第35章

◆第35章 北方◆

◆35-1 北方情況

 大陸北は西部、東部の北方から雪原や永久凍土が始まり、北極周辺は氷の大地となる。厚い氷の下のどこに地面があるかどうかは不明。またその辺は人類にとって用のない場所のために、地図も大雑把な予想で描かれている。
 惑星ファーストの地軸は公転面にほぼ垂直であることにより季節変動は微小。寒い地域は安定して年中寒く、夏になれば溶けるわけでも農作物が育てられるようになるわけでもないために、基本的には雪の積もるような場所には誰も住んでいない。
 人は雪や凍土を避け火山を中心に集まり、小国から村規模の人類圏が火山帯に沿って点在している。東部にはイスタン王国、西部にはウエスタ王国、南部にはサウ王国という大国があるが北部に大国という規模の国はない。

 ▼

 イスタン王国・アイスバーン市。
 イスタン王国の西・最北の小都市。ちらほらと雪が降るが積もるほどではなく、普通の生活ができるギリギリの北方に作られた都市である。この都市から一歩北に踏み出すと北部になる。

【キオ】「雪だ! 初めて触った! オー! おぉぉ・・・・・・冷たい! 寒い! ガクガクブルブル!」
 乗合馬車で到着のモリー・パーティー。馬車内から見える雪にはしゃいでいたキオだが、馬車から出てはしゃぐのは一瞬。すぐに身を丸めて小さくなった。
【エンジ】「はははは、この辺はまだ大した事ないでござるよ」
【モリー】「戦場はもっと寒いぞ」
 と指を差すは雪山。山の裏側に赤い光の柱(レッドサイン)が立っていた。次の現場である。
【キオ】「でっかいかき氷みたいだ!」
【モリー】「食べ放題だぞ」
【キオ】「わーい! シロップ買いに行こう!」
【モリー】「食べるのか!」
【エンジ】「シロップよりも服を買うでござるよ」

 ▼

 乗合馬車から下りてくる戦士たちを物色する片目眼帯の大男。

【モノフ中将】「見ねぇ顔が多いな」

『東部中将・総突撃大作戦・モノフ』
 スペック29歳男、虎族、ガウ王国出身。元剣聖の剣士だが片目を失い軍師に。右目の眼帯がトレードマーク。

【ポムモモ准将】「北部の剣聖選抜を睨んで、西部からも戦士が集まっているみたいぽむ」

『准将・背後に潜む目と耳・ポムモモ』五ツ星軍師。
 スペック15歳女、虎族。

【ケンザキ少将】「まだ西部の選抜が終わったばかりというのに気が早いッスね」

『少将・特攻する司令塔・ケンザキ』五ツ星軍師+五ツ星闘剣士。
 スペック19歳男、虎族。

【モノフ中将】「そのついでに? こいつら俺のルールはわかってるんだろうな」
【ケンザキ少将】「なめてそうッスね」
【ポムモモ准将】「油断していると、報酬もらえないぽむ」

 一番首を取ったパーティーは半年遊んで暮らせるが、弱いパーティーはその日の飯代も稼げないという極端な実力主義報酬制・・・・・・というのがモノフ中将総指揮のお約束である。



◆35-2 古代生物討伐1

 古代生物とは神が生物の多様化を目指した時代の失敗作。参考例があるわけでもない神の生物創造は、何もかもが手探りでトライ&エラーの繰り返しであり、成功よりも遥かに多くの失敗を生み出してきた。
 数億年前から生き続けているものもいる。多々いる。

 各パーティーの軍師が呼ばれての作戦会議。

【ポムモモ准将】「古くは神暦1200年頃、最近では140年ほど前、過去に6体と対戦した記録が残っている古代生物・三〇八号に姿が似ているという報告ぽむ。よって、討伐目標を“古代生物・三〇八号亜種”と呼称するぽむ。
 総指揮はモノフ東部中将。ルールはおなじみのモノフ中将ルール・・・・・・超成果主義で行くぽむ」

【軍師たち】「・・・・・・ぽむ」
【軍師たち】「ぽむだなぁ」
【軍師たち】「あー、ポムモモ准将。“ぽむ”が気になって内容が入ってこねぇのだが」
【軍師たち】「前に会った時は普通に礼儀正しい嬢ちゃんだったよな?」
【ポムモモ准将】「准将から少将への昇格レースは厳しいぽむ。ここは作りキャラで少しでも目立とうと思ったぽむ。語尾以外のアイデアも募集ぽむ」
【軍師たち】「作りキャラってバラしちゃってるのかよ!」
【軍師たち】「むむ」
【軍師たち】「いいのか?」
【軍師たち】「あの男臭い方向で厳しい中将が、良く許したもんだな」
 軍師たちの視線がモノフ中将に集まる。

