ目鬼ミルキ】「もらった! ぎゃっ!?」
 サララの懐に飛び込み、一撃が決まりそうになった瞬間、ミルキは顔の前を塞いで横っ飛びに距離を取った。ミルキが涙目になってる。
【サララ】「目が大きいんだから注意だよ~」
 無数の髪の束に隠れ、1本1本の散らばった髪も無数に紛れている。ダメージを与えるほどでなくても目にゴミが入った程度の感覚を与えるには十分である。
【サララ】「こっちからも行くよ~。と~」
 戦士らしくない掛け声を上げて、とてとてとミルキとの距離を詰める。
【1つ目鬼ミルキ】「い、いて、いて、く、来るな!」
 毛先がつんつんとミルキの目を攻撃。ミルキ涙目で逃げる。
【1つ目鬼ミルキ】「くっそぉ!」
 ミルキ目を閉じて闇雲に突っ込む。
【サララ】「はずれ~」
 サララひらりとかわす。
【1つ目鬼ミルキ】「くっそぉぉぉ!」
 ミルキ目を閉じて闇雲に突っ込む。
【サララ】「残念~」
 サララひらりとかわす。
【サララ】「弱点がバレる前に攻めちゃおう~」
 のんびりしたパーティーらしく「お~」とのんびりした返事が返ってくる。

【ガンスロット】「ここで多重バフでがんす。必殺技は───」

【サララ】「巻き上がれ、タイフ~ン。とうっ!」
 魔法石は3つ。風と髪が渦を巻きミルキを上空に放り投げた。
【1つ目鬼ミルキ】「うわぁぁ!」
 目をぐるぐるさせて飛ばされるミルキ。
【サララ】「てやー!」
 サララ、ジャンプ。剣撃でミルキを地面に叩き落とす。
【1つ目鬼ミルキ】「んぎゃっ!」
【サララ】「もういっちょ行くよ~。巻き上がれ、タイフ~ン」
【1つ目鬼ミルキ】「二度も食らうか!」
【サララ】「あっ!」
 ミルキの上昇が止まる。サララの髪を一房掴んでいた。そのまま軟着陸する。
【1つ目鬼ミルキ】「あっ・・・・・・ニッシシシッ、こうすればいいニ!」
 髪の毛を掴んでサララを振り回す。
【サララ】「あれれれ~れ~れ~れ~れ~~~。ばれちゃった~。ギブアップ、いいですか~~~~」
 と聞く頃にはすでに弾丸ライナーの勢いで放り投げられていた。

【ケンザキ少将】「ギブアップ了承ッス。そっちの人、キャッチッス!」
【観客】「ぎゃっ!」
【観客】「うわぁ!」
【観客】「ひぎっ!」
【サララ】「ふぅ~。ありがと~」
【観客】「あ、ああ(ガクリ)」
【観客】「ど、どういたしまして(ガクリ)」
 気絶を免れたサララだが、観客が何人か気絶することになった。

 ▼

 第3戦・3番札・2人目。

『泣く子は育つ・ピエン』五ツ星剣士。
 スペック15歳女・兎族。多重自己バフにより強くなる。

【ピエン】「よ、よろしくお願いします(びくびく)」
【1つ目鬼ミルキ】「さぁ、来いっ!」
【ピエン】「ひっ!(びくびく)」
【1つ目鬼ミルキ】「・・・・・・・・・・・・がお───っ!」
【ピエン】「う、うわ~ん!」

【2つ目鬼ドンキ】「あー、泣ーかした、泣ーかした」
【3つ目鬼マキ】「ミルキ、メッですよ」

【1つ目鬼ミルキ】「ミ、ミルキのせいじゃないニ!」
【ピエン】「う、うわ~ん!」
 ポワーンと光の輪がピエンの足元から頭上へと通り抜ける。
【1つ目鬼ミルキ】「なんだ? 行くぞ! とうっ!」
【ピエン】「ひえ~ん」
 ピエンはミルキの剣を受け流した。
【1つ目鬼ミルキ】「えいっ!」
【ピエン】「ひぃぃ~、えいっ!」
 ピエンはミルキの剣を受け流した。
【1つ目鬼ミルキ】「こいつ、泣いている割にやるニ!」
【ピエン】「しくしく。えい、えい。恐いよぉ」
 ポワーンと光の輪がピエンの足元から頭上へと通り抜ける。
【1つ目鬼ミルキ】「また? んっ!? とうっ!」
【ピエン】「きゃあ、きゃぁ! ひぃぃ~ん」
 ポワーンと光の輪がピエンの足元から頭上へと通り抜ける。
【ピエン】「えい、やあ、えいっ!」
【1つ目鬼ミルキ】「うぉ? おおっ! こいつ強くなってないかニ!」