【モノフ中将】「まぁ不本意だが」
【ポムモモ准将】「弱みを握るのも戦略ぽむ」
【軍師たち】「な、なにを握った、嬢ちゃん」
【軍師たち】「モノフ中将相手にいい度胸してるな!」

【ポムモモ准将】「話を戻すぽむ。過去の6体の例では火、水、雷、凍結、毒、麻痺など、何かしらの極端な弱点を持つ場合が多いらしいぽむ。
 しかし弱点以外の属性は効果がないだけでなく、何割かを吸収して自分のエネルギーとして取り込みシールドを強化するぽむ。よって、弱点がわかったらみんなに教えて欲しいぽむ」

【軍師たち】「そりゃなんの冗談だ」
【軍師たち】「他のパーティーに弱点を教えたら、分け前が減っちまうじゃねーか」
【ポムモモ准将】「自分たちだけじゃ倒せないと思ってからでもいいぽむ。有力な情報を流してくれたパーティーも高報酬を期待していいぽむ」
【軍師たち】「おっ、そういうことなら」
【軍師たち】「いざの時はそうすっか」

【モノフ中将】「ガハハハッ。そうそう報酬が正義。ポムモモめ、こいつらを使うのが上手くなったじゃねぇか。こいつはうかうかしてらんねーな、ケンザキ」
【ケンザキ少将】「いいッスよ。俺ッチの目標は剣聖。将官なんてなりたくてなった訳じゃないッスから」

【ポムモモ准将】「敵は溶けかけで頭を出している状態で発見、凍結魔法で復活を邪魔している状態ぽむ。
 まずは、魔法大砲・雷轟をお見舞いするぽむ。雷が弱点であたりならば、作戦終了ぽむ」
【軍師たち】「ハズレだと、その魔法エネルギーを吸収して復活を促進させてしまうということか」
【ポムモモ准将】「そういうことぽむ」

 ▼

【モリー】「話には聞いていたが、モノフ中将指揮の作戦は極端な成果主義。目立った活躍がなければ無報酬と思っていい。無駄遣いは控えた方がいいぞ」
【ホルン】「名の知れた賞金稼ぎのパーティーを沢山見かけた~」
【カローラ】「少しはキオの声バフで少し加算されるだろ」
【ホーマス】「(コクコク)」
【エンジ】「キオ殿の声なら目立つし、いい考えでござるな」
【キオ】「おーまかせろ!」

 モリー隊、構成。
『エンドラインの守護神・モリー』五ツ星軍師。
 スペック24歳女。守備バフ。副ヒーラーもこなす。ボイン。

『猿忍者・山の隊隊長・エンジ』五ツ星忍者。
 スペック23歳男。猿獣族の猿忍者。近接アタッカー。剣撃に麻痺効果。育成能力に秀でる。

『小さな竜巻・キオ』四ツ星剣士。
 スペック15歳男。近接アタッカー。攻撃バフ。

『暗躍する癒やし手・ホルン』四ツ星魔法使い。
 スペック19歳女。主ヒーラー。夜にバフ。混乱魔法。夜にパワーアップする。

『旋回する七本の矢・カローラ』四ツ星弓士。
 スペック26歳女。遠距離アタッカー。痺れ矢による広域攻撃。副ヒーラーもこなす。

『気の優しい力持ち・ホーマス』四ツ星サポーター。
 スペック26歳男。サポーターが本業だが、投擲を特技とする。

 詳細を付け足そう。
 独身はホルンとキオのみ。モリー、エンジ、カローラ、ホーマスは既婚で4人ともパートナーは非戦士。子供が2人ずついるがパートナーが面倒を見ている。
ご時世的に独身のまま24歳を越えると行き遅れと言われるようになる。特に断りのない場合は既婚者だと思って欲しい。

 ▼

 西部・ウエスタ王国・レキノ区・レキノ市。

【マフ】「へくしょん! ちきしょうめ」
【ツクネ】「はーっくしょん! てやんでい」
【ヒカリ】「二人とも、風邪?」
【ミーシャン】「部屋。寒いかしら?」
【ネロ】「ますます婚期が遅れそうなくしゃみだな」
【マフ】「ほほう少年、いい度胸だ!」
【ツクネ】「なんか噂されている気がした」
【バーン】「はっはっはっは」

 遠い街のシュン・パーティー。24歳の行き遅れ2人が酔っぱらって管を巻いていた。



◆35-3 古代生物討伐2

【キオ】「さ、寒い!」
 戦場へ向かい真っ白い雪原を移動する。季節変動がないために植物が育たない。見渡す限りの白い世界である。

【キオ】「あっ、暖かくなってきた!」
 戦場となる雪山裏の麓付近に近づくと、茶色の地面がすけて見え始める。

【キオ】「あ、暑い!」
【エンジ】「ここらで着替えるでござる」
【モリー】「服はレンタルで良かったな」
【ホルン】「折角かわいいコートを買ったのに~」
【カローラ】「荷物になってしまうな」
【ホーマス】「荷物はまかせて(ボソッ)」

 季節による変動が少ないために、環境の変化には大抵火山活動が影響している。火山の影響で付近の凍土が溶け始め、埋もれていた古代生物が目覚めたというのがこの討伐作戦の経緯である。
 アリエルの消費を検知した天使が飛んできて赤い光の柱(レッドサイン)を立てる。戦士連合(ユニオン)が駆けつけ、今は凍結魔法により古代生物を抑えている。

 南ユキボウシ山。
 東部最北のアイスバーン市より北方、北部から見ると最南のこの山の麓が戦場となる。

【レイズ】「キオの声だ。相変わらずでっかい声してるね」
【リリ】「あっ、あっちにいますね」
【レイズ】「挨拶してくる? ちょっと遠いか」
【リリ】「作戦終了後にしておきましょう」

 同作戦にレイズとリリも参加してた。
 その側を、たたたたと小走りで通り過ぎて行こうとしていた10代前半くらいの少女が二人に気付いて足を止める。

【少女】「あっ! リリとレイズだ!」
 指差す少女。
【少女】「・・・・・・はわっ!? 思わず指を指してしまいました! すみません! え、えっと、西部の剣聖選抜で見ていたのでつい!」
 思わず指してしまった指を、ペチッと叩いた後に掴んで胸に引き戻す。そして背中に隠して真っ赤になる。
【レイズ】「あら、可愛い娘。貴方もこの作戦に参加するの?」
【少女】「は、はい」
【リリ】「うふふふ。お互いに頑張りましょう」
【少女】「はい、よろしくお願いします!」
【ヒーラー】「おーい、シールドを掛けるよ」
【少女】「あっ、呼ばれてる。それではまた。はーい、今行きまーす」
 少女はペコッと頭を下げながら小走りに去って行った。

【レイズ】「可愛い娘。10年前に会いたかった」
 レイズの子供好きのストライクゾーンは0~8歳くらいである。
【リリ】「すごい美少女でしたね。でも・・・・・・どこかで会ってない?」
【レイズ】「あっ、私もそう思った。あんなに可愛い子なら憶えてそうだけど・・・・・・」

【ヒーラー】「大地の力と魂の呼応を。力を鎧に。シールド」
【少女】「・・・・・・・・・・・・ギリッ!」
 愛らしい少女の顔が変貌する。目の下にくまが浮かび、歯がギザギザになる。
【キアル】「斬りたい。早く斬りたい! 敵は? KILLよ? 斬り刻むよ!」
【エルチア】「作戦開始までもう少しだから待ってね。鎧、着せるよ。バンザイしてキルキル」

『殺戮衝動・キアル』五ツ星剣士。
 スペック14歳女。狂乱状態で精神的にも肉体的にもリミッターを外して戦う。愛称はキルキル。先の西部・剣聖選抜大会では本戦出場の実力者。

『甘いアメと甘いムチ・エルチア』五ツ星ヒーラー。
 スペック17歳女。キアルの保護者ポジション。愛称はエルエル。

【リリ】「ええっ! キルキルちゃん!?」
【レイズ】「あの性格はシールドによる作用だったんだ!」

 ▼

 赤い光の柱(レッドサイン)の真下。
 ターゲットが単体のため、当然柱は真上。赤い光に照らされての戦闘になる・・・・・・とウザイので色調補正の魔法が掛けられ、付近は普通の色に見える状態になっていた。
 そしてターゲットの“古代生物・三〇八号亜種”。凍土から姿を表しているのは4メートルほど。大きな目が6つある。過去の記録によると全身の胴は7メートルほど、下半身は最大10数メートル伸びる触手だという。
 周りに魔法陣と魔法石。凍結魔法により、敵の復活を妨害していた。