【ガンスロット】「ピエン選手の特殊能力、“泣くほどに強くなる”でがんす」
【ポムモモ准将】「順調に自己バフを重ねているぽむ」

【1つ目鬼ミルキ】「な、なんかミルキの相手、変なやつが多くないかぁ!?」
【ピエン】「ええ~ん、変なやつなんて酷いよぉ」
 ポワーンと更にバフ。
【ピエン】「え~ん! えいえいっ! ひっ! え~ん」
 ピエンの一打一打が強くなる。速さと鋭さも増す。
【1つ目鬼ミルキ】「こ、こいつ、強いぞ!」

【パーティーメンバー】「ピエン、行くよ! ブーストアップ!」
【ガンスロット】「更に多重バフでがんす」
【ポムモモ准将】「もう何重だかわからないぽむ」

【ピエン】「え~ん! 痛いの、痛いの、飛んでけぇぇぇ!」
 魔法石の消費は2個。幻影付きの衝撃弾。イボイボ付きの巨大鉄球がミルキに向けて発射された。
【1つ目鬼ミルキ】「───痛そうなのが飛んできたニ!」

【観客】「“痛いの”ってそういう事!?」
 全観客がツッコミを入れた。
【ガンスロット】「同時に自分のシールドを回復する必殺技とフォローを入れておくでがんす」

【1つ目鬼ミルキ】「こ、こいつ、怪力王とか言われていたやつより! ぬぉぉぉ、ぎゃっ!」
 剣で向かい撃つ。目が赤く光っての本気モード。それでも押し負けてミルキが吹っ飛んだ。
【ピエン】「た、倒した?」
【1つ目鬼ミルキ】「このくらいで負けないニ!」
 ミルキがガバっと起き上がる。
【ピエン】「え~ん! まだ倒れてない~」
 ポワーンと更にバフ。
【1つ目鬼ミルキ】「こ、こいつタチが悪いニ!」
 ミルキの目が赤く光る。バチバチと全身から放電を始める。

【パーティーメンバー】「ピエン、アンチ雷!」
【パーティーメンバー】「アンチしびれも!」

【1つ目鬼ミルキ】「うら、うら、うら、うらぁニ!」
【ピエン】「きゃあ! きゃあ! きゃあ! きゃあ! え~ん!」
 ポワーンと更にバフ。
【ピエン】「え~ん! 痛いの、痛いの、飛んでけぇぇぇ!」
 必殺技2発目。
【1つ目鬼ミルキ】「んぎゃっ!」
 ミルキ吹っ飛ぶ。

【ガンスロット】「シールドを半分以上削ったでがんす」
【ポムモモ准将】「魔法石は残り2。必殺技はもう一発打てるぽむ」

【パーティーメンバー】「多重バフ。ピエン、行っけぇ!」
【ピエン】「え~~~ん! 痛いの、痛いの、飛んでけぇぇぇぇぇぇぇ!」
【1つ目鬼ミルキ】「んぎゃぁぁぁぁっ! くっそぉぉぉぉ!」
 ミルキ吹っ飛ぶ。が、足から着地。踏ん張った足2本が30メートルほどの溝を作った。

【ガンスロット】「ミルキ選手倒れず! シールド残量・・・・・・それほど変わらずでがんす」
【ポムモモ准将】「上手く吹っ飛ばされたぽむ」
【ガンスロット】「3発目で慣れたみたいでがんす」

【1つ目鬼ミルキ】「はぁっ! はぁっ! 耐えた! 耐えたぞぉぉぉ! ニシシシシッ、逆襲ニ!」
【ピエン】「え~ん、ギブアップします」
【1つ目鬼ミルキ】「え───っ! ずるいニ!」
【ケンザキ少将】「ええっと、必殺技の撃ち逃げは、ちょっとッス」
【1つ目鬼ミルキ】「そうだ! 今からがミルキの活躍の時間ニ!」
【ピエン】「・・・・・・しくしく。痛いのやだぁ。しくしくしくしくしくしくしく! え~ん!」
【1つ目鬼ミルキ】「うわっ!」
 泣きの圧力にミルキが仰け反る。
【ケンザキ少将】「ど、どうするッス?」
【1つ目鬼ミルキ】「わ、わかった! ミルキの勝ちでいいニ!」
【ケンザキ少将】「ミルキ選手の勝利ッス!」
 ゴォォンと銅鑼が鳴らされ決着。