【モノフ中将】「んじゃ、そろそろ始めるか。合図だ、ケンザキ!」
【ケンザキ少将】「了解ッス!」

 ゴォォォンと作戦開始の銅鑼の音。

【魔法使い】「凍結魔法を解除」
【魔法使い】「速やかに撤退しろ!」
【魔法使い】「あとは任せたぞ」
 凍結魔法により古代生物の復活を止めていた魔法使い部隊が退去。

【魔法使い】「魔法大砲・雷轟、術式展開───発射!」
 ドォォォォン!
 動けない敵を前に用意は万端。強力な魔法で迎撃する。敵の苦手属性が雷ならばこの一発で終了。苦手属性でなければ魔法エネルギーの何割かが吸収され、復活を手助けしてしまう。

【戦士たち】(ハズレろ)
【戦士たち】(ハズレちまえ)
 報酬を目当てに集まった荒クレどもは、もちろん雷属性がハズレることを祈る。

 爆煙が薄らぐ。“古代生物・三〇八号亜種”の7つの瞳が赤く光り、体に目に見える光を放つシールドをまとった。

【古代生物】「ピキュルルルル! ピキュルルルルルルルッ!」
 甲高い鳴き声を放つと同時に地面が揺れる。地面が割れる。触手が地面から生えるように飛び出してきた。

【モノフ中将】「がははははっ、残念ながらハズレだ! 頼んだぜ、野郎ども!」
【ケンザキ少将】「うわー、残念ッス」
【ポムモモ准将】「実に残念ぽむ」

【戦士たち】「残念ながら、パーティーの始まりだ!」
【戦士たち】「はははは、仕方ねぇ行くぜ!」
【戦士たち】「おおっ、いきなりぶっ放すぜ!」
 あっちこっちから必殺技のコールが聞こえ、一斉攻撃をする。
【戦士たち】「シールドはボディだけね。触手はちぎれるけどすぐに生えて来るし、ちぎれた触手とくっついたりするわ」
【戦士たち】「ちぎれた触手は燃やせるぞ! 余裕があったら燃やしてくれ!」
【戦士たち】「効いてるのか? 吸収されたのか?」
【戦士たち】「見える見える───チェック。変化ない。効いても吸収されてもいねぇ感じだ」
 ヒーラーの男が指で輪っかを作って古代生物を見る。相手のコンディションが大雑把に色分けされて見えるヒーラーや軍師の必須スキルだ。
【戦士たち】「こいつは相当な強打を与えねぇとわからねぇな。仕方ねぇ、おーい攻撃に自信のあるやつはいねぇか? 火なら付与できるぞ」
【戦士たち】「こっちは毒だ」
【戦士たち】「氷、付与できるぞ」
 付与魔法を使うと通常攻撃に属性が加わる。付与魔法を使える者と、強攻撃を持っている者が手を組む。
【エルチア】「この娘に、付与をお願いします」
【戦士たち】「あっ、この娘は! よし任せろ! 地毒よ、同朋の刃と化せ!」
【キアル】「あははははははははっ! 超斬る! 超キル! 切る! 斬る! KILL! 斬られららららッ!」
 大回転超斬撃と書いてタイフーン・アタック! 剣が何本にも見える高速回転斬撃で触手を薙ぎ払い、敵のボディーに強打を当てる。
【戦士たち】「なんだ!? 小さい女の子なのに強ぇ!」
【戦士たち】「キルキルちゃんだ! 西部剣聖選抜の本戦出場者だ!」
【戦士たち】「おお、道理ですげーと思った」
【戦士たち】「だが毒じゃなさそうだな」
【戦士たち】「触手が生える前に続け!」

【キオ】「俺、攻撃力には自信ある! 自信あるっ!」
【戦士たち】「おっ、少年、威勢がいいわねぇ。良し、陽光の祝福よ剣にやどれ。光の属性を付与したわよ。ぶちかましちゃえ!」
【キオ】「ありがとう、お姉さん! 行くぞ! 美味しいところ───いただきぃぃぃぃ!!」
【戦士たち】「おっ、なかなかの攻撃。しかし・・・・・・効いてなさそうね。光じゃなさそうよ!」
【戦士たち】「風もハズレだ!」
【戦士たち】「闇、地ハズレだ!」
【戦士たち】「水も氷も効かねぇ!」
【戦士たち】「風、氷ハズレ!」
【戦士たち】「火、光駄目だ!」
【戦士たち】「なんだ、一通り試してるみたいだな」
【戦士たち】「弱点がないなんてオチはねぇよな・・・・・・」
【戦士たち】「そいつは困るな」

【レイズ】「リリが弱点を見つける! 接近するから触手から守って!」
【リリ】「付与魔法のできる、それと一番強そうな人・・・・・・キルキルちゃんもお願いします」
【キアル】「斬る? 斬れる? 行く! ウシシシッ!」
【戦士たち】「誰だ?」
【戦士たち】「あっ、また西部剣聖選抜の出場者だ!」
【戦士たち】「予知能力の娘か! その娘を守れ!」
【リリ】「・・・・・・・・・・・・未来視(ビジョン)」
 リリの額の前で静電気がパチっと跳ねる。何をするとどんな未来になるか、短時間限定だが未来が見られる能力。まるでセーブ機能があるゲームのように現実を試せる。
 キアルと付与能力者に指示を出し、敵に様々な攻撃を与えるシミュレートをする。
【リリ】「違う。これでもない。・・・・・・・・・・・・少し時間を稼いで下さい」
 難航しているようで、頬に汗が伝わる。
【レイズ】「まかせて! ほらほらこっち・・・・・・と見せかけてこっちでした」
【戦士たち】「この娘には近寄せないぞ」
【リリ】「そういうことですか。ふぅ・・・・・・」
 リリがふらつき膝をつく。
【戦士たち】「大丈夫か!」
【サポーター】「一旦、離れるぞ!」
 倒れそうになるリリをパーティーのサポーターが抱えて運ぶ。
【レイズ】「大丈夫、リリ?」
【リリ】「ふぅ、法則を探すのに手こずりました。額の2つの目の間に雷の攻撃です。他の場所では吸収されてしまいますので気を付けて下さい」
【レイズ】「額の目の間をピンポイントで雷攻撃して、他の場所は・・・・・・」
【古代生物】「ピキュルルルルルルルルルルッ!」
【戦士たち】「くそぉ!」
【戦士たち】「おーい、弱点は───大混乱だ! これじゃ聞こえねぇ!」
【リリ】「レイズ」
 と、リリが指を指す。
【レイズ】「キオ!」
【キオ】「あっ!」

【キオ】「すぅ・・・・・・弱点がわかったぞぉぉぉ! 額の目の間に雷の攻撃! 他の場所には攻撃しちゃ駄目だって! 額の目の間に雷の攻撃! 他の場所には攻撃しちゃ駄目っ!! 早い者勝ち───っ!」
【戦士たち】「了解!」
【戦士たち】「額の目だ!」
【戦士たち】「雷よ、同朋の刃と化せ! 雷付与なら任せろ、どんどん来い!」
【戦士たち】「頼む。俺様が仕留めてやんぜ!」

【レイズ】「キオ、いつもながらいい仕事!」
【リリ】「これはバフも乗りましたね」
【キオ】「あとでね───! 俺が一番首を取るっ!」
【レイズ】「おー! がんばれー!」
【リリ】「後はパワー重視の人にまかせましょう」

【キアル】「あははははははははっ! 超斬る! 超キル! ぶった───斬───る!!!」
 真っ先にキアルが飛び込み、周辺の触手を蹴散らし弱点に強打を入れる。
【古代生物】「ピギャァァァァ!!」
【戦士たち】「行くぜ! 昇竜斬!」
【戦士たち】「動きを止めてくれ! 喰らえ、大弓ストライク!」
【ケンザキ少将】「行くッスよ! ドッカーン! 空爆斬!」
【戦士たち】「位置が高ぇ!」
【戦士たち】「俺の技じゃ届かねぇ!」

【キオ】「ねぇ、ねぇ、そこの熊族のおっちゃん!」
【熊族】「なんだ、チビ助、剣士なのか?」
【キオ】「俺を投げて!」
【熊族】「! ははははっ、任せておけ! おら───よっ!」
【キオ】「ありがとう! 行っくぞ───っ! 美味しいところ───いただきぃぃぃぃぃぃ!!」
【熊族】「ははははっ! なかなかの一撃じゃねーか、チビ助!」
【戦士たち】「俺も投げてくれ!」
【戦士たち】「おっちゃん、おいどんも!」
【熊族】「てめぇらは体のでかさを考えろ!」
【エンジ】「にんっ! 明鏡止水。───うむ、父上や兄上と比べるとまだまだでござるな」
【カローラ】「気を付けな! 七本の矢が通るよ! レインボーアローォォォ! 全弾命中! 絶好調!」
【古代生物】「ピギャァァァァァァァァァァァァ!!」