 ▼

 第3戦・3番札・3人目。
『血吸い・ヒゾウ』五ツ星剣士。
 スペック26歳男・犬獣族。前回の北部・剣聖選抜大会では本戦出場の実力者。特殊能力は・・・・・・。

【ヒゾウ】「行くぞ!」
【1つ目鬼ミルキ】「血吸いって噛み付くのか?」
【ヒゾウ】「歯にも自信がない訳ではないが。武器はこの剣のみと思ってくれ」
【1つ目鬼ミルキ】「おっ、おっ。ニシシシ、今度はまともなやつニ!」
 数回、剣を交えただけでミルキはヒゾウの実力を理解する。
【ヒゾウ】「それはどうかな! はっ! はっ! 貰った!」
 拮抗した剣の攻防が続き、ヒゾウの剣がクリーンヒットする。
 へにょ~ん。
 ミルキは気の抜けた効果音を感じた。
【1つ目鬼ミルキ】「なんだ!? くっ! あれっ! くそぉ!」
 へにょ~ん。へにょ~ん。続けざまに2打、ミルキにクリーンヒット。ミルキが慌てて距離を取る。
【1つ目鬼ミルキ】「くらくら~。毒!? 鬼に効く毒だと!」
【ヒゾウ】「毒ではない。だからこそタチが悪い」
 ヒゾウはニヤリと笑う。

【ガンスロット】「ミルキ選手、集中を乱しているでがんす。ヒゾウ選手の特殊能力が効いてるでがんす」

『血吸い・ヒゾウ』五ツ星剣士。
 スペック26歳男・犬獣族。前回の北部・剣聖選抜大会では本戦出場の実力者。特殊能力「やる気ドレイン」。気力を奪う。

【ポムモモ准将】「魔法の状態異常とは違うせいか、前もってガードをするアンチ状態異常魔法系は効かないらしいぽむ。なぜか状態異常解除の魔法は効果あり、シールド回復の魔法でも解除になると変則的らしいぽむ」
【ガンスロット】「剣聖選抜大会出場者だけあって、手の内はバレバレでがんす。しかし、どっちにしてもミルキ選手に支援パーティーはないでがんす。ミルキ選手本人も魔法は使えないみたいでがんすから、手の内がわかっても対処の仕様がないでがんす」

【1つ目鬼ミルキ】「また、変なやつニ! 効果は短いみたいニ、少し復活したニ!」
【ヒゾウ】「その短時間で十分だ」
【1つ目鬼ミルキ】「速い! てやっ! てやっ、てやっ! くらえっ」
【ヒゾウ】「くっ! はっ!」
 ミルキの一撃がヒゾウに入る。ヒゾウ、ひるまずに一撃を返す。
【1つ目鬼ミルキ】「つうっ!」
 へにょ~ん。ミルキ、気力を奪われる。
【パーティーメンバー】「ヒゾウ、回復を入れておくぞ!」
 ヒゾウには支援が入る。
【ヒゾウ】「サンキュウ! そっちは、休ませない! はっ! はっ!」
 ミルキが距離を取るのを許さない。
【1つ目鬼ミルキ】「うわっ! こいつも厄介ニ!」

【ガンスロット】「ヒゾウ選手、3年前の北部・剣聖選抜では惜しくも入賞を逃したでがんすが、その頃に比べて、目に見えて完成度を増しているでがんす」
【ポムモモ准将】「速さもパワーも攻防も高水準なファイターでありながらこの特殊能力ぽむ。これは来年の北部選抜が楽しみぽむ」

【1つ目鬼ミルキ】「集中できないニ! くそ、何だこれニ!」
【ヒゾウ】「さすがは鬼。デバフは効いているが、通常の攻撃ではダメージを与えている感じがしない」
 デバフはバフ・能力アップの逆。敵の能力ダウンのことをデバフと言い、この場合はミルキのやる気を奪うことによる攻撃力ダウン、防御力ダウンのことを言う。
【ヒゾウ】「ならば、頼む!」
 パーティメンバーからの支援、多重バフ。そしてピキッっと魔法石が3個割れる音がする。
【ヒゾウ】「地の龍よ奔流を示せ───純! 大斬撃ッ!!」
 一言で言うならばヒゾウという超一流が強打と必中のために純度を研ぎ澄ませた一撃。避けることはほぼ不可能な強打である。
【1つ目鬼ミルキ】「こんなの避けようが───ピギャッ!」
 技のクリーンヒット。ミルキが吹っ飛ぶ。
【ヒゾウ】「・・・・・・さすがは鬼。この一撃でもシールドを削るのみか」
【1つ目鬼ミルキ】「こ、こんなの、ヘロヘロさせられてなくても避けられないニ!」
 立ち上がるミルキ。ダメージとともに、更にへにょ~んと気の抜けた効果音を聞く。

【ガンスロット】「ヒゾウ選手の必殺技がクリーンヒットでがんす」
【ポムモモ准将】「ミルキ選手のシールド残量───1/4! これはもしかしてぽむ!?」
【ヒゾウ】「猶予は与えぬ! 地の龍よ奔流を示せ───純! 大斬撃ッ!」
【ガンスロット】「勝負どころを見逃さないでがんす!」
【ポムモモ准将】「再度の多重バフから、ヒゾウ選手、必殺技ぽむ!」

【1つ目鬼ミルキ】「避けられないニ。無理ニ。はぁ、負けてしまおうかニ・・・・・・・・・・・・いや、鬼が人間に負けられるかぁぁぁぁ! どうせ、避けられないなら───こうニッ!」
【ヒゾウ】「ぬっ!?」
【1つ目鬼ミルキ】「ぬぎぎぎぎぎぎっ!」
 ミルキの腕にヒゾウの剣が深く刺さる。骨にも達していそうな深さだが剣はそこで止まり、ヒゾウがどれほど力を入れても剣を引き抜けそうになかった。。
【ヒゾウ】「剣を止めるためにシールドを解いて斬らせ、そして筋肉で剣を抑え込むとは!」
【1つ目鬼ミルキ】「うが───っ!」
【ヒゾウ】「見事っ!」
 ヒゾウは心底満足そうな笑みを浮かべ目を閉じる。ミルキーの剣が横薙ぎに迫る。ヒゾウは自らの剣を離せばそれを避けることは容易かっただろう。しかし剣士としての意地として剣は離さず。ヒゾウは吹っ飛ばされ気絶に至る。
【ケンザキ少将】「ミルキ選手の勝利ッス!」
 ゴォォォンと決着の銅鑼が鳴る。

 ▼

 第3戦・3番札・4人目。
『東部中将・総突撃大作戦・モノフ』五ツ星軍師+五ツ星剣士。
 スペック29歳男、虎族。元剣聖の剣士だが片目を失い軍師に転向。

【1つ目鬼ミルキ】「元剣聖か! 楽しみニ!」
【モノフ中将】「今は剣士は引退してただの運動不足な軍師だ。全盛期に比べれば弱くなったが、まぁガッカリさせねぇように努力はするよ」
【ケンザキ少将】「両者、準備はいいッスか? んでは、試合開始!」
 ゴォーンと試合開始の銅鑼が鳴る。

【ガンスロット】「ミルキ選手、前試合では片手を犠牲にしての勝利。もう血が止まっているでがんす。さすがは鬼の回復力でがんす。でもさすがに剣は握れない様子、片手持ちでがんす」
【ポムモモ准将】「シールド残量は少し回復し1/3くらいぽむ。モノフ中将・・・・・・おっと、モノフ選手ぽむ。それを見逃す訳もない。いきなり多重バフの要求ぽむ!」

【モノフ中将】「最初から飛ばしていくぜ。地の拘束、風の刃───」
 ピキピキッと魔法石が2つ割れる。
【1つ目鬼ミルキ】「! か、体が動かないニ!? あ、あれ? ヤツは!? !」
 目の前からモノフ中将の姿が消える。後方頭上に殺気を感じるが、動けず確認することは出来なかった。
【モノフ中将】「断頭台」
 無防備のミルキの後頭部に衝撃が走る。ミルキの首が切断され、地面に叩きつけられた。
【1つ目鬼ミルキ】「ギャッ! あ、あれ、つながってる!? な、なんだ! なんだ───っ!?」
 ミルキ、自分の首を確認。慌てて飛び退く。

【観客】「あ、あれ? 今、頭落ちなかったか!?」
【ケンザキ少将】「殺気による錯覚ッスよ。もっとも、シールドのない敵だったら、本当にこうッスけど」
 ケンザキ少将は首を切るジェスチャーをする。
【観客】「ひ~」

【モノフ中将】「さすが鬼、この程度のダメージか。こりゃ、もう2発決めねぇといけないな」
 軍師スキルも持っているモノフ中将は、ミルキのシールドの残り具合を見ることができる。
【1つ目鬼ミルキ】「さ、させるか!」
 ミルキの目が赤く光る。放電をまとう。本気状態でモノフ中将に猛攻を仕掛ける。