【ホルン】「シールド回復~。みんな大活躍だ~」
【モリー】「こりゃ、報酬に期待できるんじゃない?」
【ホーマス】「楽しみだ(ボソッ)」

 ───雪山の上に3人の人影。1人は幼い少女。1人は若い女。1人は巨体の男だ。
【─?─】「へぇー、人間も結構やるニ」
【─?─】「虎の剣士、なかなか強いな」
【─?─】「くるくる回る小さい女の子も強いですわ」
【─?─】「ちっこい男もクルクル回って面白いニ」

【古代生物】「ピギャァァァァァァァァァァァァァ!!」
 猛攻を受け古代生物は悲痛な叫び声を上げる。

【ケンザキ少将】「こりゃ、一気に決まりそうッスね」
【モノフ中将】「弱点がわかったのがでかいな。こりゃ一日で済みそうだな」
【ポムモモ准将】「さっき、戦士たちに紛れてなかったぽむ?」
【ケンザキ少将】「気のせい、気のせいッス」

【古代生物】「ピルル・・・・・・ピィィッ!」
 古代生物は地中から飛び出し、背を向けて逃げ出した。

【戦士たち】「逃がすな!」
【戦士たち】「この人数から逃げられると思うな! 往生際が悪ぃ!」

【モノフ中将】「あっ!」
【ポムモモ准将】「あっ!」
【ケンザキ少将】「? どうしたッスか?」
【モノフ中将】「こりゃ、まずいな」
【ポムモモ准将】「背中を向けられたら、弱点を攻撃できないぽむ。攻撃したら敵のエネルギーになるぽむ。それと───」

【戦士たち】「さ、寒ぃ!」
【戦士たち】「ちょっと待て、着替えてからだ」

【ケンザキ少将】「逃げられるッスよ」
【モノフ中将】「寒い方に逃げても凍って動きを止める。どこに逃げても天使が追ってくれるから見失いやしねぇ。───と計算のうちなんだが、寒い方にはあまり行きたくねぇな」
【ポムモモ准将】「! 誰か敵の前に回り込んでいるぽむ」

 古代生物の前に3人の影。先程、雪山から戦いを見物していた3人だ。
【─?─】「おいらに任せろ」
【─?─】「アホ。雷の攻撃じゃないと効かないって言っていたでしょ」
【─?─】「なーんだ。じゃあ任せたぞ」
【─?─】「任せます」
【─?─】「任せろニ」
 3人のうち、一番小柄な少女が前に進み出る。
【─?─】「えーっと、そこの目の間が弱点だっけニ? よっこらしょ。そいやぁぁぁっ!」
 少女は全身に金色の放電をまとい、身長ほどの巨剣を片手で高々と持ち上げ振り下ろした。
【古代生物】「ピギュッッ!?」
 古代生物の断末魔だった。縦に真っ二つに割かれた。
 巨剣と言っても刃渡りは120センチメートルほど。古代生物の頭上にも、背面にも届かない。剣先が古代生物に薄く触れただけである。剣撃の衝撃波で古代生物を両断した。

【キオ】「うわ、すげぇ!」
【戦士たち】「すげぇやつがいたんだな。誰だ?」
【戦士たち】「キルキルちゃんじゃないのか? 小さい女の子に見えるぞ」
【エンジ】「これは、とんでもない種族が出てきたでござる」
【戦士たち】「お、おい、あいつらって!」
【ケンザキ少将】「もしかして剣聖の誰かッスか?」
【モノフ中将】「馬鹿、よく見やがれ」
【ケンザキ少将】「中将が冷や汗? 見える見える~光~集まれ、スコープ───げげげっス!」

【─?─】「よう、人間───っ」
 3人のうち巨体の男。目は2つで頭からは角1本。
【─?─】「こんな弱い化物と遊んでないで、あたいらと遊ぼうニ」
 小柄な女。目は1つ。角は2本、ただし片方は折れている。
【─?─】「少々、お付き合い下さい」
 スタイルのいい女。目は3つ。角は2本。

【キオ】「お・・・・・・鬼ぃぃぃぃっ!? ひぃぃぃぃ、食べられるぅぅ!」
【モリー】「キ、キオ、しーっ!」
【ホルン】「ば、馬鹿、声大きい~」
【─?─】「食べないぞ───っ」
【─?─】「食べないから遊ぶニ」




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