【ケンザキ少将】「ひゃー、中将のあれを食らって、心が折れないッスか。さすがは鬼ッス。慣れるまでに10発は食らったッス」
 ケンザキ少将、苦笑いで冷や汗。

【ガンスロット】「ミルキ選手の猛攻でがんす。だが前試合の負傷のために剣は片手持ち」
【ポムモモ准将】「パワー勝負はモノフ中将の有利ぽむ」

【モノフ中将】「だが・・・・・・もう治りかけてる。なんて治癒力だ」
 ミルキの傷は既に塞がり赤い線になっている。
【モノフ中将】「全力の鬼と戦うのも楽しそうだが・・・・・・今日は勝ちを拾いに行くぜ。地の拘束、風の刃───断頭台」
【1つ目鬼ミルキ】「ま、また金縛り! ギャ───ッ!! つ、ついてる! 切れてないニ!」
 ミルキ、首を確認しながら距離を取る。

【1つ目鬼ミルキ】「その技、すごく嫌いだ! ぶっ───殺す!」
 再びミルキの目が赤く光る。放電をまとう───が、その規模が数倍に及ぶ。そしてそれが収束し、放電の色が金色から青に変わった。剣を両手に握る。苦痛が興奮により麻痺した。

【3つ目鬼マキ】「! ミルキの“気”が変わりました!」
【2つ目鬼ドンキ】「な、なんだこれ? すげーぞ!」

【モノフ中将】「あっ、やべっ。何か壁を超えちまったみたいだな。ケンザキ少将───魔法石を持っているだけミルキに投げろ! 急げっ!」
【ケンザキ少将】「えっ? は、はいッス!」
 指示に従い6つの魔法石を放る。そのうちの2つがピキピキッと割れた。

【ガンスロット】「魔法石が割れたでがんす! ということは───」
【ポムモモ准将】「必殺技ぽむ!?」

【1つ目鬼ミルキ】「な、なんか来るぞ! すごい一発が撃てそうニ! 喰らえ───っ!」
【モノフ中将】「向かい撃つ!地の拘束、風───これは、まさか!? チッ、しまった!」
 カウンターを狙ったモノフ中将だが必殺技を止め慌てて後ろに飛ぶ。
【モノフ中将】「間に合わ・・・・・・」
【1つ目鬼ミルキ】「どっ───か─────んっ───!!!!」
 青い一閃とともに青い落雷がモノフ中将を襲った!

【ポムモモ准将】「あれ!? 見たことあるぽむ!」
【ガンスロット】「これは青き閃光(ブルーライトニング)でがんす! 『ウエスタ王国・青の騎士隊エース・ハイネス』西2位剣聖の必殺技でがんす! 属性が絡む必殺技は突き詰めると同じ最適解になると聞くでがんすが───」
【ケンザキ少将】「あー、発動の開始時は無敵状態にある技ッスね。それに気付いたからモノフ中将は向かい撃つのをやめて逃げたッスね」
【ガンスロット】「直撃!? モノフ中将は───?」

【モノフ中将】「くうっ!」

【ガンスロット】「直撃は避けたみたいでがんす!」
【ポムモモ准将】「シールドは持ったぽむ。しかし硬直状態ぽむ」

【1つ目鬼ミルキ】「なんか出たニ!」
【3つ目鬼マキ】「ミルキが必殺技を!」
【2つ目鬼ドンキ】「必殺技だ! カ、カッコイイ!」
【1つ目鬼ミルキ】「き、気持ち良かったニ!」

【モノフ中将】「ふぅ・・・・・・あぶねぇ所だった」

【ガンスロット】「ミルキ選手がはしゃいでいるうちにモノフ選手、硬直状態から脱したでがんす」

【1つ目鬼ミルキ】「まだ立っているニ! タフなやつニ!」
【モノフ中将】「その必殺技はな、敵を硬直状態にして、その間に仕留めるって技だ。技の特性が分かっていないことに助けられたぜ」
【1つ目鬼ミルキ】「だったら、もう一発撃ってやるニ! ニシシシシ、コツは掴んだニ!」
【モノフ中将】「あっ、バカッ! 止めろ!」
【1つ目鬼ミルキ】「ぶっ───殺す!」
 ピキピキッ! と魔法石が割れる音がする・・・・・・・・・・・・ミルキの頭の中から。
【1つ目鬼ミルキ】「ぴっ!」
 ミルキが突然、前のめりにぶっ倒れた。

【モノフ中将】「必殺技に使う魔法石がなけりゃそうなるわ」
【ケンザキ少将】「あー、それで魔法石を投げろと言ったんッスね」
【モノフ中将】「命に別状はねぇ。魔法石の割れたショックが脳を直撃して気絶しただけだな」

【ケンザキ少将】「───という事は。決着! モノフ中将───おっと、モノフ選手の勝利ッス!」
 ゴォォォォンと銅鑼の音とともに鬼対抗戦は終了した。




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